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【楽しいルール】まちの会議文化

「これから」を考える人たちが集う町、加美原町。
ここの住人たちは、深い「思考と対話」が好きだ。
お互いの発想を広げ合おうと、今日も町は賑わう。

◆ この町の会議には、「共通認識」がある

博希のお母さんが勤めるアウトドアショップ。
竜さんが所属する和太鼓チーム、一気一遊。
進堂先生が勤務する中学校。
そしてサエさんのエステサロンや雫のお父さんの会社。
(詳しい物語は小説『思考と対話』をご覧ください)

業種や世代はまったく違っていても、
人と人が話し合う「会議」には共通認識がある。
「コミュニケーションには、デザインが必要だ」
というのがこの町の文化だ。

かつて「話し合い」の場にはルールがなかった。
だから気が強い人や話を遮る人ばかり目立って、
話し合いに納得できない人が多かった。

それまでの「会議」のイメージはこうだった。
「時間も人手も取られる割には、あまり価値を生まないもの」

少しずつ見直されてカタチができてきたのは、
「こんな会議なら自分で考えた方がマシだよ」
「もっとお互いの時間を大切にしません?」
「価値を生み出す深い対話にしよう!」
と少しずつみんなが声をあげていったからだ。

今ではすっかり会議に「ルール」が採用されている。
人と人が話し合う場なら、町のどんな会議でも。

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1.会議の中身は、「前日まで」にほぼ決まる

会議はまず、2日前までに全員が今の状況を報告する。
それをもとに議題がまとめられ、前日に共有される。
会議の題材をすべて整理しておくと、当日がスムーズなのだ。

会議が始まってから整理や確認を始めていては遅い。
もし準備なしで会議に臨む者がいても、参加は認められない。
当然、その時の議決権はなく、後から文句も言えない。
責任ある立場を全うしたければ、事前の準備が必要なのだ。

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2.会議の「進行と議事録」は、リーダーの仕事だ

かつて進行と議事録は、下っ端がやるものだと見なされていた。
でも、それだと立場が上の人に振り回されることが多かった。
おまけに、下っ端の書いた議事録は、誰も見返さなかった。

ある時、ある企業の会議で、下っ端が欠席した。
仕方なく遊び半分でリーダーが役割を担ったところ、
会議が全体的にうまく進み、盛り上がった。

リーダーが仕切ると、自分から話を脱線させることがない。
バランスも考えるから、みんなの発言を拾うこともできた。
議事録は、会社の今後の方針を確認する材料になった。
リーダーが率先することで、すべてに「重み」が生まれたのだ。

それ以来、進行と議事を担当するのは、最も会議を仕切れる者になった。

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3.ルールと議題は、「紙」に書いて貼り出される

会議の場では、「言った・言わない」の争いが一番不毛だ。
会話は形が見えないから、意見がすれ違いやすくなる。
その時々の思いつきに振り回されることも少なくなかった。

だから、大事なことは文字で見えて、会議中ずっと見えるようにした。
貼り出されたものを見れば、守るべきルールや手順がわかった。
いつもだいたい、こんな感じで壁やホワイトボードに掲げられた。

一、人の話は最後まで聞き、自分が話す時は手短に話す
一、アイデアを出す段階と決める段階は、分けて考える
一、人の意見はまず受容、「でも」より「だから」を使う
一、会議には制限時間を設け、2時間以上の会議はしない

4.会議から「排除される人」もたまにいる

かつての会議は、関係がある人はなるべく参加してもらっていた。
みんながいる方が、意見の幅が広がると思われていたからだ。

でも、実際は違った。
意見を出さない人は、話し合いの雰囲気を重くした。
決定に責任を負わない人は、好き勝手な意見で場を乱した。
準備不足や遅刻の人のための解説は、みんなの時間を奪った。

考えを深めたり、方針を決めたりするには、責任が伴う。
本当に責任を負える人以外は、会議に参加しない方が良いとわかった。

今では、会議は「最小限」に絞って開催される。
時間も人手も、できるだけ割かなくていいように準備される。

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◆ 大事な話なら、そのための「デザイン」が必要だ。

ただの議論や文句なら、飲みながら語ればいい。
そうじゃない大事な話なら、そのための準備が必要だ。

今ではすっかり、この町の会議はスムーズだ。
お互いのためを想って準備が進む。
組織やチームのために意見が出される。
決定に従って責務が全うされる。

一人一人に制限や負担を強いるのが「会議」ではない。
むしろ、その逆のところにこそ、会議の本当の目的がある。

会議は、みんなの可能性を広げるためにある。
一人ではできないことを、みんなで実現するためにある。

それをわかり合っているこの町の住人たちの会議では、
今日も熱く楽しい対話が繰り広げられている。

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小説『思考と対話』
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