頭で考える人ができること
京都情報発信ジン『京都のき〜KEY OF KYOTO〜』が一部、本日お客様のもとへ旅立ちました。送り出すときはいつもなんともいえない気持ちが込み上げます。
さて。
8月13日の京都新聞『戦争の記憶を問い直す』という記事のなかで、立命館大学教授の福間良明さんが「死者の美しい所しか見ないがゆえに、死や暴力を生んだ社会や政治のひずみが想像されにくくなってはいないか」と言っていました。
その少し前、8月9日の読売新聞で映画『野火』の塚本晋也監督が「20歳で従軍した人も『野火』の公開時は90歳。怖さを肉体で知る人がいる間は、ふざけるなって強く反対できてたのに、やがて頭で考える人ばかりになる。攻められる前にやらなきゃ、というように。心配なんです。理屈じゃない。何が何でも嫌だ。だめだ。かっこ悪かろうが何だろうがやらせないっていう風潮が消えていくのではないかと」いう風に言っていたのを読んだところだったのでドキッとしましたね。
私だって「頭で考える人」ですが、では、そういう人間がどうすればよいのか、といえば、福間良明さんの言葉のなかにもありますけど、「想像」するしかないんです。
8月17日の日経新聞夕刊『あすへの話題』で松重豊さんが演技について、「戦時モノをやるにしても、当事者の体験を聞く機会は失われてしまいます。つまりこれからは「想像」するしかなくなるのです。」と書いていました。
いかに「想像」するか、そこには美しい物語を「創造」する必要はありません。
8月17日の毎日新聞には東京ガス本社で開かれた社内研修の様子が記事になっていました。この研修では、「ピリオノイド」という生理痛VR体験装置を使用し、下腹部にパッドを貼り、そこから電気刺激を与えることで、生理の「痛み」を男性社員らが疑似体験したそうです。
生理痛のつらさというと、男性にはなかなか想像しがたいものですが、ある男性役員は「こういう痛みが定期的にくると思うと憂鬱になる。仕事にも集中できない」と話し、職場の理解を深めることで、生理休暇の取得をはじめ、テレワークやフレックス勤務制度の活用もしやすい環境作りを目指すということです。
これも「想像」の重要性をあらわしています。経験が無い、どうやっても「できない」場合、どうしても「頭で考える人」になってしまいますが、「想像」することによって不足分を補うことができるし、その「想像」をたくましくするためには疑似体験もそうですが、歴史を学び、当事者の皆さんに思いを馳せていくしかないのです。
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