広告商品レビューvol.1 職場少女 fighting! ~IYAGAMES広告ファン視点の感想文~
広告と商品は合わせて一つ。商品が無ければ広告は出来ない。別に広告が無くても売れる物は売れるんだけど。 だから、広告をレビューするならその広告した対象となる商品がどんなものかもある程度把握しておく必要がある。広告に対して3年も感想を書き散らかしてきたわりに、広告を見るYAKISOBAというnoteでは広告された商品への感想、レビューは一つも書いてこなかったのだ。
広告は毎月大量に出て来るし、わざわざゲーム本編を確認してから広告に感想をつけていく事は本業で広告レビューを出来ない限り時間の都合上非常に難しい。現状は趣味の範囲で広告を見て感想を書いているため、広告されたゲームを触ったり、商品を使ってみたりというYoutuber的なふるまいをしながら大量にやってくる広告をレビューするのは困難である。
そんな中、わざわざ「これは遊んでみたい!」と思わせるゲームが登場した。
職場少女 fighting!である。
・職場少女 fighting!とは?
職場少女fighting! は、あのおねがい社長を送り出したIYAGAMESの新作放置RPGである。念の為おねがい社長を知らない方のために説明しておくと、そちらは2020年7月に登場した会社経営シミュレーションゲーム……と言う名の課金しないと中々進まないクッキークリッカーみたいなもんである(自分が実際に遊んだのは2021年頃なのでその頃よりも色々変わっていたらごめんなさい)
とはいえおねがい社長が話題になっているのはそのゲーム性よりも奇抜な広告の数々。2023年にはいち早く生成AIを取り入れたり、珍妙な茶番に山田孝之を巻き込んで地上波広告をやったりとノリにノッていたゲームの一つです。もちろん儲け自体もかなり出しており、広告を長い事やっているだけあって知名度、収益ともに下手なソシャゲよりも高い。
そんなIYAGAMESの新作なのだから、広告を見ている人間としては新作スタートダッシュをせざるを得ない! という心意気があった。
・放置ゲームの面白さとは?~職場少女自体は普通の放置ゲーム~
という訳でレビューしたいのだが、正直言って職場少女の内容は極めて凡庸な放置育成ゲームである。育成用素材とプレイヤーレベルの経験値、キャラに装備させる武器が放置報酬でもらえて、これらを活用して武器を強化したり、キャラクターを強化したりする一助に出来る。だが放置だけしている他のプレイヤーよりも一歩抜きんでるには課金をしなければならない。
それでステージをひたすら進めて、ガチャへの課金でキャラを集めて、PvPやボスのスコアアタックを楽しむ。基本はそれだけだ。特殊なシステムとしてガチャを回すと欠片や育成アイテムがもらえて、その欠片を一定量集めるとキャラが獲得出来るという所はあるが、それも稼働当初であるからか中々欠片が集まらず、新キャラの入手は難しい。
一応かつてAFKアリーナと言う放置育成ゲームを真面目にやっていた自分が分析する、放置ゲームの楽しいポイントは以下の三つである。
例えばAFKアリーナの場合は最初のうちに10000円程度課金し、最初の1年は月間パス2つ併せて約2000円分を毎月買っていたのだが、これだけの微課金でも無課金の編成には圧倒的に勝てる。
当然自分よりも課金していない連中よりステージの進みも良いし、課金すればするだけ戦力も伸びる。そしてゲーム内の記載も巧妙で、通常の課金よりこの課金パックは2000%お得! みたいな文句で課金パックがお得である事を伝えてくる。つまり放置ゲームは課金が楽しいゲームに仕上がっている所が大きな特徴だ。
