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卒業制作

なぜ書くようになったのか、第7回です。

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編集ライター講座も佳境を迎え、いよいよ卒業制作へ突入しなければならない時期がやってきました。

僕は仕事が忙しくなってしまい、取材などをしている暇がまったくない状況。取材しないでどう記事を作るか考えました。

僕は、2013年に亡くなった母のことについて書こうと決めました。
母の最期に立ちあえた経験を掘り下げておきたいと思ったからです。
こういった経験はなかなかできるものではありません。
自分の最期を息子に見せることによって、母は僕の中にとてつもない大きなものを残していってくれたのでした。

最期まで聴力は残っていると看護師さんが教えてくれ、一生懸命父と話しかけたのをよく覚えています。
「ありがとう。楽しかったよ!」

そういう僕らの声の中で母は旅立っていってしまいました。

母を亡くしてからの無力感。
しばらくして、そこから立ち上がってきた、生きる力。
俺もいつか死ぬんだと、死が自分のこととして身近に感じられるようになり、日々を大切にしようと純粋に思えるようになったのでした。

母の死から感じたたくさんのことを、文章にまとめて一区切りつけたいと思ったのかもしれません。

最期のホスピス病棟で母を担当してくれた看護師の方が、いろいろお話を聞かせてくれるということで、メールでのやりとりがスタートしました。

メールのやりとりは10往復以上したと思います。
毎回毎回、やたらと長い文章が行き交いました。
僕の知らない母の様子をうかがい知ることができ、ホスピスという場の理解もさらに深まっていったのでした。

それらを16枚の原稿にまとめ、卒業制作として提出。
僕としては全力でやりきりました。

受講生が提出した卒業制作は講師によって批評され、上位二人は編集会議という雑誌に掲載されます。

さて、どういう結果が出るのか。
僕はドキドキしながら、その日を待つことになるのでした。
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続く

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