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<読書>歌人 木下龍也さんから学んだこと

本を手に取る動機は様々ですが
木下龍也さんのご著書は

仕事でご縁があった方の会社を訪問したときの雑談で短歌の話題になり
「天才による凡人のための短歌教室」を読みとても良かったと教えていただきました。

ちょうどその頃、別の方から日常で植物に親しむには?とご質問をいただき
そのお返事として、いきなり育てるよりまずは観察や言葉から接しては?
こんな面白い本を紹介されました、とお伝えしたら、その方から
「あなたのための短歌集」を紹介されました。

こんな風に、感性がいいなあと思っている人から同時期に話題にされると
読みかけの本を傍に置いて、読みたくなりました。


「天才による凡人のための短歌教室」

これは、決してご自身が天才とは名乗ってはおられませんが
短歌教室で教えられる言葉は
歌人を目指さない人にも刺さります。
ビジネス感覚に長けた木下さんの言葉は
仕事をする上でも、まさにこの通り!と納得します。

書を捨てず町へ出ろ
テレビを観ろ新聞を読め
目を閉じてよく見ろ
歌人以外の顔を持て
きらきらひかるな
投稿で負けまくれ

「あなたのための短歌集」

オーダーに合わせて、その人だけに作った短歌集です。
短歌の個人販売。
2020年時点では1首6400円だそうです。

個人販売なので記録にも残さないし、公開もしない。
この本は2021年までの4年間に販売した700首の中から
提供していただいた100首を掲載されたそうです。

歌人、というビジネスにはほど遠い存在に思える方が
打ち出したビジネスモデル。
そのビジネス感覚に脱帽です。

新しいビジネスは成功すればすぐに周りが真似をして
持っていかれることもありますが
木下さんの感性はそう簡単には凌駕できないでしょう。
100首の中で私が好きな歌を1つだけご紹介します。

<お題>
 人は生まれた時から、もしかすると生まれる前から
 不平等だと思います。でも、不平等だからこそ生きたい
 と思えるような短歌をお願いします。
*短歌*
 大きさも深さも違う花瓶には それぞれ似合う一輪がある

木下龍也「あなたのための短歌集」より

天才による凡人のための短歌教室」を再読

最初に、後半に掲載されている推敲の実例を読んだ時に
どの歌も、私は推敲前の方が好きだと首を傾げました。

2冊目を読まなければ
きっとそこまでの理解で終わっていたと思うのですが
勧められた「あなたのための短歌集」を読んで、感動し
改めて「天才による凡人のための短歌教室」を読み返しました。

私はこの「天才による」「凡人」というタイトルに小さな反感を持ち、
素直な気持ちを持てずに読んだのかもしれないと思いました。
前書きにも 一首の完成度においては現役の歌人のなかでは
自分は「トップクラス」と書かれています。

どんなものも、心にバイヤスがかかっていると
せっかくの素晴らしい教示を正しく受け取れないのだと思います。

なぜこんな挑戦的なというか読者を試すような
タイトルにしたのでしょう。
「だれもがいい歌を詠めるよう指南します」みたいな
タイトルの方が売れそうなのに・・・・

もしかしたら、この本はタイトルで読者を選んでいるのかも知れません。

この本を読んで短歌を作りたくなる人と
ああ、無理だ〜と思う人に分かれるようです。

最初に読んだときは、私は後者でした。
再読して、歌を詠みたい、そう心が動いています。

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