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言葉の力

この間、患者さんに言われた一言が私の看護師としての原動力を思い出させてくれた。

「おかげさまで勇気が出ました。決めたよ、手術する」
患者さんはそう言って初めて笑顔を見せてくれた。

私も約10年前に病いを患い、手術を含む治療をした。看護学校3年の秋だった。
やっと看護師になる夢が叶うと思っていた矢先の出来事で、病気を宣告された時は頭が真っ白になり数週間はふわふわ浮いた気持ちで自分だけ違う世界にいた。違う世界に居つつも治療は始められ、現実は進んでいっていた。

そんなふわふわした気持ちの中でいざ手術となって、看護師の卵なんだから痛みにも恐怖にも耐えなければいけない、と必死にカーテン越しに痛みを耐えて治療をしていたときに、私が涙を流したことに気づいた看護師さんがカーテン越しにいた先生に何か目配せをしたことに気がついた。その時に先生がふと私に声をかけた。

「⭐️ちゃん。これを乗り越えたらあなたは誰にも負けない看護師さんになれる。だから、負けるな」

ふと、患者さんの言葉からその過去の場面を鮮明に思い出した。

あの時たくさんものを失ったのも事実。失ったからこそ新たに得たものもたっくさんある。

業務に追われ殺伐としてしまいがちの現状に、看護師として患者さんの話を聞ける「今日」があることに改めて感謝しないといけないと思った。

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