こうこ

819。575。

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2024.8.10 週刊俳句掲載 【古語】

折鶴のかほ下を向く薄氷 水草生ふ前方後円墳に雨意 亀鳴くや湖をただよふ旧字体 母系とは白木蓮に触れること 藤棚の房の長さを入内かな 夜の更けて小箱を閉ぢる瑠璃蜥蜴 ほうたるや浅い眠りを真珠の香 青嵐の絹を孕んでゐる棺 遺作ひらかれて少女の涼しい眼 勾玉に古語の湿りや野分立つ

    • ぽぽん 2023年関西現代俳句協会掲載

      スプリングハズカム大売出しの精肉店 鷹鳩にぽぽんぽぽんと排卵日 菜の花や要冷蔵と言つたぢやない 囀りてブラジル人に聞こえます 苦さうな峠の名前夏に入る 反省文の起承転結青嵐 青芝やどんなに走つても補欠 夏は嫌ひ夏は嫌ひとバイトの子 枇杷を剥く家賃四万五千円 行きずりのアイスコーヒーだと言ふわ

      • 琥珀色 2022年4月【詩客掲載分】

        チョコレートパフェのてつぺん崩す春 ガス燈のろろんと燈る猫の恋 はくれんや濁音ぷいと飛んでゆく うららけし小籠包をつまむ指 丸襟に音符の刺繍風光る 囀や右回転で遊びませう 謎解きのコツ掴めさう蝶生まる 人形の指より続く春の夢 春の雷電子レンジにバターの香 オルガンにあたたかき雨意回顧展

        • クリスタル 2021年いぶき俳句会掲載分

          クリスタル 美容師の指のやはらか冬に入る 小春日の遮光カーテンより漏れる オムライスの旗はブラジル小六月 空気濃き朝の公園柿落葉 枯れた草枯れゆく草や雪蛍 凩のぴぽぽ身体をかけめぐる 雉鳩と古墳勤労感謝の日 雑談に混じらぬも良し毛糸玉 先輩の腕のケロイド十二月 焼芋をぶつきらぼうに差し出しぬ 正露丸ばらばら床へ開戦日 厨房の大きな小言ブロッコリ 朗読すポインセチアを傍らに 一茶忌のSiriと話して暮れにけり 冬ぬくし犬の匂ひの小座布団 地下街のガラスの曇り日記買ふ 着ぶくれ

          第5回 宝井其角顕彰 晋翁忌「俳句俳文大賞」三席入賞

          揺れる飛翔 ポシェットや春の窓口こちらです 歌い出すたんぽぽ色の一年生 サイネリア借金取りのこんな癖字 微炭酸みたい青芝駆け抜けて 瞑想は指のメロンを舐めてから アマリリス絶やしたかったかも知れぬ こんなにもゆっくり死んで夜光虫 ローマ字の表札多し涼新た 生きること秋薔薇少し揺らすこと 白桃やリストカットにある浮力 月光の優しもう寝なさいの色 毒茸はあした羽ばたくかたちして 林檎煮る純文学のように煮る マネキンにマネキンの影小六月 枇杷の花社交辞

          第5回 宝井其角顕彰 晋翁忌「俳句俳文大賞」三席入賞