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Buen Camino!!〜スペイン巡礼を終えて〜

この記事はスペインにあるカミーノデサンティアゴ(サンティアゴ巡礼路)という800kmの道のりを2021年11月21日〜12月20日の30日間をかけて歩いた際に体験したことや感じたことを綴っていきたい。

はじめに


カミーノデサンティアゴはサンティアゴ巡礼だったり、スペイン巡礼だったり、色んな呼び方がされている。”カミーノ”はスペイン語で「巡礼」という意味で、サンティアゴはスペイン語で、キリスト教の使徒である「聖ヤコブ」を指す。

(様々な呼び方があるので、ここからはカミーノで統一していきたい)

カミーノはキリスト教徒にとって神聖な道ではあるが、キリスト教徒ではなくても、色んな目的を持って多くの人がこの道を歩いている。

巡礼者は主に欧州人や欧米人が中心で、アジアでは韓国でも有名ではあるようだが、日本ではあまり馴染みがない。

実際に、今回の旅では日本人には会わなかった。

また、カミーノには色んな道がある。

その中でも、1番ポピュラーなのが今回私が歩いたフランス人の道だ。

巡礼者の多くは、フランス南部のサンジャン・ピエド・ポーから出発をし、ゴールであるサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す。

その道のりは約800kmで、日本でいうと東京〜広島間の直線距離に相当するらしい。

そうはいったものの全く想像もできない距離に、不安とワクワクの感情を抱えながら11月21日AM6:00に月に照らされながら、サンジャン・ピエド・ポーを出発した。

1、雨の向こうには太陽が絶対ある

「冬にカミーノはやめておけ」

ネットで冬の時期にカミーノを調べると、過酷すぎるのでやめておいた方がいいと書いてある。

実際に歩いた感想としては確かに過酷だった。冬の時期のヨーロッパはほぼ毎日がどんよりとした天気だった。

おまけに寒い。

激しい風や雨、雪などによって体の芯からどんどん冷えていく。

「あぁ、なんでこんなことしてんだろ。」と思ったことは何度もある。

でも、そんな状況でも諦めずにゆっくり1歩1歩進んでいると目の前に大きな虹が。

「そっか。諦めずに進み続けていれば今までの苦労を忘れさせてくれるくらいの出来事に出会えるんだ。」

暗闇の真っ只中にいる時は、気分も下がるし、なんでこんなことをやっているのかも分からなくなる。

「苦労は買ってでもしろ」なんて言うけど実際に苦労の最中の人からしたら、「じゃあ、買ってくれ」と思う。

でも、今回のカミーノでの旅を通して、辛いことや苦しいことの先には必ずそれを忘れさせてくれるくらいの出来事が待っていることを知った。

雨が降らなければ虹は見れなかったし、激しい雨や風の中でも進んできたからこそ、ゴールをして飲むビールに感動したり。

全ての出来事には自分を幸せにするために起こるんだって感じることが出来た。

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2、Respect nature

カミーノはスペイン北部の田舎町をひたすら歩き続ける。

冬のカミーノは閑散期でもあるので、周りに人はいないので大自然の中に1人ぼっち。

晴れた日には耳からは鳥の鳴き声。大きく息をすると、新鮮な空気が体中に染み渡る。

自然の中に身を置くと、五感がフル稼働し、「あぁ、幸せだ〜」って心のそこから感じる。

太陽の暖かさや自然はその時その瞬間ごとにどんどん違う姿を見せる。もう言葉では表せないくらい壮大で自分のちっぽけさを味わうと同時に自然には敵わないと思い知らされる。

