新課程社会の学習

本日もよろしくお願いいたします。3月はオンライン家庭教師の仕事もオフになっていたので、その間、4月から始まる新課程学習の社会科の地理総合・歴史総合・公共についての学習を行っていました。それを2024年の受験から対応できるように知識の定着と周辺知識・関連知識・背景知識の獲得に努めたいと思います。
そこで、今日はここ1か月弱で学習してきた概観を踏まえて、新課程学習のポイント、持っておいた方がよい参考書・問題集などの話もしていけたらと思います。
あくまでも僕なりの見解ですので、もし、異なる所、ご意見等ございましたらコメントなどで申していただけると助かります。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

■新課程社会の学習の基本

まずはこの話から行きましょう。新教科書の展示会があったときに大雑把ですが確認した限りでいうと、地理総合と公共は中学社会の学習がベースになると思いました。しかし、歴史総合については、主に近現代の日本と世界のため、世界史学習は従来の教科書だけでは少し足りないのでは、と思っています。そのため、基本的には中学生で習った内容がベースになります。

ところが、ほとんどの塾・学校での社会の授業は丸暗記推奨の学習、短期間での知識詰込みが中心となり、周辺知識・関連知識・背景知識の学習がほとんどできておらず、高校で改めて学習することになるのが現状です
まずは、中学社会の土台知識を付けておくのがいいでしょう。そのため、土台を固めるサブノートとして「テスト前にまとめるノート」(Gakken)を、実戦問題集として、「最高水準問題集」(文英堂)や「最高水準特進問題集」(文英堂)、「ハイクラス徹底問題集」(文理)あたりで知識の定着を図るといいでしょう。なお、ハイクラス徹底問題集は今年改訂されたので、最新のものを使うといいでしょう(詳しくは後述で)。

■歴史総合の学習

歴史総合の学習をするための土台、学習のために何を勉強したらいいのかですが、基本的には江戸時代以降の学習をするといいでしょう。
先日、僕はとある教材会社のところに行ってきました(教材名でどこかはわかりますが……)。そこで「新中学問題集」を購入しました。標準新演習、ウイニング、WinPassなどといった教材よりも一回りレベルが高いです。そのため、歴史総合などの学習土台としても使えるのでは、と思いました。ただし、あくまでも塾教材なので、市販ではどうか、ということを下記で解説したいと思います。

➀中学生用の市販の教材では?

まず、市販の教材で使えそうなものから話したいと思います。
僕がお勧めするのは、上記でも出ました「定期テスト前にまとめるノート」(Gakken)、「ハイクラス徹底問題集」(文理)、「最高水準問題集」(文英堂)辺りです。補助輪として使うなら、「中学の地理(歴史・公民)が1冊でしっかりわかる本」(かんき出版)を使うのも手でしょう。
他にも、ニューコースやくわしいシリーズを使ってもいいと思います。

②教科書では?

では、教科書は何を土台に使うといいか、ですが、地理・公民については東京書籍、帝国書院が発刊している教科書をそのまま使ってもいいと思います。が、高校教科書の補助的なものとして使うのが基本なので、そこまで本格的に購入する必要はございません。自分が中学の時に使っていた教科書をベースにしても構いません。
ところが、歴史に関すると少し話が変わってきます。ベースとする教科書としては東京書籍・帝国書院を使ってもいいのですが、お勧めは山川の歴史教科書です。この教科書は歴史総合への接続を意識したものになっています(内容面では問題があるとも言われているが……)。その点に絞るなら世界史の内容が他の教科書に比べて豊富なので(東書でも帝国、教出でも問題はないです)、歴史総合を意識するならこの教科書をベースに学習するのも手です。

なお、この教科書購入については、基本は歴史総合や公共、地理総合を購入すればいいのですが、上記の科目について知識があまりない人は中学用の教科書や補助輪参考書などを揃えておいてもいいと思います(僕も公共と地理総合については基本知識を中学社会から身につけるための整理を強化しています)。

③学校用教材は?

では、歴史総合・地理総合・公共の学校用教材はどうしたらいいか、ですが、以下の出版会社だと購入することができます。

1.とうほう
→ネットで購入可能。解答・付属品も付きます
新課程では主に歴史総合・公共に対応。
2.啓隆社
→書店に取り寄せをすることは可能。ただし、解答についてはつかないため、自学用として活用するのは効果的ではない。
新課程では歴史総合・公共・地理総合すべてに対応。
3.数研出版
→書店に取り寄せをすることは可能。ただし、市販品でないものは解答はつかないため、自学用として活用するのは効果的ではない。
新課程では歴史総合・公共・地理総合すべてに対応。
4.第一学習社
→書店に取り寄せをすることは可能。ただし、解答についてはつかないため、自学用として活用するのは効果的ではない。
新課程では歴史総合・公共・地理総合すべてに対応。ただし、教科書対応のものになるため、汎用度はそこまで高くない。

解答についてはとうほう以外では学校用教材のためつかないため、そのことを承知のうえで書店に取り寄せたうえで購入してください。これは塾・予備校の先生でも例外ではないので、気を付けてください。

塾用教材としてはエデュケーショナルネットワークの「スタンダード歴史総合」があるのですが、こちらは一般の方は購入不可のため、家庭教師や個別指導塾などに依頼して手に入れるしかありません。

