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パターンの向こう側 〜白いご飯をバックバク〜

大阪を中心にたこ焼き屋を営む「たこ焼き王子」、実はちょっぴり小心者。

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(ホンマにうまくいくんかな……)

商売でも人付き合いでも、最初はいつも不安を抱えています。

大阪は、笑いと商いのまち。人を楽しませながら、楽しく稼ぐスキルが求められます。子どもの頃の人間関係も、大人になってからの商売も、小心者にはちょっと勇気が必要です。

(あの人がキーパーソンやな)
(このタイミングで発言すればウケるな)
(この空気感はちょっとおとなしくしとこ)

気が小さいからこそ、めっちゃまわりを観察します。そしてここぞという時が来たら、すかさず前に出ます。子どもの頃からの読みでタイミングはだいたい外さないから、人当たりは抜群です。

「お前ホンマにおもろいな!」
「笑いで白ご飯3杯食べれます!」

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発言や行動に出る前の、たこ焼き王子の頭の中の緻密な計算は、人からは見えません。

学校で友だちをつくる時も。
母とたこ焼き屋を創業した時も。
道頓堀に進出した時も。

(どうやったらうまくいくんやろ……)と悩みながら、人の動きや場の空気をたくさん観察しながらやりくりしてきました。そしてうまくいって、人の笑顔や事業の数字が見えるようになってくると、

「やったらできるやん!」
「めっちゃええ感じやん!」
「俺けっこういけるんちゃう?」

すぐ調子に乗るのでした。

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そうやってパターンをつかんでうまくやってきた(ように見える)たこ焼き王子でしたが、思いもよらぬ試練が突然訪れました。

新型コロナウイルスの流行による、半強制的な自粛です。

海外からの観光客は激減、大阪の街から人が消えたようでした。近年はインバウンドで成り立っていた道頓堀商店街も、大打撃を受けました。

「こんなん、私も経験したことないからなあ……」
創業から長く一緒にやってきた母でさえお手上げでした。

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「私もわからんから、あんたに任せるわ」
(おい、おかん!)

どこにも「パターン」が存在しないため、どうしていいかわかりません。
誰がキーパーソンで、いつが良いタイミングで、どう空気を読めばいいか、見えないのです。

(こんなんどうしょうもないやろ……)
小心者の自分がむくむくと起き上がってきて、たこ焼き王子は途方に暮れました。

(経営判断の問題じゃなく、潰れてる店もたくさんあるし……)
諦める口実だけで、白ご飯が3杯食べれる気がしました。

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人前に出る時は、ステージに立つような気持ちでキャラを演じてきました。でも、ホントはちょっぴり気が小さい、たこ焼き王子……
(どこが王子やねん)

心の中で自問自答を繰り返し、たまに自分で自分にツッコミを入れ、これからの生き方を考えました。

(せやけど……ついてきてくれる仲間のことはなんとしても守りたい!)

自分を慕ってついてきてくれている社員や家族を想うと、このまま潰れるわけにはいきません。今まで経験したことがなくても、周りも同じように苦戦していても、やっぱり大好きな人たちは守りたい。

小心者でナイーブな自分を受け入れてくれてる人たちの未来を、自分が諦めるわけにはいきません。

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(まわりを見てたらその間に終わってまう……何でもええからできることはないか?)

不安を押して、たこ焼き王子は自分にできることを考え始めました。

緊急粉もん宣言

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道頓堀商店街を盛り上げるキャンペーン

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低糖質のお好み焼きとソースの開発

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うまくいくかどうかなんてわかりません。でも、リサーチや観察に時間をかけられる余裕はありません。たこ焼き王子にとって初めて尽くしの挑戦が続きました。

(まだ、自分が今までやってこなかったことは……?)

先が見えない中を進むのは、安心できる身内がいないところでボケるような気分でした。スベった時のことを考えると、恐ろしくて夜しか眠れません。
(眠れてるやないかい)

たこ焼き王子は必死で「今までのパターン」から抜け出そうとしました。

今までは、どうやって人の輪に溶け込んでいくか、商売を受け入れてもらうか、まわりの人に合わせにいくことでうまくやってきました。でも、自粛ムードで人の輪や人通りはありません。
合わせにいく先がどこにもないなら、残る手段は一つしかありません。

「……デジタル、やらなあかんかなあ……」

アナログな商売をやってきたたこ焼き王子にとって、それは一番の苦手分野でした。喋ってなんぼの世界しか知らない分、どうしてもデジタルに冷たい印象を持っていました。

阪神タイガースのファンが、巨人の応援席に飛び込むような気分でした。

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それでも、やってみないことには先がありません。とにかく今は、「今までのパターン」から抜け出す時です。

「ここで終わって、なるものか!」

たこ焼き王子は声を上げ、震える膝をひた隠し、デジタルの波に立ち向かっていったのでした。

ここから先のお話は、2022年のリアルタイムへと続きます。たこ焼き王子の冒険は、果たしてこれからどんな道に向かって進んでいくのか……

時にはYouTube配信で、
時にはfacebookライブで、
時にはzoom飲み会で、

ぜひたこ焼き王子の挑戦を見に来てください。今までのパターンの向こう側には、きっとたくさんの星が光り輝いているはずです。

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(To be continued…)

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