エッセイ『死球禍のヤクルト』
ヤクルトの死球禍が問題になっています。阪神の梅野選手、中日の石川選手への死球は球場が騒然となったらしいです。巨人の坂本選手の頭部付近への死球に対して高津監督がリクエストをしたこともあり、これはヤクルトファンの間でも疑問符がついているようです。
高津監督は石川選手への死球のあった試合後の会見で、「一生懸命やってる中で、デッドボールって付き物なのかもしれないですけど、頭に当たる、当ててしまったというのは、なんとなく勝ってもずっと心に残ってるし、無事でまた明日、出場してくれることを祈っています」と神妙な面持ちで話し、大事に至らないことを願ったと試合後のデイリースポーツのネット記事に書いてありました。
このコメントについても高津監督はどうやら炎上している様子。確かにぶつけられた選手にとっては大袈裟ではなく命にかかわる一大事ですから、勝負事とはいえ、一生懸命やってることは免罪符にはならないでしょう。この日はヤクルトが勝ち、抑えの田口投手の試合後のパフォーマンスも炎上しました。※のちに田口投手は石川選手の死球退場を知らなかったと弁明のうえ謝罪しました。
一連のヤクルトの死球禍を見て「高津どないなっとんねん」という意見が多数みられますが、これ、高津監督の心情ってどんな感じなのか、って考えてみたんです。ヤクルト投手陣の防御率は十二球団最低レベルで名投手だった高津監督からすれば、それこそ「どないなっとんねん」なわけです。そこで高津監督は彼らの力を引き出すために知恵をしぼり「怖がらずに内角を攻めなさい。もしもぶつけてしまったら僕が批判の矢面に立つからおもいきり投げなさい」などと指示しているのではないか。
そうだとすれば、投手陣に苦言を呈することもできず、開き直ったかのようなコメントになってしまうのも仕方がありません。実はチームにとってはとても思いやりのある名将なのかもしれません。
蠱惑暇(こわくいとま)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?