台風に関する3つの覚書
32年生きてきて忘れられない台風が3つある。
それぞれ災害の規模も異なり、自分が身を持って学んできたことも違う。
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本日はお仕事ということもあり早朝から車を走らせてみればなんだ、車がやけに多いじゃないか。
土曜の朝って、もっと道空いていなかったっけ。
ホームセンターはすでに車がいっぱい。スーパーだってまだオープン前だというのに車が数台止まっているではないか。
仕事で訪れたホテルの方の話では、部屋が満杯とな。
今回はいつもと違う雰囲気だ。
宮崎で育つと、毎年台風を経験しているので、ナメはせずとも馴れが生じてしまう。
とは言ってもこれまで生きてきて、忘れられない台風が3つある。
■其の一 1993年 台風13号
記憶にあるなかで一番古い台風経験であり、台風というものの原体験。
当時は5歳。夕方に〇〇レンジャーを観ていたら、突然プツっとテレビが消えた。
そのあと停電して、朝までずっと蝋燭か懐中電灯の明かりで過ごした気がする。ひたすら真っ暗だった記憶がある。
雨漏りもあって風呂桶を何箇所か置いていた。
冷めた夕飯を食べてそのまま寝て気づいたら朝を迎えていた。
晴れてるぞ〜と思って玄関を開けたら近所の人がたくさん家の前にいるではないか。
それにびっくりして扉を閉めた気がする。
そのときはよくわかっていなかったが、自分の家を外から眺めたら屋根の瓦が半分消え去っていた。庭の物置もどこかにいってしまった。
そのあと、家の屋根にビニールシートがかぶせられた。
ほら、災害現場のニュースでよく見るアレ。
このときの台風は幼かったことも影響してか、怖かったというよりひたすらエキサイトしてた気がする。このときの両親の心労は今考えるとすごかっただろうなと。だって、家なんて新築だったんだぜ……。
■其の二 2005年 台風14号
17歳。高校2年生のとき。
体育祭の最後、生徒指導の先生が「台風が近づいているので明日は休校です」と言った。
よっっしゃああああ!と思ったが、あとあとしんどい事態が待っているとはつゆ知らず。
台風の日、まあいつもの台風だと思って過ごしていたが、どうやら雨量が尋常ではないらしい。
自分の住んでいる場所は大丈夫っぽいが、どうやら街の方、とくに大淀川(宮崎市内最大級の川)周辺はヤバイらしいぞと。
そして、台風が去った次の日事件が起きた。
朝、トイレを済ませていつものように水を流す。
そのあとトイレに入った兄弟が言った。「水が出ない」。
そう、あれが起きた。
断水。
しかもまだまだ汗ばむ9月初旬。
どうやら宮崎市内の浄水場が機能しなくなったようで、ここから地獄の2週間がはじまった。
近所の中学校に自衛隊の給水車がやってきた。給水車にポリタンクを持って並ぶ列。災害現場でよくみるアレを自分が経験するなんて。
風呂には入れないから汗拭きシートや数少ない水で体を拭いたり、温泉に行ったり。それでも普通に学校生活はあるもんだから、まあしんどい。10代だし、まあいろいろ臭い気になるじゃない。
再び水が出るようになったあの日を決して忘れないぞ。
あの雨の日、カラオケから帰って蛇口をひねったときのあの感動。
水、水だぁ!
■其の三 2017年 台風?号
29歳。
忘れもしねぇ。
初めて冠水路を突破したあの台風。街中が冠水して波打ってたアレ。
上陸した日は大事なお勤めがあった。
その日開幕の映画イベントでスタッフをしていた僕は、開会の挨拶を任されていたのだ。しかし、未明から暴風雨。それでも予定通り行われるということで、どれだけ濡れてもいいように完全防備で家をあとにする。
車に乗り、いざ参らん。
運転こえーなーと思いながら数百メートル進むと、なんと道に水が溢れているではないか。誘導員っぽい人がこっちくんなと合図している。
仕方なく引き返し、別ルートを進む。
お、こっちはいけるいける〜とか思っていたのも束の間、だんだんジャブジャブしてきて明らかにそれ以上進むとエンストすることが目に見えてる。
こわっ!と思って咄嗟に少し高くなったスーパーの駐車場へ逃げ込む。他のドライバーもみんな冠水路から避難してきた。これは無理だわと観念し、今しがた来た道をまたエンストの恐怖と戦いながらジャブジャブ進む。
無事、自分の契約駐車場へ戻り車から降りた瞬間、目に入った光景に驚愕した。前方のナンバープレートが前に迫り出して、留め具によってかろうじてくっついてる状態。たった数10センチの冠水でも車が前に進まない、そしてプレートが曲げられる。水圧こわっ!
その後、開会挨拶は事情を説明して急遽他の方に代わっていただきました(結局、夕方になって会場入り。その道中はまあ台風すげーなって光景でした)。
自分の家がかろうじて高台にあるので無事でしたが、周辺は田園地帯ということもあり水没してました。あ、自分の住まい無事でも孤立するってことがあるんだなと学んだ台風。
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そして、今回の台風10号は特大級のようで悪さすることは間違いないでしょうね。
名前もHAISHEN(ハイシェン)、海の神だってさ。
ということで、みんなサバイブしましょう。
すでにスーパーやホームセンターがディザスタームービーのようになってきましたが、ほんとのディザスターはこれから。
いや、真面目な話、まじでサバイブして生き残ろう。
みんなの無事を祈る。
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