Mさんとの出会い(3)
館が開所してしばらくした後、認知症の高齢者が町内のコンビニで万引きをした。コンビニに謝りに行き、Mさんにも謝罪に行った。
そのすぐあとで、今度はアルコール依存症の男性が、同じコンビニでお酒を万引きした。コンビニにはすぐに謝罪に行き、弁償をした。
私は思った。「ああ、これはまずい。Mさんにどんな顔をして、どう謝罪したらいいだろう?」
不安のなかMさんのお宅を訪ね、とにかく頭をさげた。
そうしたらMさんは、にっこりされて「そんなともあるさ。人間やろうもん。この町にだって、悪さするものはおる。そんなこと気にするな」と言ってくださった。
「ああ、この人はすごい。本物だ」と思った。救われた気がした。
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