その上始めて一ヶ月くらいは本当にサクサク戦力もレベルも上がってステージも進むのだが、これが他のソシャゲと比較すると楽しい。育成が大変で高難度ステージは面倒なギミックの詰め合わせで……みたいな既存ソシャゲに飽きているタイミングだと、放置ゲームのシンプルさは猛烈に刺さる場合がある。
・普通のキャラゲーと比較すると課金のコスパが良い
放置ゲームの課金マジックはAFKアリーナ登場当初、2020年6月30日にプレイしていた天井が無かった頃のFGOを比較対象に挙げると分かりやすい。天井が無かった頃のFGOは何万、何十万と課金しても目当てのキャラが当たらない可能性があるゲームだった。
それに対してAFKアリーナは課金すれば最高レアのキャラがじゃんじゃん出て来て、課金すればするだけ絶対に強くなる。低レアのキャラも高レアキャラの育成に必要なので、低レアをたくさん引けた方が嬉しい場合だってある。
しかもその頃、AFKアリーナは放置育成ゲームジャンル黎明期を代表する出来の良いタイトルだった。他に似たようなゲームは放置少女程度で、放置少女とは違って王道海外ファンタジーっぽいテーマのゲームであった事からも話題を獲得。新奇性もあいまって相応に収益を得た。
大抵の放置ゲームにはVIPシステムというのがあるのだが、これがまた課金を促進する。VIPレベルが高くなればなるほど放置報酬がグレードアップしたり、ログインボーナスが良くなったりする。放置ゲームに課金すればするだけ、ゲームを有利に進められるのだ。
一見これは無課金冷遇の微妙な施策に見えるかもしれないが、実際に課金する側としてはガチャで当たりが一つも引けなかったとして「でもVIPレベルが上がったから無課金野郎共より俺の方が有利だよな……」という逃げ道があるのはとても大きい。放置ゲームでも当然ガチャで負ける事はあるのだが、それが完全に無駄にならないのは結構嬉しいのだ。
10000円課金して確定枠の使えない★4概念礼装と★3以下の何かしか出てこないなんて不快な事が無いし、課金したら絶対に得する! なんて素晴らしいゲームなんだと始めた1年目くらいは思っていた。
総括すると放置ゲームは課金しても高確率でハズレが出るようなキツいキャラガチャがあって、新シナリオが無い間は育成と素材周回で時間を稼ぐようなゲームが流行るとカウンター的に流行るジャンルだと言える。
・放置の末路
……とはいえ、長期的に見るとFGOに微課金した方がよほど安上がりだったかもしれないと現実が分かり始めてきたのは開始から2年ほど経過した頃。2022年になると当時の比較対象であったFGOにも天井がついたし、ゲームを放置し続けるうちに問題点も見えてくる。
時間が経つにつれて無課金、微課金層はいなくなるので、課金しても結果に繋がりづらくなるし、VIP会員のレベルももう度を超えた課金をしないと上がらなくなってしまう。長期的に廃課金をつづけたプレイヤーと短期的な課金プレイヤーの差は埋められないほど大きくなり、メインの戦力比べゲーム、ステージ進行度勝負ではもう土俵にすら立てない。
ほどほどに遊ぶとしてもある程度強い編成は決まってしまうし、そもそも基本的に戦闘は見ているだけなのでどんなに演出が凝っていても飽きてくる。ストーリー面を追うにせよものすごく凝ったストーリーがある訳でも無し、長期的にプレイしているソシャゲ特有の装備やリソースが溢れてきてやりくりが失われるマンネリもやってくる。
その代替としてチーム遠征という複数ギルドによるPvEレイドバトルや、運命のゲームというリアルタイムカードゲーム、果てはVampire Survivor的なミニゲームである暗闇の侵入まで登場した。あらゆる手段で飽きが来ないようにしていたとは思うのだが、ゲーム自体の飽きは改善しようがない。また当時のAFKアリーナの失敗としては当時の最上位ギルドと運営が癒着してチーム遠征(ギルドレイドバトル)の最終ボス編成をリークしていたという不祥事もあったのだが、これに関しては運営の問題なので割愛する。
