見出し画像

辻希美化とは

 野球好きの方なら「マダックス」というのを聞いたことがあると思う。故野村克也さんが監督をしていた社会人野球チームではない。あれは「シダックス」である。オニツカタイガーは「アシックス」でケントギルバートは「サニックス」、ポンヌフの恋人の監督は「レオスカラックス」、時計じかけのオレンジに出てくるのは「アレックス」である。「マダックス」は野球の試合で、先発投手が100投球未満で9イニング以上を投げきり、相手チームを完封することをいう。その昔、「マダックス」という名前のピッチャーがいて、このピッチャーが幾度もそれをやってのけていることから、その名が付いたらしい。

 最近、広島カープの守護神栗林が最終回を3球で終わらせるという史上初の離れ業を成し遂げたのだが、ファンの間ではあれを今後、「栗林」と呼ぼうという声が上がっているのは「マダックス」の前例があるからだろう。

 マダックスと栗林のことを考えていて、ふと思いついたので「スケベ」のことを調べてみた。ひょっとしてその昔、好色な「助平」という男がいたのではないか、と思ったのであるが、調べてみたら全然そんな由来ではなかった。なんだよ、つまんねーな。もし仮にスケベの語源になったのだとしたら、助平さんはどんな気持ちだろうか。名誉なのか、それとも恥なのか。

 と、ずいぶん前振りが長くなったのだが、なぜこんなことを書こうと思ったのかというと、ネットでこんな見出しの記事を見たからである。

●「雑な盛り付け」「食欲わかない」工藤静香 手料理を投稿しただけで“イチャモン続出”の「辻希美化」

 正直、読む気にもならない記事なので、記事自体は読んでいない。気になる方は上記をコピペして検索すれば確実にその記事が出てくるはず。「工藤静香 辻」で検索しても出てくると思う。

 私が気になったのは「辻希美化」という言葉であり、見出しだけ見て推測するに、辻希美がその昔、「雑な盛り付け」かつ「食欲わかない」手料理を投稿したことがあるんだろう。
 いまや、「雑な盛り付け」かつ「食欲わかない」手料理を投稿すると「辻希美」扱いされるのである。それはあたかも、先発投手が100投球未満で9イニング以上を投げきり、相手チームを完封することを「マダックス」と呼ぶのに似ている。辻希美はそんな名前の使われ方をしてどんな思いでいるのだろう。悪名だとしても芸能界の大先輩である工藤静香のことを「辻希美化」といわれて悪い気はしないのかもしれないし、恥だと思うかもしれない。

 私もnoteに1万日くらい連続で文章を投稿し続けたら毎日投稿することを「涌井する」などと呼ばれるようにならないものか。「毎日投稿することに固執するあまり時にクオリティが著しく低くなること」が「涌井する」と呼ばれるのであったとしても、それはそれで嬉しい。

#日記 #コラム #エッセイ
#涌井慎 #蠱惑暇 #こわくいとま

蠱惑暇(こわくいとま)こと涌井慎の著書『1人目の客』と1人目の客Tシャツは是非ウェブショップ「暇書房」にてお買い求めください。
8月12日(月・休)に西院陰陽(ネガポジ)にて開催する「涌井大宴会mini(仮)」でも販売します。よろしければご来場ください。

というわけで、暇書房のウェブサイトは↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?