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読書の記録 滝沢カレン『馴染み知らずの物語』

 早川書房が新しく新書「ハヤカワ新書」を刊行、その第一弾として発売された数冊のうちの一冊がこちら。正直なんでやねん、と思ったけれど妙に惹きつけてくるものがあり購入、こうやって何故かわからないけど惹き寄せられる感覚は聖闘士星矢の世界でいう「セブンセンシズ」に近いものがある。別に「第六感」でもいいんやけど。

 滝沢カレンさんは『カレンの台所』の言葉の使い方からしてただものではないというのは知っており、IPPON女子グランプリでの無双ぶりには大笑いしましたし、少し前に出川哲朗さんが「天才」と言っていたのにも納得していましたから、別に「第六感」でも「セブンセンシズ」でもなく、きちんとした裏付けがあって購入したともいえる。

 ともかく滝沢カレン『馴染み知らずの物語』は面白い。カフカの『変身』、与謝野晶子の『みだれ髪』、小林多喜二『蟹工船』など、古今東西の不朽の名作について、タイトル以外はほぼ知らない滝沢さんが、そのタイトルをヒントに想像を広げて描いた物語が十五編収録されています。

 『カレンの台所』で感じた言語感覚の異常さやIPPON女子グランプリで見せた想像力、創造力の逞しさ、鋭さ、美しさ、面白さが全てうまいことミックスされていて、この企画は滝沢さんのことが大好きで滝沢さんの感性を愛してやまない人たちが滝沢さんの魅力を世に広く知らしめるための手段として何が最も適切なのか、考え抜いた末に辿り着いた絶妙なゴール地点だったんじゃないかしら、と勝手に思っております。

 私の場合は原作を知って読んだのは十五話のうち三話のみだったので、本来のこの本の楽しみ方はできていなかったのかもしれませんが、原作を読んでいなくても物語の展開や設定、そしてあの独特の言語感覚のおかげで十分すぎるくらい面白いし、各話末尾には原作の解説も付されていて、痒いところに手が届く感じ。これ、ほんまに面白いで!最高!

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