『わたしはイモムシ』発売記念 桃山鈴子さんにいろいろ聞きました。
2021年6月、桃山鈴子さん作品集『わたしはイモムシ』がいよいよ全国の書店で発売となりました。海外からもAmazonで購入できます。
初回は予約注文のあった書店さんを中心に出荷しているため、お近くの書店になかったらぜひご注文ください。
↑アサギマダラ幼虫のお面を装着して書店回りをする桃山さん。左が未来屋書店北戸田店さん、右は紀伊國屋書店玉川高島屋店さん。
ひとあし早く5月にギャラリー・マルヒさんで開催された個展で先行販売を行ない、たくさんの方々にご購入していただきました。
緊急事態宣言下の東京で、個展を延期すべきかどうか桃山さんもギャラリーの方も悩みながら感染対策に留意しての開催となりましたが、幸いにして多くの方々にご来場いただき、問題なく終えることができました。
そして6月23日からは、青山ブックセンター本店さんで原画展が開催されることになりました。原画の販売はありませんが、ギャラリー・マルヒさんとは違う作品がいろいろ展示される予定です。
1年がかりでやっと完成した本のこと、個展のこと、桃山さんにいろいろ聞いてみました。
まず、作品集『わたしはイモムシ』について
編:完成した『わたしはイモムシ』を手にした感想は?
桃:不在票を持って、郵便局の本局に時間ギリギリで駆け込み、受け取りました。郵便局の駐車場に停めた車の中で開封。
まず、「わー 綺麗!」 と思いました。
それから心配だった侘助椿の花弁の白がちゃんと出てるか確認しました。
編:これですね↓ 色校でなかなか出なかった白い点描(左が修正前、右が修正後)。
桃:郵便局のそばに美味しいケーキ屋さんがあり、夫がお祝いにケーキを買ってくれました。一年間、全力投球したのでささやかなお祝いをしました。
私は気付かなかったのですが、夫によればその日私は寝るまで作品集を手から離さず、夫が本に触れたのは翌日だったそうです。
今でも自分が予期せぬ時に、じわじわ感動が押し寄せ、目頭が熱くなる発作?にたまに襲われています。
桃山さんの夫さんはこの本の影の最高功労者です。ご自身のお仕事の合間を縫って原画のスキャニングはもとより、データの調整、色校時のアドバイス、リモート打ち合わせのサポート。入稿してからも特典ミニブックのデータ作りをしてくれました。奥付にでっかくお名前入れたいくらいです。ありがとうございました!
編:もっと予算があれば本当はこうしたかったな〜、この絵も載せたかったな〜、という願望があればぶちまけてください。
桃:イモムシの展開図に関しては、総ざらい載せたかったです。
編:はい、そうですよね!
桃:また、山水画もすべて載せたかったです。
編:そうですね。私も選外で気になる作品ありました。
桃:イモムシの体を観察していると、キラキラと金粉、銀粉が見えることがよくあり、絵を描くときにもゴールドやシルバーを使っています。予算が許すなら、特色(金や銀)を使ってみたかったです。
編:そ、そうですね……もうそのへんで。
どの作品を載せるか、ぎりぎりまでいろいろありましたね。色校までは生き残っていたけどさしかえられたビロードハマキとか(その後、ビロードハマキは特典ミニブックで敗者復活しました)。
立場上、私はページの上限や印刷コストなどストップをかける側でしたが、コンプリートや金銀印刷、やってみたかったです。いつか豪華版『桃山鈴子 全仕事』が刊行されるときには実現しましょう!
ギャラリー・マルヒの個展のこと
編:5月のギャラリー・マルヒでの個展はどうでしたか?
桃:ギャラリースペースが古い日本家屋とお蔵で、額もギャラリーのオーナーが古材を使ったもので統一して下さったので、空間に木材が多く、イモムシの絵を飾るとまるでイモムシを森に放したような感じがしました。
お客様に使っていただくように虫眼鏡を5〜6個用意したのですが、絵の細部までじっくりとのぞき込んでいただけて、鑑賞時間が深くゆっくりと流れたことは良かったです。
↑靴を脱いで上がる古民家ギャラリー・マルヒさんの空間。表情豊かなしっくいの壁が作品と調和していました。
編:個展では大きなサイズの新作が3点発表されました。緑のクロメンガタスズメ、黒いセスジスズメがお客様のもとにお嫁入りしていったなか、繊細美麗なスギドクガは美形すぎたせいか今回いいご縁がありませんでしたが。
桃:「早く売れるということが必ずしも良いことではないのよ。まだもうしばらく一緒にいられるね」と言ってあげたいです。
↑美麗スギドクガ。またいつか原画展でご覧いただけるかも。
それまでは本で。
編:今回の個展で嬉しかったことは?
桃:ある虫屋さんが2度来てくれて、このキラキラがもっとちゃんと見たかったんだよなとおっしゃってくださったのは嬉しかったです。キラキラは作品集には印刷されないので、そのように原画を楽しんでいただけて本望でした。
他にもたくさん嬉しいことがありましたが、何より印象深かったのはイモムシ好きなちいさな子供が、一生懸命、私の絵を見てくれたことです。絵を見上げてくれているその姿が今でも心に残っています。
子供の目線での展示ではなかったので、今後は子供たちのために踏み台を用意したいなと思いました。
帰り際に会場の虫眼鏡をそのままプレゼントしたのですが、この日をきっかけに虫眼鏡でイモムシの美しい世界を覗くようになったらとても嬉しいなと思いました。
また、作品集が出版され、その発表の場として個展が催され、ずっと応援してくれた両親に少し恩返しができて幸せでした。
以上、桃山さんの喜びの声でした。
次回は、青山ブックセンターさんでの原画展の準備現場からお伝えします。
青山ブックセンター本店の原画展は6/23〜7/6です!くわしくははこちら!
『わたしはイモムシ』特典付き販売店などの最新情報はツイッターで発信中です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?