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弱い場所からこんにちは

 たった1日のイベントの打ち上げに3日ほど使ってしまった。こうなるとどっちが本番なのかわからない。3日ほどの打ち上げを楽しむために私はあの長い長いセリフを覚え段取りを整えていたんだろうか。いや、別にそんなことはない。ただただ頑張った自分を褒めてやりたかったのだ。イベント当日の日が変わる頃まで呑んだ打ち上げだけでは満足できなかったのだ。つくづく私は自分に甘い。ちょうどお盆休み期間だったのも甘さに拍車をかけた。

 さて。
 故にしばらくの間、読書も新聞を読むこともほとんど全くできなかった。新聞は休刊日でない限り1日ごとに必ず溜まっていくので、この一週間ほどで膨大な量になってしまった。全部見ないフリして捨ててやろうかとも思ったが、そういうことができない私は根が真面目なのだ。真面目ならもっと真面目に働けばいいのだが、それは私の持っている真面目とは違う真面目なのだ。私の真面目は常に弱い場所から強い場所の人を観察することだ。弱い場所にいるのに強い場所にいると錯覚して弱い場所にいる人ばかり観察したうえで否定する人がいる。ああいう人には絶対になってはいけない。むしろ、そういう人のことを観察して、私は次のイベントで演じたいと思う。

 溜まりに溜まった新聞記事を今日はようやく昨日の分まで読み終えた。
 おとといの朝日新聞に掲載されていた「厭戦の思想」と題した辻真先さんのインタビュー記事がとてもよかった。「正義や道徳は一つじゃないということですね。世の中にはいろいろな正義があって、一方通行じゃないということを知っておけば、『戦争は正義だ』に疑問を抱くことができる。厭戦を言い続けるには、それが一番大事なんじゃないかな」()内引用。

 同じ日の読売新聞「編集手帳」には山田太一のこんな言葉が引用されていた。
「もし日本で爆弾が完成していれば、アメリカ人よりずっと迷わずに私たちはそれを落としてしまったのではないか」

 こういう言葉に巡り合えるところが新聞の素敵なところだ。朝日新聞の正義と産経新聞の正義を比べるだけでも世の中が一方通行じゃないことがわかる。わかった気になって悦んでいるのも「興味がない」と遮断するのもかっこ悪い。ずっと「わからない」と弱い場所で悩んでいたい。

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