見出し画像

1人目の客になれた話 ホリーズカフェ四条大宮店編

 涌井慎です。趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。

 四条大宮にホリーズカフェができるという情報を手に入れたとき、私は「またか」と思いました。今年は烏丸六角にもホリーズカフェがオープンしており、私はこちらの店舗の1人目の客にもなっています。もう1軒、四条烏丸界隈にオープンしてたような気がする。ホリーズカフェの逆襲。試合開始のゴングから十分ほど攻められ続けた三沢がエルボーで反撃を開始したときのような戦慄を覚えたというのは嘘です。

 ごめん、言いすぎた。。。

 長らく付き合ってきたカップルの片方が溜まりに溜まった鬱憤を晴らしたあとのようなセリフです。

 さて。
 四条大宮へ行ってみると、ホリーズカフェがオープンする立地は東隣にコメダ珈琲があり、さらにその東隣にはタリーズコーヒーもあるという、カフェ激戦区です。コメダやタリーズに勝つ算段もできとるわけや。これはもう、ローリングエルボーからのワンツーエルボー、思わず俯いたところへタイガードライバー、なんとか2カウントでかわしたところをエメラルドフロウジョンで仕留めるような、そんな凄みを感じたというのは嘘です。

 ごめん、オレが悪かった・・・

 サザンオールスターズ 「旅姿六人衆」のイントロが始まる前につぶやかれる一言です。

 さて。
 15時オープンと聞いていたので、14時過ぎに四条烏丸を出発し、歩くこと10分ほど。本当は途中で昼ごはんでも食べて行こうと思っていたのですが、それのおかげで1人目の客になれないという事態を避けるため、空腹を抱えながら私はホリーズカフェへ向かいました。このストイックさです。このストイックさが四天王プロレスの黄金時代をもたらしたわけです。

 50分前に到着したら、店内はまだ掃除したり椅子を動かしたりしているところでしたが、入口が開いており、中で作業しているお兄さんに話しかけることができたので、15時オープンと知っているのに「何時オープンですか」と聞くことで私は彼に「この男はホリーズカフェのオープンを待ち侘びているのだ」ということを知らしめました。もうわかっている「15時です」という答えを確認し、「待たせてもらってもいいですか」と問うことにより、私は彼に「この男はホリーズカフェのオープンなんぞのために50分も入口で待とうとしているんだ」ということを知らしめましたが、やはり、解せないという顔をしていたので「実は私、オープンしたお店の1人目の客になるのを趣味にしておりまして・・」と説明する。完全にテレビドラマなんかでたまに見る「怪しいものではございません、実は私、かくかくしかじかというものでして・・」と名刺を差し出す感じのやつですが、残念ながら今日は私の名刺代わりになる「1人目の客Tシャツ」を着ておりません。

 応対してくれたお兄さんは、すごく優しい方で、私の説明を聞いてくれたあと、リアクションに困ったと思うのですが、微笑みながら「へえ、そういうことをされているんですね〜」とおっしゃいました。完全にどう返したらええかわからなくなったときの返しでした。ラジオでパーソナリティの人がゲストのよくわからないコメントに対してスルーするのも申し訳ないから必死に繋ぎとめようとするも上手くまとめられなかったときの感じでした。

 さて。
 入口で待機しているうち、店内はどんどんホリーズカフェ然としていきます。この仕上がっていく過程を垣間見るのが私の趣味の面白いところなのです。悪趣味でごめんなさい。

 「あれま、まだオープンと違うんかいな、そうか3時やったかいなー」と派手な服着たお姉さんがやってきて先ほどのお兄さんに話しかけ、「ちょっと中を覗かせてや」と中に入ろうとしたので焦りました。

 何も言わずスマホを見ながらツカツカと店内に入っていき、注文をしようとして「3時からなんです、すみませーん」と言われ去っていく若い兄ちゃんもいました。

 同じ感じでおっさんたちが次々私を追い越して中へ入っては「まだオープンしていないので」と断られ去っていきます。入口の真前に立ち尽くしてる私のことをいったい何だと思っているんでしょう!こんなに順番抜かし未遂されたのは初めてやぞ!ほんで、めちゃくちゃ入ろうとする客多いし、やっぱりコメダとタリーズにほんまに勝てるんと違う??スラムダンクなら、いよいよ客席が山王に勝てると奇跡を信じはじめる場面。いや、それはホリーズカフェに失礼ですね。歴史とか知りませんけど、これはコーヒーチェーンの古参同士の三つ巴の対戦なのです。成り行き上、私はホリーズカフェを応援します。

 いよいよオープンの5分前ともなると、けっこう行列ができていたのでホリーズカフェおそるべし。ご近所のお姉さんがやってきて「えらい並んではるけどなんか特典があるんです?」と後ろに並んでるお兄さんに聞いてきました。お兄さんは私に対して「何かあるんですか」と聞いてきたので「いえ、何もないですが、僕はオープンしたお店の1人目の客になるのが趣味でして」と答えると「それは面白いですねー!」と皆さん食いついてくださったので「少し向こうにLIFEがあるでしょう。あのLIFEの1人目の客も僕ですし、烏丸のほうにあるLIFEも僕が1人目です」と言うと「スーパーなんかも行かれるんですねー!!」と驚いてくださった。気持ち良すぎる。

 オープンしてアイスコーヒーを注文し終えると、後ろのおじちゃんが「1人目の客になった感想をお聞かせください!」と言ってきたので私は答えました。「素人にはわかるまい」

 令和4年12月26日・月曜日15時、四条大宮にオープンしたホリーズカフェの1人目の客は私です。

#note日記 #日記 #コラム #エッセイ
#1人目の客 #1人目の客涌井
#ジャミロワクイ #ジャミロ涌井 #涌井慎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?