1人目の客になれた話 四条大宮あたり編
趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。
大丸京都店の北側、錦小路にあったゆずラーメンの美味しいお店「英多朗」が突如閉店していたのはどのくらい前のことだったでしょうか。
昔は土曜日の朝の生放送が終わってからよくお昼に食べに行っていましたが、コロナ以降はあまり行けておりませんでした。
でも前を通るたび、今日も英多朗はすごく混んでる、いつも英多朗は満員やの、と感心していただけに閉店の唐突感はすごかったんです。
私はオープンしたお店の1人目の客になるのは趣味にしていますが、閉店するお店のことを調べることはしておりません。何か事情があったのでしょう。しかし残念やの、と思っていたら、少し前、どうやら英多朗が四条大宮に復活するらしいということを知りました。
京都新聞にも記事が掲載されていて、クラウドファンディングを立ち上げてもいるらしい。なんにせよ、好きだったお店が再びオープンするのはうれしいことですし、1人目の客になることを趣味にしている私としては、オープン情報とあっては黙っているわけにはいきません。
日を追うごとに英多朗オープンに関する情報は解像度を増し、どうやら11月18日の月曜日、午前11時にオープンするらしいことがわかりました。
幸いにしてこの日この時間、絶対に職場から動けないという事情もない。生放送や収録があればどうあがいても行くことはできません。嘘をついてズル休みすることはできないこともありませんが、それをしてしまったら今後私のこの趣味を応援してくださる人は劇的に減るでしょう。行ける日でよかった。
しかし、次に問題となるのは、果たしてオープンのどのくらい前から並ぶか、です。
英多朗が人気店であったことはよく知っております。クラウドファンディングでもかなり多くの方が支援されているみたいですし、つまりそれはライバルが多いということです。
昨日のうちに私はいわゆる「ロケハン」を行い、場所の確認をいたしました。
四条大宮交差点から西へ少し歩いたところ。四条烏丸の職場からなら徒歩20分というところでしょうか。
人気店なので、オープン1時間前に辿り着けるようにしよう。長く緩く負担なく続けていきたい趣味なので、なるべく1時間以上は並ばないように決めています。
逆算して午前9時40分に職場を出る。
月曜日の朝、四条烏丸の交差点。
こんな平日の朝の時間帯にも外国人が多い。ひょっとすると見た目が外国人っぽいだけで日本人の方もおられるかもしれない。
何語かわからない言語が飛び交うなか、韓国語や中国語の単語が少し理解できたりすると「デュオリンゴ」にお礼を言いたくなる。
四条通りを西へ向かう。
四条室町の私が1人目の客になれなかった海鮮丼のお店は閉まってしまった。
確かそのあたりに昔、フルーツ大福のお店があり、この店も1人目の客になれなかったのですが、今はもうありません。オープンして何ヶ月も経ってから「ついにいちご大福登場!」と謳っていたから嫌な予感はしておりました。フルーツ大福のお店なら何よりもまず、いちご大福とちがいますの?
四条西洞院のフレスコからさらに少し西へ歩くとスーパーのLIFEがあります。ここは私が1人目の客になったLIFEです。LIFEが健やかに営業しているのはうれしい。たとえ私が1人目の客になっていなかったとしてもうれしい。
四条堀川の手前、烏羽玉が有名な和菓子のお店の南あたりにインド料理かネパール料理かのお店があり、このお店も1人目の客は私です。
確か壬生寺で壬生狂言を見た帰りに通りがかったらたまたまオープン数分前で、1人目の客になれたのでした。本格的にこれを趣味にする前の話です。
四条堀川の交差点を渡るとき、私はいつも老後のことを考える。年老いてよぼよぼになった私は果たしてこの横断歩道を青の間に渡り切れるのだろうか。渡れない場合、私は堀川通りの内側でしか生活できなくなるのだろうか。
私が1人目の客になったホリーズカフェを横切ったところで、四条大宮の信号が青になる。私はなんとなく、この信号が青のうちに渡れれば1人目の客になれる気がしたので、猛ダッシュしました。猛ダッシュするまでもなく信号は青のままでした。
しかし、渡り切ったとはいえ、何度も書きますが人気店です。もう誰か並んでいるかもしれないし、でも、まあ、並んでいたら並んでいたで切り替えて朝早くから開いている烏丸の第一旭でも行くとするか、と、このくらいのテンションで近づいていきますと、ちょうどオープン1時間前の午前10時に到着。誰も並んでおらず、ここに私は英多朗の1人目の客になれることが確定しました。
オープン30分前くらいにご近所の家族連れとみられる三人組が来られました。
これなら40分前でも十分間に合ったではないか、とは思うんですが、しかし、そうしていたら三人組は今より早く到着していたかもしれません。この世の中には無数に「そうであったかもしれない世界」が存在している。
私が1人目の客になる世界を手繰り寄せることができたのはオープン1時間前を目指して歩いてきたからなのです。
令和6年11月18日午前11時、四条大宮にオープンした「真打英多朗」の1人目の客は私です。
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趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。この趣味について綴った私の著書『1人目の客』や1人目の客Tシャツ、京都情報発信ZINE「京都のき」はウェブショップ「暇書房」にてお買い求めいただけます。