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アボレンゴ牧場&バカシオン牧場 2019年産馬セール

 3月29日、ARG-SALES にて『アボレンゴ牧場&バカシオン牧場 2019年産馬セール』が開催される。過去に幾頭ものアルゼンチンGⅠ馬を輩出しており、良質なアルゼンチン産馬を手に入れるには決して見逃せない。昨年は2019年のこのセール出身であるクールデイが、南米最大のGⅠ競走カルロス・ペジェグリーニを優勝した。

 上場馬を紹介する前に、まずはアボレンゴ牧場とバカシオン牧場がどのような牧場なのか簡単に触れたい。

 アボレンゴ牧場は1966年にブエノスアイレスで開業した。今や世界的種牡馬となったキャンディライドを生産牧場として有名であるだけでなく、下河辺牧場のケアレディー、エスティファームのエミレーツガールといった日本で飼養されている繁殖牝馬の産まれ故郷でもある。2020年は生産馬のグレートエスケープがアルゼンチン・ダービーを、クールデイがカルロス・ペジェグリーニを制すなど、今アルゼンチンでもっとも勢いのある生産牧場である。2021年3月時点で国内GⅠ71勝。

 バカシオン牧場は1972年にブエノスアイレスで開業した。レノボ、ルブルースといったアルゼンチンを代表する名馬・種牡馬に加え、サトノフラッグとレイナスの母であるバラダセールや、ピオネロとクルミナルの母クルソーラもここで産まれ、日本との繋がりが深い。2021年3月時点で国内GⅠ113勝。

 アルゼンチン屈指の名門牧場が主催するこのセールでは、毎年のようにGⅠ馬の弟妹が数多く上場される。未来のスターホース、もしくは将来有望な繁殖牝馬を数百万円で購入できるチャンスだ。昨年の最高額はジョイロシータの12万5000ドルで、落札したのはオーストラリアの馬主である。

昨年のセール結果は こちら ☜


 今回上場が予定されているのは88頭。カタログは下記のURLから英語で閲覧できる。その中から良血馬を紹介する。紹介する馬以外にも重賞馬の仔、弟妹がたくさんいるので、興味のある方はぜひカタログをチェックしてほしい

https://www.arg-sales.com/en/remates/view/224


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上場番号2番 キャティーソウル(Caty Soul) ♀

 母のシティーチューン(City Tune)はGⅡヘネラル・マリア・カンポスとGⅢアンドレス・S・トーレスの勝ち馬。GⅠでも2度の2着がある。全姉のシティーアンドザセックス(City And The Sex)は、重賞勝ちこそないものの、GⅠで2着が2回、3着が1回、15戦して掲示板を外したのは1度だけと堅実な競走生活を送った。

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上場番号3番 ケアプリンス(Care Prince) ♂

 全姉ケアレディー(Care Lady)は、2017年にGⅠセレクシオン(アルゼンチン・オークス)とGⅠコパ・デ・プラタを制し、その年の最優秀3歳牝馬と年度代表牝馬に輝いた名牝。北米に移籍してGⅢを走った後、キーンランド・ノベンバー・セールで日本の下河辺牧場に60万ドルで購入された。もう1頭の全姉カルテアメ(Carteame)は、2019年にダート2200mのGⅡラモン・ビアウスを勝利した。今回のセールでもっとも注目を集め、高値がつけられるであろう超良血馬である。

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上場番号5番 スーペルブエナオンダ(Súper Buena Onda) ♀

 全姉に日本のエスティファームで繋養されているシケエスブエナ(Si Que Es Buena)がいる。シケエスブエナはペルーのGⅢレプブリカ・アルヘンティーナを勝利してアメリカに移籍し、GⅢラ・プレボジャンテSとGⅢロング・アイランドSを優勝した。

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上場番号8番 イングッドシェイプ(In Good Shape) ♀

 母のインミッション(In Mission)は2010年のGⅠデ・ポトランカスで2着。半兄イマヘンデローマ(Imagen De Roma)は、2018年にアルゼンチン3冠の第2戦GⅠジョッキークルブを制し、GⅠポージャ・デ・ポトリージョス(アルゼンチン2000ギニー)でも2着に入った。

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上場番号9番 グレートヴァリュー(Great Value) ♀

 ケアプリンスと同じく今回の目玉となる牝馬。全兄に2020年のGⅠナシオナル(アルゼンチン・ダービー)を15馬身差で勝利したグレートエスケープ(Great Escape)がいる。

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上場番号10番 シーザフューチャー(See The Future) ♂

 半兄レノボ(Lenovo)は直線1000mのGⅠを5勝するなど重賞8勝をあげ、2014年には最優秀短距離馬に選出された。現在は種牡馬になっている。もう1頭の半兄ロスアニョスロコス(Los Años Locos)もGⅢエスタードス・ウニードス・デ・アメリカで1着入線している(後にドーピング違反で失格)。

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上場番号11番 コオルディナトール(Coordinator) ♂

 母コオルデナーダ(Coordenada)は2013年のアルゼンチン・ダービー馬コオプタードの全姉にあたり、2010年のエストレージャス。ジュヴェナイル・フィリーズを制した。近親には2020年のGⅠカルロス・ペジェグリーニの勝ち馬クールデイ(Cool Day)がいる。

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上場番号12番 ディープビューティー(Deep Beauty) ♀

 半兄に2017年のGⅠモンテビデオを勝ったダニエルブーン(Daniel Boone)と、マイルGⅠで2度の2着があるダールラパス(Dar La Paz)がいる。

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上場番号22番 ヴァレリーロイ(Valery Roy) ♀

 母ヴァレリーレディー(Valery Lady)は2004年のGⅠエリセオ・ラミレスの勝ち馬。半兄ハットバリエンテ(Hat Valiente)は芝2400mのGⅠヘネラル・サン・マルティンで2着に入った。

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上場番号23番 コンテッシーノ(Contessino) ♂

 母コンテッサリンダ(Contessa Linda)は2014年にGⅠホルヘ・デ・アトゥーチャとGⅡエリセオ・ラミレスを優勝し、その年の最優秀2歳牝馬に輝いた。また、3歳になってもラ・プラタ競馬場のダート2000mで行なわれたGⅠセレクシオン・デ・ポトランカスを勝利した。

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上場番号26番 トリロヒアロマーナ(Trilogia Romana) ♀

 母タルシリア(Tarsilia)は2012年のGⅠエリセオ・ラミレスなど5戦3勝、重賞2勝。半姉タッチザスカイ(Touch The Sky)も2019年のGⅡカルロス・トムキンソンを優勝した。

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上場番号30番 スエルテディビーナ(Suerte Divina) ♀

 半姉に2016年のGⅠホルヘ・デ・アトゥーチャと2017年のGⅠエストレージャス・ディスタフを制し、引退後は日本のノーザンファームに輸入されたスクールミストレス(Schollmistress)を持つ。もう1頭の半姉サエッタ(Saetta)はマイル重賞を2勝、半兄シビエラス(Si Vieras)もGⅠで入着がある。

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上場番号40番 エブリオデアモール(Ebrio De Amor) ♂

 母エイビッサジェット(Eivissa Jet)は10戦9勝、3着1回、重賞5勝というほぼ完璧な成績を残した。

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上場番号46番 キープインタッチ(Keep In Touch) ♀

 母カリベイビー(Kali Baby)は2012年のGⅠエストレージャス・ディスタフの勝ち馬であり、同年のGⅠヒルベルト・レレーナでも2着になった。


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木下 昂也(Koya Kinoshita)
Twitter : @koyakinoshita24
G-mail : kinoshita.koya1024@gmail.com

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