改善事例紹介〜阿部梨園 佐川マネージャー講演より4回/全4回〜
こんにちは。アグリビジネスパートナーの高津佐（こうつさ）です。
連載してきました阿部梨園 佐川マネージャーの講演録。
全4回。今回が最後になります。
前回まで
（続き）
農業生産以外の課題解決が農業経営力UPに繋がる
阿部梨園の経営改善の事例を紹介させていただきました。これがゴールではなくて、これを踏み台にして、農業界でも切磋琢磨が必要かなと思います。
私は雇われてフルタイムでゴリゴリと農家のリフォームをしておりましたが、私みたいなのが実際にその辺にウロウロしてて、経営を見ますよっていう人は少ないんじゃないかなと思います。
フルタイムの非生産人員を雇いましょうっていうのではなくて、私が阿部梨園で行なってきたものをご家族とか、従業員とか農業外の専門家の方がサポートするような感じになると農業経営もレベルアップしていくんじゃないかなと思います。
農家の生産（栽培）以外のバックオフィス部分の課題とか問題を解決して行ければ農業経営力のUPに繋がると思います。
改善事例のご紹介
個別の改善事例をいくつか紹介します。
私が一番好きなのは、お札カウンターです。これ最高です。直売がありますので、レジを締めるのにお札を数える機械を買いました。
なぜ好きかって言うと、すごく気持ちがいいからですね。それで紹介しました。経営改善っていうと嫌なこととか、やりたくないことをしなければならない印象がありますが、決してそうではなくて、楽をすることも改善のひとつです。
是非、現金で販売されている場合とは、このお札カウンターみたいなのお勧めです。
阿部梨園は、このお札カウンターを買ってよかったと思うんですが、このぐらいの改善はレベルが低いというか、事例が小さ過ぎて話題に上がらないと思うんですね。
だから、このぐらいの小さいことでも真似し合う情報発信って意味も込めて紹介しています。
阿部梨園の知恵袋では、書類整理とかデータ整理の方法もこういうやり方ありますとかのレベルで紹介しています。
あとは、買い物の部分で、経費は掛かると思うので、最安値で仕入れるための工夫とかも紹介してます。
従業員向けでは、スタッフに対しての面談とか成績評価の取り入れ方も紹介してます。また、作業記録のやり方もあります。
自動の経理サービスの導入とかも紹介してますが、阿部梨園の規模だと、オールITをしなくてもいいので、それぞれに合わせたやり易いサービスを利用したりしてもらえればと思います。
阿部梨園は、小さい農園だからこそ、すぐに実行できたしすぐに評価できたから良かったと思います。同じような小さな農園の多くの方々にチャレンジしていただけるんじゃないかと思って全国を回って紹介しております。
ポイントは日々の思いつきを溜め込むことですね。ちゃんとメモは残して、思いついたことを溜めて置くことをスタッフとともに習慣にしていくことを心がけるようにすること。
もう一個大事なのが、実施したものを記録しておくということ。
多分阿部梨園の違いはここだけかなと思います。やったことをちゃんと100件残すってことをしていたので、記録が残るとちゃんと進歩したなというのが見えるんですね。
進歩した部分をきちんと記録することで前の日よりもちょっと良くなったなっていう手応えを得られたことがモチベーションに繋がったんだと思います。特に大きい改善から着手しないということもポイントです。大きいことにチャレンジする前に、目の前の小さいことから挑戦した方が効果も高いですし、小さいリスクと小さいコストで大きいことが出来ると思いので、是非小さいものから着手してもらえるといいかなと思います。
佐川氏から最後に
私の結論からしたら、個人経営の農家さんも皆さん、ポテンシャルがありますよってことを伝えようと思ってきました。農業経営が良くないといいますが、現場目線から言うともっとやり方があって、伸び代があります。ポテンシャル、可能性が高いと思うので、是非みなさんもご自身の経営を見直していただいて、明日からできるような小さい改善を見つけていけたらと思います。
自己改善していくうちに、自分では出来ないことが出てくると思います。その時は、周りの同業の農家さんや専門家の人などが必要となってきます。そのためにも勇気を出して、いろんな場所でいろんな方と繋がりを持っておいていただけたらと思います。
私自身は、阿部梨園のフルタイムの勤務を一旦辞めます。阿部梨園の仕事を週2回ぐらいにしながら、個人事業として「ファームサイドワークス」という屋号で、活動していきます。情報提供だったり、生産者や企業さんのサポートをさせていただいております。
様々な企業さんと連携させていただいて、いろんな農家さんの課題解決を進めております。この後でも直接、名刺交換させていただいて、知り合えたら嬉しいなと思っております。
ご静聴ありがとうございました。
参加者からの質問
質問①
阿部梨園の阿部さんの農作業とそれ以外の仕事の割合とかはどのくらいですか。
回答①
阿部は圃場メインでやっております。もともと、日中は畑に出ており、夜に寝る時間を削って経理をやったりとか注文の管理をやったりとかをずっとしておりました。
今は、日中は畑に出て、夜にやっていた事務的な部分を私（佐川氏）が行なっておりますので、夜は前より寝る時間が確保出来るようになった感じですね。
阿部自身は生産（栽培）が好きで、梨作りにもっと時間を割きたいタイプなので、今のような分業になった感じです。
質問②
一緒に働く従業員さんの熱を上げる改善があれば教えてください。
回答②
スタッフのモチベーションを上げることに効果が高かったのは、どれかひとつっていうのは選べない部分があります。
例えば、作業時間を図るとかそれに対して目標を決めてゲーム感覚で仕事をするよに工夫して、スタッフ同士でゴールに向けてのコミュニケーションが出てきたことが良かったことのひとつですね。私や阿部を介さずにコミュニケーションが図れてきたと思います。
あとは、阿部梨園としてあなたを必要としてますよっていうメッセージを伝えるためにあの手、この手でこちらの気持ちを伝える試行錯誤をしていた感じです。
全４回最後までお読みいただきありがとうございます。本文中に何度かリンクを貼りましたが、「阿部梨園の知恵袋」のリンクを再度貼っておきます。ぜひ、活用していただき、農業経営力を高めましょう。
最後に。この記事を読んでいただき本当にありがとうございます。
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