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住人たちの物語『経験の幅は、受け入れ幅』

……人々の想像が創り出した町、加美原町。
この町の住人は発想を広げることが好きだ。
今日も「これから」を考える一日が始まる。

◆ 加美原町の住人には、モデルが存在する

この町は、実際に人が経験・学習したことをもとに作られている。
実在する「人生の物語」によって町は発展していく。

そしてこの町の発展は、小説『思考と対話』という作品となって後世に残されていく……
(※ネタバレはありません。初めての方も安心してお読みください。)

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ちょっと最近、千葉県市川市に、「まっつ」と呼ばれる人がいました

竜さんからの紹介で、雫は仕事をがんばる大人に会いに行った。
菅野駅近くの公園に現れたまっつさんは少し対応に困りながら、
「俺、話せることあまりないと思うけど」と弱気に語り出した。

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【勝手にキャラ設定】
山奥育ちの割に異様にコミュ力が高い三枚目。ゲームとマンガで培った計算力と語彙力が武器。でも本人にその自覚はなく、自信なさげな発言がたまに目立つ。すごいけどだらしない。だらしないけどすごい。どっちでも表現できるけど、実は能力値が高いという事実は変わらない。

「竜さんから、『せっかく魅力があるのに、まだ活かしきれてない人』って聞いてきました。というのも……」

 雫は竜さんから紹介してもらった経緯を先に伝えた。去年の夏に遊びの企画に失敗して(※小説参照)、今年はリベンジを企んでいた。その相談の流れで、まっつさんが紹介されたのだ。

「竜くんを見てると、たまに自信なくすんだよね。俺は全部が中途半端で、飛び抜けてコレといったものがないから」

「僕も自信がなくて、いろいろ試してるところです。まっつさんは今までどんな挑戦をしてきたんですか?」

「挑戦ってほどのことはしてないよ。野球、ソフトボール、麻雀、ゲーム、テニス、カラオケ……遊びばっかりだから」

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「いや、それだけいろいろやってたら幅が広そうですよ」
 雫にとって、大人から遊びの話を聞けるのは刺激的だった。額に汗がにじんで体が熱いのは、夏の太陽のせいだけではなかった。

「俺からすると、何か取り柄やカリスマ性がある人に憧れるんだ。俺も『思考と対話』のメンテナンスには参加してるけど、あまり仕事や人生にうまく活かせてないし」

「遊びの経験が役立ってるところはないんですか?」

「遊びが役に立つかはわからないけど、いろんな人との出会いはよかったかな。遊びによって関わる人が違うから、まわりを冷静に見たり、人への受け入れ幅を広げてきたりはしてきたかも」

自信のなさに見合わない冷静さが、雫には大人っぽく見えた。
二人は同時に水を口に含むと、そのまま話を続けた。

「それも立派な才能なんじゃないですか? ほら、最近オンラインでは『ファシリテーション』って注目されてるじゃないですか」

「ああ、実は今度ファシリテーションを試す会をするんだ」

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「え、じゃあ、ちゃんと挑戦してるじゃないですか!」

「……ほんとだね。言われてみれば、みんなが楽しめるイベントや交流を考えるのは好きかも。リーダーというより、引き立て役って感じだけど」
 まっつさんの表情が少し明るくなって、雫も緊張が緩んだ。

「ちなみにその飲み会はいつですか? 僕も参加できますか?」

「オンラインだし、飲まなければ大丈夫だよ。7月25日19時から1-2時間くらいの予定。雫くんも、新しい挑戦になるかな」

二人の挑戦と自信が重なって話が進むうちに、夏の青空にはむくむくと入道雲が天高く積み上がっていた。(つづく)

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小説『思考と対話』 〜発想を広げる、人生の物語をつくろう〜
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(ご購入者は小説グループにご招待、メール・コメントをお寄せください)

発行元 : 勉強を教えない塾 福幸塾(www.fukojuku.com)
創作指揮: 福田幸志郎(じゅくちょう・株式会社福幸塾)

※ この物語はハーフフィクションです。
  登場する人物・団体・名称等は……半分創作であり、
  実在のものとは……半分関係があります。
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