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複雑

「第101回全国高校サッカー選手権大会 大阪大会 優勝」

この称号を手にしてから、2日が経とうとしている。


まさか自分の代で大阪夏冬2冠を達成できるなんて夢にも思っていなかった。
この結果を素直に誇りに思う。
そして、この仲間と共に2度も全国の舞台に立てて嬉しい。


この選手権では、いくらキャプテンとはいえ、ジャージを着てベンチサポートをしていただけの俺に、賞状を受け取らせてくれて、皆の前でトロフィーを掲げさせてくれたことに感謝したい。


決勝戦。
延長後半7分に決勝ゴールが決まり、2vs1となった。

最高の瞬間だった。
これまでのサッカー人生で1番幸せな瞬間だった。
今思い出すだけでも鳥肌が立つ。


そこから涙が溢れてきた。試合中に泣くなんて普通に考えて有り得ない。まだ何も終わっていないのに、結果が出たようなことをしてしまった。
どれだけ涙を堪えようとしても、最後の最後まで走り続け、戦い続けるピッチの仲間を見ると、涙が止まらなかった。
これまで途中交代で入る選手にはハイタッチと一声かけて送り出すようにしていたが、その時は声すら出なかった。
長いアディショナルタイムの末、試合終了のホイッスルが鳴った時、皆がピッチへと駆け寄る中、俺はその場で泣いていた。動けなかった。
そして、皆と抱き合い喜びを分かち合った。


2日が経った今、改めて考えた。
「あの涙の意味は。」

「これで負けないで済む」という安心感

そして

仲間ががむしゃらに頑張っている姿を見たことによる感動


この2つが、あの時の俺の気持ちの大部分を占めていたと思う。


もちろん、嬉しかった。ただ、何か違う。
試合が終わったあとも、家に帰ったあとも何故か実感が湧かない。 どこか他人事のような、そんな気がしていた。
それに加えて、ここからの約1ヶ月半、死に物狂いでで頑張ろうという決意が固まった。

やっぱり自分が試合に出ていないと、あの喜びを最大限感じられない。

これが一番自分の中で腑に落ちた解釈だった。
間違いないと思う。


頑張り続けるしかない。
自分の為に。
周りで応援してくれている人の為に。


決勝後、たくさんの人から「おめでとう」というメッセージが来た。
その中でも、これまでのチームメイトやサッカーを通して知り合った友達からのメッセージは少し他のメッセージとは重みが違った。

「この時期でまだ高校サッカーに本気で取り組めている」

大阪で1校だけ。全国で48校。
他は、一番の醍醐味である選手権がもう終わっている。


だからこそ、もっと頑張ろうと思える。
高校サッカーで終わりでは無いが、ひとつの区切りではある。
今しかできない苦労もある。その分、今しか感じられない喜びもある。


これまで結果が伴わないのになぜ続けてきたのか。残酷な世界なのになぜ。
サッカーが好きだから。そして、最高の一瞬を味わいたい。それだけだろう。


その最高の一瞬を味わうために、残りの2ヶ月。
1/9 成人の日の決勝までみんなとサッカーができるように。
やり続ける。

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