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まちのコミュニケーションジム①−2:共通認識が人間関係の第一歩

今日の相談者は、木月由成さん。
精密機器の設計開発に携わっている27歳の会社員だ。
今日は、「社内コミュニケーション」の相談でやってきた。

「あ、ありがとうございます。初めてで、あまり慣れてなくて……」
正倫がお茶を入れる間も、由成はキョロキョロしていた。
「僕も気を遣う性格だったので、わかります。今はちょっと図々しいキャラで通してますけど」
正倫は自己開示しながら、由成がリラックスできるようにリードした。

「え……あ、はい」
「へえー、岩城さんはエンジニアを」
「ゲームとかアニメが好きって、意外ですね。まじめそうですから」
最初は聞くだけだった由成も、打ち解けるにつれて反応が増えてきた。
初対面から砕けて話せるところに、逆に正倫のプロらしさが垣間見えた。

◆ お互いの理解が深まって初めて、話は次へ進む

「……それで、今日お越しになったご用件は?」
「はい、会社の人間関係で悩んでまして」
「では、少しきちんとお話を伺いましょうか」

本題に入ったところで、正倫は少し会話のムードを切り替えた。
誤解を生まないためには、この「切り替え」が重要だった。

(答えを教えるんじゃなくて、知識の「チューニング」……)

頭の中で重点を再確認しながら、正倫はヒアリングシートを取り出した。
「うちのジムはちょっと変わってるので、まずは確認させてくださいね」

【正倫のヒアリングチェックポイント】

□ どんな方とのコミュニケーションに関するご相談ですか?

「職場の上司と部下の関係や、開発部と営業部との関係に悩んでいます」

□ 木月さんの立場は、どこに位置していますか?

「板挟みになることが多いです。どちらの言い分もわかる分、余計にもどかしいんですよね」

□ 相手に変わってほしいと思うところはありますか?

「基本的に人は変わらないと思ってます。ただ、もっとお互いが歩み寄れたらいいのに、とは感じています」

□ 今までコミュニケーションについて学んできたことはありますか?

「人よりも自分を変えたいと思う方が多いので、読書やセミナーはよく受けてますね。十分かと聞かれると微妙かもしれませんが」

□ ご自身で学んでこられて、どんな効果や課題を感じていますか?

「知識を得るのは楽しいですが、自分の現状に落とし込むのは難しいなと感じています」

……ヒアリングを進めながら、正倫は期待をふくらませていた。
(この人なら、うちのジムにピッタリ合うかも!)


サポートがあると、自信と意欲にますます火がつきます。物語も人生も、一緒に楽しんでくださって、ありがとうございます。