第5回 宝井其角顕彰 晋翁忌「俳句俳文大賞」三席入賞

揺れる飛翔

ポシェットや春の窓口こちらです

歌い出すたんぽぽ色の一年生

サイネリア借金取りのこんな癖字

微炭酸みたい青芝駆け抜けて

瞑想は指のメロンを舐めてから

アマリリス絶やしたかったかも知れぬ

こんなにもゆっくり死んで夜光虫

ローマ字の表札多し涼新た

生きること秋薔薇少し揺らすこと

白桃やリストカットにある浮力

月光の優しもう寝なさいの色

毒茸はあした羽ばたくかたちして

林檎煮る純文学のように煮る

マネキンにマネキンの影小六月

枇杷の花社交辞令を遠く置く

指切りは煙草の匂い冬木立

鳥籠に餌箱のなしクリスマス

宝船一人にひとつずつの鼻

水仙花強き筆圧飼いならす

冬あおく釣り竿すっと輝いて

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