「ある星団のおはなし」(2)
第二章
・戦いの星・この星の住民は欲が強すぎる。争いごとに抵抗がない。土地争い、金銭争い、利権争い…いたるところでもめごとが起きている。
ある男が旅行に行こうとずーっと貯めていたお金でやっと旅行に行った。
数ヶ月後 旅行から帰ると、近所の人が住んでいた。「おい、何をしているんだ?」「空き家になっていたから引っ越したと思った。もう私が数ヶ月住んでいるから私のものだ。」「いや、俺のものがそころじゅうにまだ残っているじゃないか!!」「“今”は 私が使っているから私のものだ」
このもめごとは どんどん大事になっていった。両者はそれぞれに仲間を作り、暴徒化していくことになった。
ある女はとても退屈だった。そして満ちたりていた。「暇だ。何か刺激的なものが欲しい。」ある時ふと、ニュースで取り沙汰されている土地争いを目にする。女はとても高揚感を抱いた。数週間後にはその争いに加勢していた。参加してみると今まで感じたことのない緊張感と仲間のつながりを感じた。その争いの最中、銃弾を避けることが出来ず女は腕を負傷した。
腕の治療が必要なため野戦病院に行くこととなった。戦地も悲惨な状況であったけれども野戦病院も悲惨なものだった。医者や看護士不足と適切な医療が出来ない状況下で多くの患者がそこで生きていた。鼻につく強烈な異臭、ときおり聴こえる喚き声、日中の暑さと夜の冷え込み、痛み、空腹。いたるところに血の痕を目にする。なかでも辛かったのが隣のベッドで寝ていた私と同じ兵士だった。隣にいた兵士は夜ごと ぶつぶつ と後悔の言葉を 口にしていた。「ああ、どうして僕はここにいるんだ。なぜあんなことをしてしまったんだ…」彼は治る見込みのない手遅れなんだろうと女は思った。なぜなら彼には虫がたかるようになっていたし、医者はめったに彼を診ることはなかった。看護婦さんが彼の手当をしていたが、女はその傷口を見てしまい吐き気をもよおした。彼は日に日に衰え弱くなっていった。常軌を逸した様子だった。支離滅裂なことを言うようになり、何かに怯えていたかと思うと、口を空けたまま空(くう)の一点を見つめたまま時を過ごしていた。彼は数日後、死んだ。
女は手当てをしてもらっていた看護師の彼に好意を抱くようになっていった。彼はとても親切で丁寧だった。隣の兵士が死んだ時も祈りを捧げ、遺体を綺麗に拭いていた。あまりにも彼は女にとっては神々しい人であった。
「いつも手当てをしてくれてありがとう。もし、この戦争が終わったら一緒に□□へ食事に行きませんか?」「いいですよ、〇〇さん早く元気になってくださいね」彼はほほえんだ。
数週間後、彼も死んでしまった。
死因は毒殺だった。彼はとても親切だったから死んでしまった。道に弱っている人に出会い救助をした。弱っていた人は敵の兵士だった。味方の兵士はそれを知り彼を スパイ だと決めつけ殺してしまった。
1週間後、この戦争は第3者による大きな攻撃により一時中止となった。
女はとても憎しみを抱いていた。彼を殺した味方の兵士に、戦争に、そして自分自身に。
ある星団のおはなし
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