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青年海外協力隊の人的ネットワーク

仲間とつながるタイミングは人ぞれぞれ

青年海外協力隊のメリットの1つが「人的ネットワーク」だと思う。JICA海外協力隊には188職種(JICAホームページから旧職種を除いてカウント)があり、年齢も経歴もバラバラな多様な人材が「国際協力」「社会貢献」「途上国支援」「SDGs」といったキーワードでつながっている。現在までに延べ参加者数が5万人を超える日本の国際協力の世界では大きな人材群である。

※JICA海外協力隊は総称で、それぞれ青年海外協力隊、シニア海外協力隊、日系社会青年海外協力隊、日系社会シニア海外協力隊の4種類のボランティア事業の形態がある。

人的ネットワークのつながるポイントは人によって異なるが6つある。

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1.職種のつながり
まずは職種でのつながりができる。これは派遣前訓練に入る前に職種ごとでの技術補完研修があればできるつながりだ。もし技術補完研修がなければ、派遣前訓練が同期隊員と出会う最初の場となる。

2.訓練所のつながり
2つ目は派遣前訓練だ。これは派遣国ごとに振り分けられ、長野県駒ケ根市、福島県二本松市の訓練所のどちらかで行う。ここで隊次によって人数は異なるが同期と出会うことになる。

個人的には、協力隊に参加するまで「国際協力をしたい」と思っていても自分が属するコミュニティでは、どうしてもマイノリティーだった。だが、訓練所では全員が同じ話をできる仲間であり、その喜びは何ともいえないものである。

訓練所は合宿生活なので、さまざまな小グループに振り分けられる。生活班、語学クラス、各委員、こうした小グループでのつながりも存在する。また隊次ごとに特色が違い、さまざまな自主イベントが企画、開催される。

3.出身地のつながり
3つ目は地域によって特色はあるかもしれないが、出身地ごとのつながりだ。これは訓練を終えていよいよ派遣国に旅立つ前に、各地方自治体に表敬訪問を行う。その際に同じ出身地の人とつながる機会がある。

昔ながらのOV会は各都道府県で構成されていることが多い。

4.派遣国のつながり
4つ目は派遣国でのつながりだ。派遣期間が2年間なので既に活動を行っている先輩隊員、自分たちより後に派遣されてくる後輩隊員と2年の間に多くの隊員とのつながりを持てる。

また派遣国にもよるが日本人が外国人-≒マイノリティーとなるので、日本人コミュニティも存在し、そうしたつながりも派遣国にいる間に生まれてくる。

5.在外研修のつながり
5つ目は在外研修でのつながりだ。これは全員ではないが、職種によっては希望して推薦をもらえれば、他国での研修に参加できる制度が協力隊には存在する。例えば、ウガンダでの稲作研修にアフリカ大陸の農業系隊員がカウンターパートと共に集って、1週間程度その稲作技術を座学と実地で学ぶ研修がある。その際は隊次や職種、派遣国もバラバラで出会うことになる。農業以外にも教育や保健など研修は多岐にわたる。

6.帰国後のつながり
最後は帰国後のつながりだ。帰国後は「青年海外協力隊」というワードでつながれる。出会いのきっかけは人それぞれだが、出会ってお互いが協力隊だと認識すると「隊次は?」「派遣国は?」「職種は?」といった定番の挨拶からすぐに仲良くなる。やはり同じ体験をしてきたという共通項は大きい。

番外編
番外編として、意外と仲良くなるのが青年海外協力隊の二次選考(面接)の時だ。合格こそしてないにしろ、協力隊を目指しているという共通目的があるので仲良くなりやすい。ここでつながってお互いに情報交換しているメンバーも少なからずいる。

これから重要だと思うこと

こうして見てみると、最初は同期隊員の内、同じ職種の人や訓練所が同じ人といった横つながりが強い。そして派遣されて本格的に協力隊活動が始まると派遣国内での縦のつながりが強くなる。

期間からしても派遣前訓練が70日間なのと協力隊活動が2年間なのだから、必然の結果である。しかしながら、同期とのつながりは、それまでマイノリティーだった自分と共感してくれる多くの仲間と出会えたというインパクトが大きく70日間でも強固なものになっている気がする。

こうした協力隊の人的ネットワークだが、2年の活動期間を終えてそれぞれの次の道に進みだせば、距離や時間の問題でなかなか活かす機会は少なくなる。コミュニティも限定的で小さくバラバラになっていく。

ここが少しもったいない気がしている・・・。

冒頭にも書いたように188も職種があるJICA海外協力隊。イコールそれだけバックグランドがバラバラな多様な人材がいることになるし、みなが開発途上国に飛び出そうというパワーがある人材でもあるのだ。

帰国した経験者たちも既にそれぞれが協力隊経験を活かし、今現在の場所で活躍しているのだが、新たな経験を積み重ねている隊員が再度集まれば、何か新しい面白いこともできるはずだと思う。

今回の新型コロナもそうだが何事も出口戦略が上手く機能していない。これは予測できないからということもあるし、“どこまで”、“誰が”、追い続けるのかといったこともあるだろう。またもともとその役割を担ってきていたOV会のような組織も、若手には少し毛嫌いされてしまっている傾向もあり、代替する機能がないのが現状である。

インターネットの発展により選択肢が増えたからなのか、コミュニティ運営も難しくなっているのだろう。実社会でのコミュニティ運営については都市部と地方部で、また異なるのではないかとも感じている。

※コミュニティについては下記の記事でも書いてみた。

今、Facebookグループも作成はしたが、まだまだ改善しなくてはいけないことが沢山ある。※協力隊のFacebookグループは幾つか存在する。

昭和までの近所づきあいはなくなりつつあるが、人とのつながりが無くなることは決してない。なので、令和の近所づきあい(オンラインも活用したコミュニティ!?)のあり方を考えていきたい。


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大学で国際開発論を学び、国連系NPO法人を経て青年海外協力隊(セネガル共和国・派遣)に参加。現在は国際協力の専門出版社にて勤務中。趣味は街ブラと高校野球。