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「男性目線」の妊活と不妊治療体験談(前編)

はじめに


こんにちは、コウノトリBenefitという「妊活と仕事の両立支援ソリューション」を企業向けに提供しています、株式会社メデタの伊藤です。

"頑張る従業員をサポートしたい人事/経営者"と"妊活・不妊治療の当事者"の両方の橋渡し役に私たちがなろう、というのが事業コンセプトなので、二者それぞれの目線に立って書くのがこのnoteです。

今日は"妊活・不妊治療の当事者"、その中でも男性目線での話を自らの体験談をもとに書こうと思います。

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「不妊治療の情報は、ネットで調べてもわからない!」といわれることが多く、ブログや記事を読みあさっている人も多いと思います。現に私もそうでした。

ましてや男性目線の情報や体験談なんて、それはそれは少ないこと少ないこと。そこで、不妊治療中の方はもちろん、今は子どものことは全く頭になく仕事(とお酒)が大好きな私のような男性にも読んでほしいと思っています。


不妊治療の基本情報

「不妊治療」がピンとこない方のために、超簡単に日本社会における不妊治療の現状を説明します。読み進める前の前提として理解いただければと思います。

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Q.不妊症の定義は?
A.避妊せずに1年間性交を行って、できなければ不妊症です。
日本産科婦人科学会の定義:
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=15

Q.不妊治療ってどのくらいの人がしているもの?
A.夫婦に限って言えば、全夫婦の5.5組に1組が不妊治療や検査の経験があるされています。
いわゆる「2人目不妊」の方も多く、お子さんがいる/いないに関わらず、悩んでいる方がいらっしゃいます。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/30.html

Q.不妊症ってなにが原因なの?
A.女性側は、卵巣因子、卵管因子、子宮因子など。他に、男性因子、免疫因子など多様な要因があるので一概には言えません。

Q.不妊症は女性のもの?
A.いいえ、全体の48%が男性因子と言われており、私も男性因子が大きいのではないかと診断されています。

Q.え、男性ってなにすんの?
A.男性不妊はまだわかっていないことが多いのが事実です。わかっている原因の中でもっとも多いのが「精索静脈瘤」というもので、簡単にいうと精巣(キ◯タマ)のクーラー故障です。この手術を私はやりました。

男性不妊についてはseemさんがわかりやすくまとめています。
https://seem.life/lab/41



簡単に説明しましたが、結構この領域はなかなかに奥深い&複雑です。動物ってすごいですね。

さて、ここからは体験談です。(私の偏った価値観が入っているかもしれませんがご了承ください)

「妊活」の始まり

妊活は妻の一声から始まりました。「子ども欲しいよね!」と。

根っからの子供好きの男性を除く、多くの男性の想いはこうだと思います。

「どっちでもいい。けど、責任重くなりそうだな(仕事との両立大変そうだな)…」私もそうでしたが、かくして私たちの妊活は始まりました。

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妊活というと仰々しいですが、やることは実にシンプル。「排卵日に、"仲良し"をする」ということ。

ただ、これがまた大変で"排卵日"は仕事の忙しさを気にして来てくれないので、仕事で疲れて帰って来た時に限って当たるわけです。

女性目線の1ヶ月に1回しかこないチャンスを無駄にしたくない、という気持ちは痛いほどわかります。

しかし、男性目線でいうと「この日!」と決まって"仲良し"をするのはなかなか辛い。この心理的負担でED(勃起障害)になる人もいるみたいです。男性弱いな。

そうこうして1年、"仲良し"をし続けましたが、いっこうにできる気配がない日々が続きました。


不妊の発覚

1年立ったある日、妻から言われました。「不妊の検査受けに行こう!」と。

私の正直な感想は、「えぇぇ、不妊クリニック・・・?まだ早くない・・・?なんなら歯医者と健康診断以外でクリニック行ったことないよ・・・」という頼りないものでした。笑

とは言え、ここで反論しても何も始まらないのでクリニックについて行きました。(この時はまだ「ついていく」という感覚でした)

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そして妻側の検査をしました。卵巣・卵管・ホルモンを検査しましたが、大きな異常はなし。ということで「旦那さん側も検査してみましょう」とお医者さん。「えぇぇ、まじかよ」と私。

妻の熱いアプローチにより、私の苦手なオシャレ系美容室のような内装のレディースクリニックの「メンズルーム」にて、精液を採取し検査に出荷しました。

そして結果が返って来て、医師が一言。

「男性不妊ですね。かろうじて精子はいますが、元気がないので自然妊娠で授かる可能性は限りなく0に近いでしょう」

その時私は、夫としても、人間としても、オスとしても否定された気がしました。なんとも言えない感覚だったのを覚えています。(妻はその夜、夕飯にうなぎを出してくれました・・・笑)


変わらない仕事・増えるケンカ

とはいえ、仕事が楽しくてしょうがなかった私は相変わらず遅くまで仕事をしたり、遅くまで飲んで帰ってきたりしていました。

この辺りは妻には本当に申し訳ないのですが、やや現実逃避しようとしていたと思います。

そうすると妻との小さな喧嘩も増え、ある日普段温厚な妻もブチ切れました。

「しんごちゃん、本当に子ども作ろうっていう気あるの?」

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化粧をボロボロに落として泣いている妻の顔を見て、ようやく私も現実直視しようと思いまして、話し合う機会を設けることにしました。



そこでしっかり話し合って決めたのが
・まず私のクーラー故障に対する治療を進めること
・それから様子を見て場合によっては体外受精を試みること

という2つのこと。
(後で50万〜/回という体外受精の費用を見て、私はひっくり返りましたが・・・)


そしてもう一つ。大事なことである「妊活に臨むスタンス」を、「妊活は、2人にとってのチャレンジにしよう」と決めました。

どういうことかというと、

・妊活は目的ではない。あくまで目的は幸せに生きること

・子どもを作ることを目的にしてしまうと、育てるのが億劫になってしまったり、2人の関係を崩してしまうかもしれない。いち個人としての幸せな人生を毀損してしまうかもしれない。

・だから、子づくりはあくまでチャレンジ。もし納得いくやり方でチャレンジがうまくいかなかったとしても、挑戦した自分たちを褒めてあげたいし、挑戦のプロセスそのものを楽しもう。

といった感じです。上記を提案してくれた妻は本当にいいやつだと思います。

こうして、男性である私側の治療、そして体外受精にチャレンジすることにしました。

(後編に続く)





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