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1人目の客になれなかった話 JR二条駅付近編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。家の近所に新店がオープンするなら行かないわけにはいかないわけです。今日オープンするお店。長年地元の人たちに親しまれ続けたスーパーのリニューアルオープンなんですが、しばらく閉まっていたお店のリ・スタートです。今日から新しい歴史が始まると言ってよい。そんな節目が私から始まるのは痛快なことではないか。
 朝9時にそのスーパーは開店する。
 9時オープンなら1時間前に着いておけば1人目の客にはなれるだろう。いや、しかし、1時間前に?ちょっと早すぎない?これでも私はそれなりに忙しい。1時間何もせず、ただただ開店を待つというのもどうなのか、いや、しかし、それが君の趣味ではないのか。
 雨が降っている。
 この悪天候だから1時間も前に行かずともよいだろう、いや、しかし、などと考えながら、結局その何もしない時間を家で過ごすなら、何もせず開店を待つのと同じではないか、傘を差し、私はJR二条駅近くのそのスーパーへ向かいました。
 くら寿司のある交差点を渡り、少し東へ歩くと「なか卯」があり、その先に目的地はある。
傘も差さずにカーデガン姿のおっさんがお店に入ろうとしている。負けたのか!いや、違う、あれは「なか卯」に入ろうとしているのだ。スーパーではない。
 スーパーの入口には既にめでたさしかない紅白のテープが張られています。あとで関係者みんなでカットするんでしょう。1人目の客たる私にも切らせてくれないかな、な、な、な、テープの向こうに野球帽を被り、リュックを背負った男性が不自然に立っている。
 一縷の望みをかけて尋ねてみる。
「ここ、並んではりますか」
「はい」
 ああ、逡巡せずに1時間前に出発していれば、あるいは私がこの男性の場所に立っていたかもしれない。

令和5年11月17日、午前9時オープン、コープ二条駅の1人目の客は私ではありません。

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