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【JRAさんに届け!】アグネスゴールド産駒の IVAR をアイバーと表記すべきではない理由を粛々と冷静沈着にインテリっぽく吟じる

 種牡馬アグネスゴールドの現時点での最高傑作は IVAR です。アルゼンチンGⅠを2勝、アメリカGⅠを1勝、BCマイルに2年連続で出走して4着、3着。立派すぎる成績でしょう。

 IVAR がアルゼンチンGⅠのグラン・クリテリウムに出走するとき、僕は『イバール』と書きました。netkeiba さんもグラン・クリテリウムの勝利後に『イヴァール』と書きました。やったぜ(by 清宮)。

 IVAR はブラジル産まれのアルゼンチン調教馬です。馬主の RDI もアルゼンチンを拠点とする生産者・馬主です。そのため、スペイン語読みのイバール、もしくはポルトガル語読みのイヴァールが適切なカタカナ表記になります。

 しかし、IVAR がGⅠシャドウェル・ターフ・マイルを勝利後に事件は起こりました。これまで IVAR について1ミリも触れてこなかった JRA が突然、なぜか英語読みである『アイバー』と表記してしまったのです。

 JRA という絶対君主がアイバーと表記したことで、日本のメディアはこぞって IVAR をアイバーと表記するようになってしまいました。天下の netkeiba さんもイヴァールからアイバーに鞍替えしてしまったのです! netkeiba さぁぁぁ~~~~ん!!!!!!

 僕は許せません。日本で最初に IVAR を発掘した人物として(詳しくはコチラ)、IVAR をアイバーと書かれ続けるのは許せません。まるで自分で丹精込めて焼いていた牛タンを友達にパクられたみたいじゃないですか。

 そこで今回は、IVAR を絶対にイバール、もしくはイヴァールと表記すべき理由を、冷静に、沈着冷静に、粛々と、インテリっぽく述べていきます。


理由① 素直に実況を聞いてくれ

 聞けば分かる、めっちゃイバールやん。


理由② RDIの所有馬の名前

 先ほど述べましたが、イバールの所有者は RDI というアルゼンチンのブエノスアイレスを本拠地とする馬主です。アルゼンチンとブラジルで生産を行なっています。イバールは2016年にブラジル拠点で産まれ、アルゼンチンに輸入されました。

 以下、RDI がアルゼンチンで所有する2016年産馬の一覧になります。

  • IVAR

  • IMPERADOR

  • IN THE SKY

  • ISNER

  • INTRADAY

  • INTHENAME OF LOVE

  • IN LOVE

  • IKKI

  • ICONIC

  • IPANEMA GIRL

  • IVEE

  • ITZAYANA

  • ITAIPAVA

  • ITAPIRA

  • IMAGINE

  • ISCO

 お分かりのとおり、全頭 "I" から始まる馬名を持ちます。RDI の生産馬は産まれた年ごとに頭文字で分けられます。たとえば、2018年産馬の場合は "L" から始まる馬名を持ちます。

 "ICONIC" のような英単語は仕方ないにしても、すべての馬が「イ」の音で始まります。ISNER はアメリカ人のテニスプレーヤーにもいますが『イスナー』と書かれますし、ISCO はスペイン人のサッカー選手で『イスコ』、ITAIPAVA はブラジルのビールで『イタイパーヴァ』と発音します。アイスナーでもアイスコでもアイタイパーヴァでもありません。

 このように、RDI が生産・所有する2016年産馬の名前は必ず「イ」の音から始まります。また、IVAR という英単語は存在しないため、英語読みする根拠はありません。したがって、IVAR はイバールと読まなければなりません。


理由③ 文法がイバール読みを証明している

 アルゼンチンの日刊紙『ラ・ナシオン(La Nación)』には次の文が掲載されました。

El caballo superior que vi en mi vida fue Riton e Ivar está ahí

 また、アルゼンチンの競馬メディア『トゥルフ・ディアリオ(Turf Diario)』にも次の文がありました。

Por su parte, el Mile se largará a gatera completa (14 competidores) e In Love e Ivar tuvieron suerte distinta.

 正直、書いてある内容なんてどうでもいいです。注目してもらいたいのは、"e Ivar" という場所だけです。

 英語の "and" はスペイン語では "y" と書きます。読み方は「イ」です。

 しかし、ある条件の場合、「イ(y)」 ではなくて 「エ(e)」と表記しなければならないという文法規則があります。その条件とは、"y" の後ろに来る単語が「イ(i, hi)」で始まるときです。イ・イと続いて発音しにくいので、エ・イと変えるのです。

 では、なぜ上の文では "e Ivar" と書かれているのでしょうか? IVAR をイバールと発音するからです。イバールだからこそ、"y" が "e" に代わるという文法規則が発動しているのです。


【まとめ】
・イバールはブラジル産馬のアルゼンチン調教馬。
・母国アルゼンチンの実況音声は明らかにイバール。
・RDI の2016年産馬は頭文字にイ音を持つ。
・スペイン語の文法規則がイバールであることを証明している。


 お願いです、JRA さん、競馬メディアの皆様、今からでも遅くないです、IVAR のカタカナ表記をイバールかイヴァールにしてくれませんか? スペイン語が母語であるアルゼンチンの馬の名前を英語読みで書くのはまったく理解できません。netkeibaさん、あなたは正しかった。最後の砦、最後の希望、ラストホープ。どうか、なにとぞ、イヴァール表記に戻してください。

 イバールはたぶん種牡馬になります。たぶん種牡馬としてめっちゃ活躍します。アイバーという表記で世の中に広まってほしくないんです。


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木下 昂也(Koya Kinoshita)

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