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noteと岩手県教育委員会が連携〜探究活動にnoteを使う意義とは?〜

2022年度から高等学校で新しい学習指導要領が施行されます。「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」へと名称を変更ことに代表されるように「探究」という言葉が多くの新しい教科・科目名で使われます。

国語:「古典探究」
地理歴史:「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」
理数:「理数探究基礎」「理数探究」
「総合的な探究の時間」

この探究的な学びをサポートするための取り組みとして、noteと岩手県教育委員会の連携が2022年2月18日に公表されました。
今までも探究的な学びに関する動きはありましたが、本格的に始動する次年度に向けて各所で動きが活発化してきているように感じています。
今回は、noteと岩手県教育委員会の連携の内容にふれつつつも、探究的な学びにおけるnote活用の意義を考えてみました。

1.noteと岩手県教委の連携概要

noteは、すでに「教育支援プログラム」https://note.com/edu)というサービスを提供し、学校の授業や情報発信をサポートしていたようです。今回の岩手教育委員会の連携は、このプログラムを活用したものになります。
連携内容は以下の通りです。

1.岩手県の全県立高校63校がnote proアカウントを開設
各学校がnoteを活用して、探究的な学びの活動の様子を発信。誰でも簡単に記事の創作ができるnoteを使うことで、学校の魅力や特色などの情報発信が更新しやすく、届けやすくなります。

2.岩手県教育委員会がnote proアカウントを開設
各学校の記事を県教育委員会がまとめるページをnoteで作成。県教育委員会と学校がnoteの機能を活用し、共創型のWebメディアを構築します。

3.note社によるサポートや研修等の提供
県教育委員会および各学校に、noteディレクターが、note活用に関するサポートや研修を実施します。

PRTimeより

通常、note proは月額5万円で提供しているサービスで、2022年2月20日現在だと、全国20校がnote proのアカウントを開設しているようです。
対象は、全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校(公立・私立問わず)となっていて、多くの学校にその門戸が開かれています。
※1校につき、1アカウントまで

note proの機能は以下の通りです。

note proの主な機能
 1:noteの基本機能
 2:専用サブドメインの設定(※)
 3:ロゴ変更  
 4:メニューのカスタマイズ
 5:note教育担当ディレクターによるサポート
 6:専用アナリティクス など
※本プランでのドメインは「note.jp」からサブドメインを適用します。
 例 http://〇〇-es.note.jp/(小学校)
   http://〇〇-jhs.note.jp/(中学校)
   http://〇〇-hs.note.jp/(高等学校)
   http://〇〇-shs.note.jp/(特別支援学校)など

https://note.jp/n/n2480014e2185

2.noteと連携するとどのような教育効果があるのか?

「総合的な探究の時間」の学習指導要領では、探究活動を実現するためには以下のプロセスを発展的に繰り返すことが必要である、としています。

「探究のプロセス」
①課題の設定 → ②情報の収集 → ③整理・分析 → ④まとめ・表現

【総合的な探究の時間】高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)

しかし、この学習指導要領では、これまでの活動を「探究のプロセスの中でも「整理・分析」,「まとめ・表現」に対する取組が十分では ないという課題がある。」として改善を求めています。

今まで、課題があることはわかっていてもなかなか思うような活動ができていなかったという悩みを抱えていらっしゃる先生方がにとっては、noteのようなツールを「まとめ・表現」のためのツールとして用意しておくだけでも意義のある活動になるのではないかとも思います。

最近は、noteの文字や写真だけでなく、デザイン性の高いCanvaというサービスでも教育的な取り組みを始めていますので、さまざまな表現方法を学んでいくには良い時代になっているのではないかと筆者は考えています。

3.実は注目しているアナリティクス機能〜より深く「まとめ・表現」を学ぶために〜

note proの中には「専用アナリティクス」という機能があります。アナリティクスとは「分析」という意味ですが、恐らく作品の閲覧者数などを確認できる機能なのだと推測しています。

noteで作品(記事)を投稿したことがある人は分かると思いますが、記事を書く側の標準機能として自分の記事が何回閲覧されているのかをみることができます。
つまりこの機能を使うと、自分が書いた記事の中でどの記事が多くの人の目にとまったのか、読まれたのかということがわかります。
また、「ハートマーク」も共感数のバロメータとしてわかりやすいものでしょう。
筆者も閲覧数やハートマークなどを確認しながら、どの記事が多くの人に読まれ、どの記事が共感を得るものだったのかを数値として確認しています。

実際にはどのようなアナリティクス機能があるのか詳細は不明ですが、投稿した作品(記事)に客観的なフィードバックがあると、「まとめ・表現」が学習の最終段階とはならず、次の改善や工夫を促していくことができるようになります。
この改善や工夫の繰り返しが「発展的な繰り返し」につながると筆者は考え、noteというサービスを使っていく一つの意義になるのではないかと考えました。

最初は「まとめ・表現」という場としてnoteを使うことから始めて「人に伝わるとは何か」を考え、徐々に「どうしたら多くの人に伝えることができるのか」「共感を得るにはどうするべきか」といったことを試行錯誤していってもらえればと思います。
数年経ってくれば、先輩たちの投稿から学べることもあるでしょう。うまく活用していければ、デジタル上の作品(記事)の蓄積がその学校の新たな「伝統」となっていくといいなと勝手な妄想を膨らませております。

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