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<映画>アイミタガイ

本日公開「アイミタガイ」を観てきました。

この映画は、市井昌秀監督が初稿の脚本を書き
それを読んだ佐々部清監督が手を挙げて
佐々部清監督映画として動き出していました。
佐々部清監督急逝の後、草野翔吾監督へ。

温かく、優しさに溢れた、とても素敵な映画でした。
美味しいハーブティーのように
心と身体を慈しんでくれる映画です。

映画はよく観ますし、涙ぐむこともありますが
こんなに泣いたことはなかったです。

周囲に人がいかなったこともあるでしょうし
佐々部清監督をはじめ、彼岸に旅立った
親しかった大好きな人たちのことも
重なったからかもしれません。

誰一人、悪い人は出てこない映画です。

映画の中でも、図書館に勤める人がこんなことを言います。
正確にセリフ通りではありませんが

仕事柄、本はよく読むけれど、いい人しか出てこない小説は
ちょっと胡散臭く感じていたけれど
今は、そういうことの素晴らしさがわかる

というようなことを言うのですが
まさに、映画を観ながら私もそう思いました。

金婚式場で流れるピアノは別の場所に居る人たちの
それぞれの人生を美しく包み込み
ああ、音楽っていいなあ、としみじみ思いました。

アイミタガイ(相身互い)という言葉は
主人公の祖母から発せられた言葉です。
映画では、その意味を問う孫娘に

誰からも何もしてもらわへん人なんて居らんと思う。
気ぃついてないだけで
いろんな想いが巡って自分のところに届いているんよ

と説明します。

このシーン、原作では

(祖母)
持ちつもたれつお互い様、と言う意味
(孫娘)
じゃあ、おばあちゃんに何かあったら向こうが助けてくれるってこと?
(祖母) 
そういう貸し借りっていうか、恩に着せようっていう浅ましい言葉じゃないねえ
もっと広い視野での助け合いっていうか
(孫娘)
ギブアンドテイクじゃないってことね。
でもお人好しすぎると助けるばっかりになっちゃわないの?
(祖母)
してもらわなければ損?そういう考えは昔の人にはなかったわね。
でもさ、誰からもなにもしれもらわない人っているのかしら。
この世のすべてが見通せている人なんていやしないんだから
知らないだけで、いろんな助けや思いがめぐって
きっと自分のところにも届いているのよ。

「アイミタガイ」中條てぃ より

孫娘は


相身互いと譲歩し、許容し、他人にかけてきた思いやりとは
めぐりめぐれば自分自身の明日を救うものなのか・・・

と思い至ります。

原作は、独立した5つの短編が最後には相身互いの連鎖で
繋がっていた、という結末ですが
映画では、バラバラの5つの話を1つの話としてまとめ
原作の持つ雰囲気を壊すことなく、より心に沁みる作品になっています。

実は、佐々部清監督とは、ひょんなことからご縁ができて
本や映画の話をメッセージでやりとりさせていただいていました。
お忙しい監督なのに、私が海外にいるときは
現地時間を確認して、今そちらは何時ですね、と
助監督時代に同じ場所に滞在された思い出などもお知らせくださいました。

そんなやりとりの終盤で、アイミタガイという本がとても良いと教えていただき
すぐに読みました。

佐々部清監督を愛する、佐々部組のみなさんの
完成させたいという思いが、実って素晴らしい作品になりました。

映画は、初日、それに続く土日の動員数で上映期間が決まる
ときいたことがあります。
是非、この連休に、この温かで優しい世界に浸ってください!

アイミタガイの映画化と佐々部清監督については
こちらでも書かせていただいています。

もっと、沢山お話ししたかった
もっと、監督作品を観たかったです。


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