ブロックチェーンで変わるゲーム運営
あけましておめでとうございます。CryptoGames社の小澤と申します。1年ちょっと前にサイバーエージェントを退職しブロックチェーンゲーム で起業しました。
2019年6月末にブロックチェーンTCG「クリプトスペルズ」をリリースしまして、ユーザーの皆さんのお力を借りながら実証実験を繰り返し、少しずつ運用事例が出て参りましたので、「ブロックチェーンゲームで何が起きているのか?」少しでも多くの方にDappsにご興味を持っていただく為に、10年ぶりくらいに記事を書きたいと思いますw
ブロックチェーンゲーム の市場感や可能性については、ガウディの石川さんやtoken pocketの中村さんも書いているので、僕は主にブロックチェーンゲーム においての実際の運用事例についてご紹介できればと思います。
ブロックチェーンゲーム とは何か?
ブロックチェーンゲーム は「アセットが資産になる」「透明性があり改竄されない」「第3者による拡張性がある」と言われますが、ブロックチェーンはあくまで手段だと思っています。それでは、ブロックチェーンゲーム の本質とは何なのでしょうか??
結論、「インセンティブ革命によって、ユーザーが自走できるゲーム」だと個人的には思っています。
話が少し逸れますが、前職のサイバーエージェントという会社は、社員が自ら考え、自ら行動し、自ら自走することで成長する強い組織でした。
同じことがブロックチェーンゲーム で起きています。
アセットがストックオプションの役割を果たすことで、ユーザーもステークホルダーとなり、ゲームのことを考えてくれたり、大会を主催してくれたり、ゲームの運営者として自走し、ゲームが成長したらインセンティブ(アセットの価格の上昇等)が得られる。
ユーザー自身がオーナーシップ を感じられる体験。
まさに "ゲームユーザーのサイバーエージェント化” だと思っていますw
エンジェル投資でベンチャー運営に関わる、サロンへ参加し一緒に活動する、などにも近いかもしれません。
社員が自走できる環境を作るのが会社のように、
ゲームユーザーが自走できる環境を作るのが、ゲーム運営の役割かもしれません。
ユーザー自身がよりオーナーシップ を感じられる仕組み作りの事例をご紹介したいと思います。
ギルド機能
所属しているユーザーがゲームに課金する度に、課金額の15%のETHをギルドオーナーにスマートコントラクトで自動分配いたします。
ゲームの売上をそのまま分配です。
各ギルドはこれを収益源に、毎月施策を発表し、主体的にギルドを経営しています。初心者向けのギルドもあれば、積極的に大会を行うギルドもあります。各ギルドの方針、オーナーに共感をしたユーザーが集まります。
もう、小さな会社です。
ユーザー投票でのパラメータ調整
所有するカードのTotal Asset Valueに応じて投票券が分配され、毎月1日、ブロンズカードのパラメータ調整の決議を、ユーザー投票で実施いたします。
ブロックチェーンのPOS(Proof of Stake)の概念に近いかもしれません。
「選挙に行って初めて日本の政治に興味を持つ」ように、カードバランスについて活発にTwitter等で議論を行っていただくことで、オーナーシップ を感じていただけるきっかけになればいいなと思っています。
オリジナルカード発行権
もう、カードもユーザーが発行できちゃいます。
カード発行者には、該当カードが2次流通で売買される度、売買手数料の50%が半永続的に還元されます。
続きまして、コミュニティ主体で勝手に自走してくださっている例をご紹介いたします。
コミュニティイベントが勝手に開催
ユーザーさんが大会、オフ会、Twitterでのプレゼントキャンペーン等、自主的に実施・運営してくださっています。
ありがたいことに、身銭を切って賞品等も出してくださっている方も数多くいらっしゃいます。。。
最近だと
・謎解きイベント
・ユーザーの移籍をかけたギルド間の戦争
・トッププレイヤークラン「lupuScythe」
・みんなでつくる4コマ漫画
・有志ギルド「白の世界」
・新人広報リアル育成ゲーム
・オニキスくん
・ブロンズようちえん同盟
・ユーザー討伐イベント
・ブロンズマン
など、なかなかユニークなものまで。
DAU1500人のゲームと考えると、ソーシャルゲームではあり得なかった熱量かなと思います。
自らが主体的にゲームに参加できることでユーザーの熱量は高まり、
・課金率はソーシャルゲームのおよそ3倍
・ARPPUはソーシャルゲームの10倍
もの金額になっています。
(写真は、ハッカソンなど運営主体のイベントも含まれてます)
サイバーエージェント時代にゲームの攻略サイトを運営していたんですが、普通は市場の原則として、
・ヒットゲームが出る→群がるように攻略WikiやYoutuberが誕生する
のですが、インセンティブ革命によって、
・初期から一緒に応援する→成長したらみんなに還元される
と言う仕組みが実現しました。
新サービス勝手に誕生
もう、個人のエンジニアの方やパートナーが勝手に第3者サービスも作ってくれています。
ありがたや。。。
そして凄い事が、これに対し報酬は一切お支払いしておりません。(リファラル等のトークンエコノミーの仕組みはございます)
まとめ
いくつかの事例をご紹介させていただきましたが、これらは必ずしもブロックチェーンでしかできない事ではありません。そしてゲームである以上、完全に非中央集権的なDapps(Decentralized Applications)にはなり得ません。
(個人的には、今の実証実験がブラシュアップされ形になったら、「クリスペ プロトコル」として、初めて全ての合意形成をオンチェーン化 + オープンソース化したいと言う野望はありますw)
しかしながら大事なことは、ブロックチェーン技術を用いて、ユーザーに新しい体験を提供することだと思ってます。
そしてその鍵になるのは、思想としてのDappsによって生まれる「オーナーシップ によるユーザーの自走」にあるのかなと感じていますし、これはゲームに限った話ではないですが、ヴィジョンを示し、賛同者とともに共創していく姿勢がこれからはより求められていくんだろうなあ、と感じる今日この頃です。
(余談ですが、四半期に1度、ゲームのロードマップ発表&ステークホルダー総会的なこともYoutubeで行っていたりもしますw)
最後に
ブロックチェーンゲーム は、日本が衰退していく中で、世界で勝てる可能性のある数少ない市場です。(実際に今、世界上位は国産ゲームです)
CryptoGames社は、今後も「ブロックチェーン技術を使ってどうゲーム体験をアップデートできるか?」
という事例を追及し、刀を研ぎ澄まして参ります。
日本から新しい産業を生み出せるよう、今後も尽力して参りますので2020年も宜しくお願いいたします!
<追記>
業界に興味のある方、ゲーム会社さん、是非情報交換させてください!ぜひお気軽にご連絡ください!
小澤 孝太
1990年生まれ。中高時代引きこもりMMOゲーマー
2014年 慶應大学経済学部を卒業し、株式会社サイバーエージェント新卒入社。ゲーム関連事業を複数立ち上げ。2016年 CA36抜擢。
2018年 CryptoGames株式会社設立
https://www.facebook.com/kota.ozawa.106
info@cryptogames.co.jp
<クリプトスペルズとは>
『クリプトスペルズ』はウォレット・イーサリアムなしで遊べるブロックチェーンカードゲームです。 ERC721でカードを記録することで、ユーザーは所有権が証明され、自由な取引を行うことが可能です。2019年6月25日に正式リリースし、2週間のクラウドセール 売上は3000万円を突破し、国内最高記録となりました。
Web: https://cryptospells.jp/
Twitter: https://twitter.com/crypto_spells
OpenSea:https://opensea.io/assets/cryptospells
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?