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号砲なのか合法なのか

令和3年3月16日の日記

朝のラジオで日本経済新聞1面のコラム「春秋」を引用していたのを引用する。しかし、私は今、「春秋」を見ながら引用しようとしているから正直なところをいえば、間にラジオをかます必要はいまのところない。

「携帯電話の料金は今よりも4割程度下げる余地がある」。当時、官房長官だった菅義偉首相のこの発言が号砲であった。

と「春秋」には書いてあるのだが、朝のラジオでは「携帯電話の料金は今よりも4割程度下げる余地がある」。当時、官房長官だった菅義偉首相のこの発言が合法であった。と言っているように聞こえた。

手元にある『明鏡国語辞典』第三版によると
「号砲」は「合図のために撃つ銃砲。また、その音」とあり、「合法」は「法律・規則にかなっていること。適法」とある。「合法」は対義語として「非合法・違法」の2つも書いてある。

「当時、官房長官だった菅義偉首相のこの発言が合法であった。」この一文からは「今は違法なんだけどね」という含みが感じられる。当時、官房長官だった菅義偉首相の発言が「号砲」となり、携帯各社が携帯料金の引き下げに着手したが、それと同時に決して「合法」といえないNTTによる総務省幹部への接待攻勢が繰り返されていたのだ。今朝の同音異義語は実に味わい深いものであった。
「春秋」を読んだだけではきっと、この味わい深さに辿り着くことはできなかっただろう。ラジオを間にかましてよかった。

それにしても。
1都3県に緊急事態宣言が出され、飲食店関係者を筆頭に苦境に立たされている人たちの悲痛な叫びが聞こえるなか、接待問題の渦中にいるだけの社長さんが国会に招致されたわけだが、総務省幹部と会食はしたが業務上の依頼をしたり便宜を受けたりしたことはないということを説明しただけであり、終わってみれば、あの時間は必要だったのかしら、と疑問しか残らない。はなっから何かが解明されることも、収賄を認めるようなことも、絶対に無いと誰もが思っている結果が出たことにより、果たしてこの茶番は必要だったのか?という疑問を我々は抱くわけなのだが、しかし、それでも。無駄のように見えるラジオをかますことにより、新たな発想に到着できた私としては、ただただ無駄でしかなかったように思える国会招致が、いずれ重要な意味を持つようになることを期待している。

そういう遠回りをみんなで楽しめないものかしらね。接待って結局みんな、ショートカットなわけよ。する側もされる側も、性急すぎる。忙しいっていっても、会食できるほどには暇なんだから、ズルして近道を行かずとも、せめて正攻法で目の前に立ちはだかる難問に取り組んでほしい。

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