・二番煎じの放置ゲームの苦しさ
自分が職場少女fightingをプレイする上で都合が悪かったのは、事前にAFKアリーナをみっちりプレイしてしまっていた事もあるだろう。放置ゲーム自体やっている事は大体一緒なので、2つ目3つ目の放置ゲームはやっても「また一から育成やり直しかあ」という徒労感の方が強まってしまう。
この点は放置ゲームが悪いというよりも、やる事が単調なジャンル特有の2タイトル目を始めるしんどさを指摘したい。2010年のガラケー時代に流行ったソーシャルゲーム、いわゆるドラゴンコレクションやリニューアル後の探検ドリランドなど、5キーを連打するポチポチゲーもシステムが極めて似通っているため、わざわざ2タイトル目を始めても新奇性が無い分退屈に感じてしまう。
AFKアリーナ、放置少女以降の二番煎じ放置ゲームも同じ問題点を抱えている。放置ゲームという基本システムを知っている人からすると放置をしなおさなければならず、結局課金しなければ面白い所までいけない事を知っているが故に2タイトル目を始めるのがとてもつらく感じてしまうのだ。
・人は最初にプレイした放置ゲームを親だと思う
とはいえ、それは二番煎じを二番煎じだと知っている場合である。逆に二番煎じだと知らずに遊ぶ分には結構面白いし、事実二番煎じだと知らない層に対して定期的に放置ゲームジャンルが流行する事は触れておきたい。
まだ放置ゲームを知らなかった層が初めてジャンルに触れた事によって発生するヒットが毎年1タイトルくらい存在している。2021年はウマ娘が流行した影響か明確に流行った、儲かったと言える放置ゲームはすぐに出てこなかったが、2022年にはメメントモリ、2023年にはダークテイルズとドット勇者が登場している。
1年、あるいは半年に1回程度放置ゲームを知らない人が放置ゲームに触れて課金して、ジャンル自体の厳しさを知って引退して、次に放置ゲームが出た時には「以前やったあのゲームと一緒じゃね?」と感じて放置ゲーム自体をすぐにやめてしまう。
だから次に放置ゲームが流行るのはちょうど1年程度ジャンルを寝かせた後、ドット勇者の話題がひと段落して、その当時の流行を考慮した魅力的なテーマを持つ放置ゲームが登場した時だと予想している。
細かい話をするとドット勇者は戦闘システムや放置ゲーム最序盤のつまらなさを軽減するシステム実装も頑張っていたが、それくらいの工夫が無いと単純な放置ゲームではもう飽きられているのは補足しておきたい。キャラ揃えて編成を凝り始めると面白いのはAFKアリーナも一緒だし……
・その他職場少女に指摘されている問題点
・プリコネからのモーション盗用疑惑
自分自身はプリコネ未プレイなのでピンと来なかったが、必殺技モーションがプリコネに酷似しているらしい。デフォルメキャラ自体もプリコネに近く、かなり黒目が濃い。
・公開されている特典コードの数が盛られている
広告ではGENKI33、GENKI55、GENKI77という3つの特典コードが記載されているが、この3つは同一の特典コードとして扱われている。
例えばGENKI33を入力したら、GENKI55、GENKI77は無効になる。これはガッカリしてしまった。
・広告に過度な誇張や虚偽が含まれる
このnoteの愛読者は感覚がマヒしてるかもだけど、本来広告に過度な誇張があるってのは怒られる話なんだよね。現状こんな3Dモデルは本編に出てこないし、こんなミニゲームも無い。でもこのクオリティの3DCGが出てくるくらいならLive2Dで動くキャラで良いなあと思うのは自分だけですか?
