C-1グランプリについて

現在所属している制作会社では、主にカタログやチラシ、リーフレットなどの仕事が多く、ワンコピー・ワンビジュアルのポスターや新聞広告などのマス広告を担当することは極めて少ない。

初心を思い返すと、テレビCMや新聞・雑誌広告、駅貼りポスターで日常的に見るような力強いキャッチフレーズが書きたくて、宣伝会議のコピーライター養成講座の門を叩いたわけであるが、そののち運よくコピーライターになれた(肩書きに「コピーライター」と書いてある名刺が持てた)としても、みんながみんな、素敵な一行を書く仕事にありつけるわけではない。

ただ情報を伝えるためだけの文字の管理や文字校正など、そのほとんどはあまりやりがいを感じられない、有り体に言ってしまうと、つまらないものだ。これが現実というものである。一念発起して今からコピーライターをめざす、というあなたは相応の覚悟をしておくことをお勧めしたい。

とはいえ、弊社ではマス広告の案件がまったくないわけではなく、多ければ年に1~2回程度は新聞15段のコピーなんかを担当することがある。そんなとき、普段カタログやチラシのスペック関係のわかりやすいコピーばかり書いてると、「あれ、マス広告のキャッチフレーズってどうやって書くんだっけ?」という“コピー迷子”状態に陥ったりする。もともとはそういうクリエイティブなコピーが書きたくてコピーライターになったはずが、慣れとは怖いもので、いざそのような「おいしい仕事」が舞い込んできたときに書き方を見失ってしまい軽パニックを起こすのだ。

そうならないために、いかにも広告コピー然とした佇まいのコピー、“コピーコピーしたコピー”を書く練習が日頃から欠かせない。そういう意味で、宣伝会議賞などはコピーを書く練習にも腕試しにももってこいだが、いかんせん応募期間は9月~11月のおよそ2ヵ月、残りの10ヵ月あれば己の貧相な発想力など雨ざらしの三輪車のようにたちまち錆び付いてしまう。

他にも公募の広告コンペはいくつもあるだろうけど、月に一度、年12回行われるのが月刊『ブレーン』誌の1コーナー、「C-1グランプリ」である。(本題までの前置きが長い)

第一線で活躍するコピーライター・CMプランナーの先生方がコピーの課題を『ブレーン』誌上で出し、WEB上の応募フォームから応募された中からグランプリ・セミグランプリ・ファイナリストを決めて数ヶ月後の『ブレーン』誌上で発表するというものだ。ただし、思いついたら何本でも応募できる、というわけではない。「1人3本まで」という鬼のような縛りがあるが、これが自分でコピーを選ぶ目を養う訓練にもなるのでは、と期待している。

半分自慢だけど(誰も褒めてくれないのだからしょうがない)、実を言うとグランプリにもセミグランプリにもファイナリストにも選ばれたことがある。つい最近ようやく初めて受賞した宣伝会議賞などよりよほど相性がいい。その理由は自分でもわかっていないけど。C-1に自分の名前が掲載された『ブレーン』は自腹で購入しているが現在までに7冊が家の本棚にある。しかしまあ、いつかは仕事で名前を載せてもらえるようになりたいものだ。

グランプリ・セミグランプリに選ばれると、賞品として、かつては首から上が熊でその下は筋肉質の人間というTCCのキャラクターがプリントされたTシャツが送られてきたが、在庫が切れたのか、いつしかTCCの原稿用紙に変わったようだ。(グランプリの原稿用紙は表紙に仲畑貴志さんのサインが入っているとか)しかもグランプリは名前と所属企業名が大きく掲載され、100文字程度の受賞コメントまで載せてもらえる。

連載回数も120回を超え、出題する課題のネタがないのか、たまにケータイ大喜利のお題みたいなのが出された時は応募を見送ったりすることもあるけど、できるだけ仕事の合間を見つけては取り組むことにしている。

『ブレーン』が発売される毎月1日。その日は自分のコピーに対する判定と、次の課題が発表される、地味に楽しみな日だ。

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