私は寺や神社に行ってお参りをするけど、自分が神教や仏教を信じているかと言われたらよく分からない。

でも、その中でも自分を表すなら自然崇拝者が近しいと思う。

晴れるのかも雨が降るのかも雪が降るのかも自分にはコントロール出来ない。

そのくらい自然には壮大さとパワーがある。

大自然の中に身を置くと、本当に大切にしたいもの、自分にとっての核となるものにどんどん近づく。

コンクリートジャングルの中では、色んな人間の欲求に訴えかけてくるものに溢れている。

それに惑わされてつい大切にするべき当たり前のことを忘れてしまったり、疎かになってしまう。

スペインの大自然が本来大切にするべきものに改めて気づくきっかけを与えてくれた。

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3、ゴールは逃げない。逃げるのはいつも自分自身

毎日、どんな天候だろうと関係なく歩き続ける。

足の裏は見たこともない大きな豆が出来て進むたびにズキズキと痛む。

身体の調子も最悪で、そんな時に限って雨が降ってくる。

おまけに歩いている途中で、オ○クロン株がヨーロッパで流行りだし、家族から心配のLINEが入る。

「あぁ、もう帰ろうかな。」と何度も思った。

日本食は食べたいし、日本人は自分1人で心細い。

でも、それと同時にここで帰ったらそれ以上に自分の中にある大切な何かを失ってしまいそうだった。

これまでも、つらいことがあると自分には出来ないと思って、ゴールから背を向けてきた。

今回はそんな自分を変えたくて挑戦したのにまた同じことを繰り返そうとしている。

これまでを振り返っても、ゴールや夢はずっとそこにあり続けるけど、それを周りの環境とかを言い訳に手放してきたのはいつも自分だったんだということに気がついた。

だからこそ、今回はどんな状況だろうとゴールまで歩き続けると決めた。

ゴールした後に日本に帰れる保証なんてないけど、今自分にとって1番大事なのはこの道を最後まで歩き切ることだと思い、前に進んだ。

ゴールできた今だから言えるけど、夢を達成する上で最後に1番大事になってくることは自分の意志なんだと思った。

周りの環境ももちろん大事だけど、周りなんて関係ないくらい夢中でその目標を達成したいと強い意志を持っている人が夢を叶えるんだと思った。

夢を諦めるきっかけがきた時こそ、その夢を本当に叶えたいかどうか試されている。ということはゴールに近づいている証拠でもある。

本当にその夢を叶えたいかどうかを自分自身に問いかけるきっかけになり、それを乗り越えたからこそ、ゴールした時の感動がとんでもないものになる。

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4、今この瞬間を味わう

つい歩いていると「今日の宿はどうしよう」だったり、「もっと早く起きるべきだったな」とか未来や過去に囚われて、今この瞬間を味わうことを忘れてしまう。

先のことなんてどうなるか分からない。

過ぎたことはどうにもならない。

考えてもしょうがないことに意識を向けない。

今、この瞬間にできることは、今目の前に広がる大自然を全力で味わい、今この瞬間で出会った人との時間を大切に過ごす。

その積み重ねが未来を作るし、振り返った時に財産になっている。

今、この瞬間を味わうことに意識を向けて周りを見渡し、大きく深呼吸をする。

それを繰り返していくことが生きることなんだ。

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5、幸せに生きる上でモノってそんなにいらない。

2ヶ月間をバックパック1つで生活しているとこれだけのモノで生きていけることがわかった。

そして、モノが無くても、いやむしろない方が幸せを感じやすいんじゃないか。

世の中は便利なモノで溢れ、人の生活を豊かにしてきた一方で、余計なことをやったり、考える時間が生まれてしまったのではないか。

一生懸命に何かを成し遂げようとして、本来幸せに生きるために生まれてきたのに、心身を疲弊させてたら本末転倒じゃん。

食べて、ウンチして、働いて、お風呂入って、洗濯して、好きな人とお酒を飲んで、寝る。

人間本来の営みを効率化が進んでいる今だからこそ、今一度大切にしていく必要があると感じた。

幸せを感じることに本来はお金もモノもそんなにいらない。

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6、ゴールや夢は1人では達成できるかもしれないけど、1人で達成した時の感動なんてたかが知れている。

「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」というアフリカで有名な諺があるがまさに今回の旅は後者だった。

800kmという長い道のりは1人の力では絶対に達成できなかった。

足の豆を治療してくれたフランス人や美味しいご飯や宿を用意してくれた人、歩いている途中に「がんばれ!」って言ってくれた人たちや同じようにゴールを目指す仲間達がいたからゴールまで辿り着くことができた。

色んな人たちに支えられたからこそ、その分感動も大きいし、一緒にその瞬間を味わうことができる。

そして、色んな人が助けてくれたのは自分自身が今できることを全力でやってきたからだと思う。

周りの助けを求めてばかりの人を助けたいとは思わない。

むしろ、一生懸命に自分のベストを尽くしている人が誰かの心を動かして人が集まってくるんだと思う。

自らが全力で誰かに与えることをして初めて誰かから与えられる。

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7、同じ志を持つ多様な価値観の仲間と、1つのゴールを共に目指し、達成した瞬間を分かち合う

私が1番幸せを感じる瞬間は、

「同じ志を持つ仲間と一緒に1つのゴールを目指し、達成した感動を共に分かち合う」

「お互いの価値観をジャッジすることなく共有すること」

人と話すと、必ず新しい発見がある。

自分の見えている世界が少し広がっていく感覚を味わう瞬間が本当に幸せだ。

そして、そんな色んな価値観を持った仲間と、1つのゴールをああでもないこうでもないと言いながら、達成をして乾杯する瞬間が最も幸せ。

大きなことにみんなで挑戦するからこそ、その分大変なこともあるけどその分だけ感動も大きい。

そんな瞬間を味わいたいから、色んな場所に行くし、色んな人たちと会って、また新しい挑戦を繰り返す。

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8、俺の笑顔は世界に通用する!

「あなたの笑顔は周りを元気にさせる。」

同じようにカミーノを歩いてきた仲間が私にそう言ってくれた。

これまで色んな人に助けられてばかりで自分は誰かに恩返しできているのか分からなかった。

でも、ゴールをした時にその言葉をもらって、

「自分も与えることが出来てたんだ」って思うことが出来た。

自分の容姿に自信があるわけではなかったのでこれまでも笑顔を誉められることが何度かあったが中々信じることが出来なかった。

でも、今回の旅を通して自分で自分に✖︎をつけるのをやめにしようと思うことが出来た。

出来ないことばかりに目を向けて自分自身に自ら✖︎をつけるんじゃなくて、今できていることに目を向けてそれを思う存分相手のために使う。

1人1人すでに素晴らしい才能を持っているのに、それを認めずに自分の中にしまい込むのはもったいないし、それを使うことで誰かを幸せにできるかもしれないのに、自分が傷つくことばかり考えて何もしないのは相手に失礼だと思う。

もっと、自分を認めてあげてほしい。

そのままでも十分周りに何かを与えられることができる。

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まとめ

今回のカミーノでの旅を終えて、本を100冊読むよりも、1つの体験をすることの大切さを感じた。

本を読んで頭でそれを理解したとしても、それを心まで落とし込めないと薄っぺらい言葉になる。

自分が体験をすることで、頭にあった知識が心に落とし込まれてはじめて誰かの心に刺さると思う。

実際に動いて、体験したインプットは自分の財産になるし、オンリーワンの経験になる。

これからも色んなチャレンジを仲間たちと一緒にしていきたい。

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