……とはいえ、放置ゲームにおける広告は生命線である事もまた事実。ゲーム内容がほぼ一緒なのに評判や知名度に差が出てくるのは間違いなく広告の力があるし、ウソをつこうが誇張があろうがとりあえず興味を持たせることが出来て、そこからダウンロードまでさせてしまえばその人にとっての最初の放置ゲーム体験の座を奪えるかもしれないのだ。
そうでなくてもとにかく知名度さえ獲得出来ればあとはダウンロードさせて課金まで誘引出来るチャンスがあるからこそ、あらゆる広告を用いて放置ゲームはプレイヤーを呼び込もうとする。だからここは現代放置ゲーム全般の問題点とも言える。
・結論:職場少女fightingは二番煎じでつらかった
AFKアリーナやポチポチゲーの例まで出して何が言いたいかと言えば後発の放置育成ゲームは何か新奇性がないとすぐ飽きるし、職場少女fighting自体はマジで普通の放置ゲームだったのでゲーム本編で何か面白いのかと言われると正直そこまで面白くなかったという話になってしまう。
これまで放置ゲームをやった事が無い人間であれば放置ゲージャンル特有の目新しさで面白さを見出せるかもしれないが、その面白さは他のゲームで既に通った道である。あるいはこの絵柄が好きなら、もう少し続けられるかもしれない。
ちょうど皆が放置ゲームの新奇性をしゃぶったタイミングで出てきた二番煎じの職場少女はそもそも立ち位置がつらいのだ。まだ始めて3週間だからひょっとしたらこれから面白味が出てくるかもしれないけども、少なくとも3週間も(二番煎じだなあ……)と思いながらやっているのは自分がIYAGAMESファンだからに他ならない。普通はやめているだろう。
・職場少女fighting!を始めた理由
ここまで書くと職場少女fighting自体が二番煎じで惰性でやって惰性でレビューを書いたんじゃないかと思われるかもしれないが、実は始める理由自体は2023年の東京ゲームショウまで遡る。
今にして思うと対応が良かったのはその時の来客が自分だけだったから丁寧に対応してくれただけかもしれないし、自分がおねがい社長の広告が好きなだけだった可能性もある。
でもやっぱり実際に出典に出向いてちゃんと応対してくれたみたいな経験って、変な広告をやってたとかゲームが二番煎じとかそういう問題点をさておいてしばらくはやってみようかなと思わされたんですよね。
だから広告を頑張ろう! という話はインターネットで変な広告を垂れ流したり様々なマーケティング手法を学んだりする事も含まれるだろうけども、それ以上に地道な好感度戦略やちゃんとおもてなしするみたいな話がすごく大事になるんだなあと実感しました。
じゃあ普段IYAGAMESが執拗に嘘広告、存在しないAI美女広告をやってるのは一般人に対してあんまり良くない広報活動なのでは……?
~レビューおわり~
・おまけ~職場少女Fighting関連グッズ紹介~
・TGS2023出典時のIYAGAMESブース小冊子
IYAGAMESが東京ゲームショウ2023に出典した際の小冊子。この頃は職場少女fightingではなく、「コード:異能少女」という仮題で登場していました。
この小冊子の表紙に掲載されているのは職場少女ではなく「コード:異世界」という別の開発中タイトルであり、もう次の開発中タイトルの告知を進めておこうという策略が窺える。
ちなみに2024年2月13日時点でコード:異世界も「のんびり異世界生活」というタイトルがつけられているので、リリースされる日は近いかもしれない。
小冊子を見るとコード:異能少女に登場するキャラは職場少女側にも既に登場しており、もうほとんど出来上がった状態でTGSまで持って来ていたようだ。
強いて言えばSRマリーの髪の毛の色合いがβの赤紫っぽい色から紺色に変わってはいるが、印刷の都合である可能性も充分に考えられる。
なお職場少女のクローズドβテストは2023年5月11日に第1回が行われており、この時の題名は『異能少女株式会社』だった。その後8月に第2回のベータテストを行い、東京ゲームショウで再度露出させて、2024年1月18日のリリースとなる。
コード:異世界の方はまだベータテストをやっているような雰囲気も無いので、明らかにコード:異能少女の方が先行リリースする予定だったのだろう。
みんな大好きおねがい社長の紹介ページはコチラ。
こうしてパンフレット形式で見ると真っ当なゲームみたいだ……
・コード:異能少女トートバッグ
現状貴重な職場少女 fightingの関連グッズ。職場少女オフ会があった時はこれを持っていくとあたかも最初期ファンだったかのような雰囲気を見せる事が出来るぞ。
なお職場少女fightingは2023年10月27日に公式アカウントからの正式タイトル発表があったので、トートバッグが配られた2023年9月24日時点では「コード:異世界」「コード:商業の達人」などと同列にアンケートを取っていたと思われる。
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