映画 「仕掛人・藤枝梅安」第一作
(ネタバレあり)
池波正太郎の小説が原作。
昔、テレビドラマで藤枝梅安役を緒形拳がやっていたのを見ていたので(必殺仕掛人シリーズ)、梅安=緒形拳のイメージが強かった。
その他にも多くの俳優が梅安役をやっていて、それぞれに個性があったが、私の中の梅安のイメージは緒形拳が強い。
本作は今年公開された新作で、梅安役を豊川悦司が演じている。
緒形拳の梅安は陽と陰があって日常は陽、仕掛に入ると陰の二面性があったが、豊川梅安は全体的に陰が強めに演じていた。
今までの娯楽系時代劇にありがちな性描写・性暴力シーンが、本作は極力抑えられているところが好もしかった。
梅安の仕掛人仲間・彦次郎を演じている愛之助がよかった。歌舞伎の本公演で主役を演じる機会もある愛之助だが、実は主人公を引き立てる準主役的な役をやる時の愛之助がいいのだ(封印切の八右衛門とか)。それが今回も生きた。
豊川梅安のバディ的存在で、地味な職人だけど訳アリ感を出しつつ抑制された演技だった。歌舞伎っぽい演技ではない。だけど、職人らしい所作は歌舞伎役者として体得した「それっぽさ」があった。
エンタメ映画だが、性描写は抑えられていて、代わりに男たち(梅安と彦次郎)の食事シーンが多いのが印象的だった。
男たちの食事は「うまいねぇ」とつぶやくくらいで決して多弁ではないが、心を許した者同士の気の置けない食事という感じが、画面から伝わってきた。
二人の結びつきの強さが、言葉少なに酒を酌み交わしつつ食事をするシーンで表現されていて、それが時代劇にしては新鮮。
とはいえ、時代劇なのでチャンバラシーンはもちろんある。
早乙女太一の立ち回りは見事。
ストーリーは、公的に裁かれない悪人を闇に葬る仕掛人というより、依頼されたらやります的な職人風殺し屋としての仕掛人という側面がありつつ、仕掛対象者と梅安の因縁があり、悪い奴らを粛清する暗殺者的な側面もあり、最後はなんだか大量殺人みたいになっていた。
面白かったけど、お金で仕事をする殺し屋がお金にならない殺人をあんなにやって収支があうのか心配になってしまった。
映画「仕掛人・藤枝梅安」公式サイト (baian-movie.com)
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?