■現在発刊されている新科目の市販教材

現在発刊している市販教材としては以下のものがあります。

➀歴史総合

・歴史総合問題集
・歴史総合要点チェック
・山川歴史総合 用語解説(アプリ付きも含む)
以上山川出版社
・歴史総合図説シンフォニア(帝国書院)

3/21現在は上記のもの以外は発刊されていません。これから教科書対応のノート(山川出版社)、3STEP標準問題集歴史総合(受験研究社)、とってもやさしい歴史総合(旺文社)など発刊のラインナップがそろってきます。3STEP標準問題集については4/21以降で発売の模様です。
あとは教科書ガイドですが、こちらは無理に購入する必要はないと僕は思っています。

②公共

・シグマ基本問題集公共(文英堂)
・高校公共が1冊でしっかりわかる本(かんき出版)

僕が確認した限りでは、この2冊になっています。「公共が1冊でしっかりわかる本」は補助輪参考書として活用できます。
なお、3STEP標準問題集公共(受験研究社)が4/21以降で発売される模様です。これからもラインナップが増えてくると思います。

③地理総合

実は、地理総合については現在発刊されているものはありません。Amazonで検索しても現状は発刊予定がないのが気になります
今後の学習に備えるために早く発刊してほしいと思っています。なお、受験研究社様に確認したら(ツイートのリプより)、現在のところ、地理総合の発刊は予定されていないとのことです。

そのため、地理総合を学習するために、今までに出ている地理の教材を使う必要があるかもしれません。いろいろな補助輪参考書が出ているのですが、地理Aが地誌中心であったのですが、地理総合では系統地理も学習することになるので、系統地理の知識が必要になると思います。

■中学社会との関連性

中学社会との関係性ですが、僕はかなりの関連性はあると思います。
教科書展示会で閲覧させていただいた際に感じたのは、公共は中学社会の内容を掘り下げた内容となっています。歴史総合は近現代に絞って掘り下げたものですが、教科書を活用するのは少し難しいかもしれません。地理総合は、系統地理を中心とするならやや活用は難しいかもしれませんが、世界地誌の場合は活用できるところがあるかもしれません。

前述した通り、歴史総合と公共については現状参考にできるテキストや問題集などがある程度ありますが、地理総合については、現状参考にできる教材がない(前述の学校教材を取り寄せることはできるが解答はない)ため、今までの地理Bに対応した学習をしてもいいのでは、と思います。
それでも、中学社会の学習がベースになるのは間違いないと思います

■地理・歴史・公民の関連性を意識する

これから行われる高校新課程社会ですが、歴史の科目であっても地理の学習は必要ですし、公共の学習でも歴史の学習が必要になります。ということは、知識の関連性が重要になります。これが他の科目の学習にもつながります。
中学生で使った教材、地図帳や問題集、参考書も活用することができるためどうしても理解が難しい場合は中学内容に遡って復習するといいでしょう。その時にも、「なぜ、どのように」といった疑問を解決できるように体系的に理解していきましょう。間違っても、何となく覚えるという適当な考えは持たないようにしましょう。この意識一つだけでも今後の学習が異なります。加えて、高校学習ではただの暗記だけでは通用しません。次の学習につなげるように学習をしなければいけません。これは本来なら、中学生の段階で指導者がきちんと意識させなければなりません。
ところが、ほとんどの中学生指導者は、そのような意識は希薄で、覚えさせて点数が取れればいい、という安直かつ愚策な考えをもつ方が多いです。確かに点数を取らせることは大事です。ですが、短期記憶学習が正しいのは一部の例外を除き好ましいことはあまりありません。
社会の学習でも他の科目の学習でも、科目縦断の知識を身につけさせる方が学習効率が高いと思います。地理の知識が歴史総合でも必要ですし、公共でも必要なところがあります。その逆で歴史総合の知識が地理や公共の学習を助けてくれることもあります。英語や国語といった他科目の知識を助けることもあります。そのため、その科目だけの知識と思わず、関連知識として活用できるように意識してほしいと思います。

ですが、個別指導ではしっかりとした学習をする講師をなぜか嫌う傾向があります。その理由は、関連知識や背景知識を意識させる場合、どうしても説明が長くなりがちになるからです。が、それを疎かにすると成績は思ったほど安定しません(定期テストではなく、特に模試などに影響が出る)。

■とはいっても……

といっても、高校の学習でも大事なのは英語・数学です。この科目の土台が早い段階で仕上がらなければ、受験勉強に大きな支障が出ます(難関私立に合格しないとは言いませんが、茨の道を歩むことになります)。
そして、早く仕上げることが出来なかったら、受験期に苦戦します。そして9月以降で駆け込み寺的に仕上げるという例のムーブが出てきます。そうならないように、高1の段階から学習習慣をしっかりとつけておきましょう。

そのために、最低でも学習時間は「学年+2時間」を意識しましょう。土日・祝日などは最低でも授業時間分は確保しておきましょう。それだけでも時間は確保できます。つまり、ほとんどの受験生はこの時間を意識できていない方が多いのでは、と思います。

僕も今回から新科目への挑戦が始まります。そのため、新たな知識をどう定着させないといけないのか、その苦悩も体感しながらどう受験生に伝えていかないといけないのか、を意識していきたいと思います。場合によっては、地理総合にも対応できないといけない可能性もあります。
そのため、地理総合・公共・歴史総合の教科書を先日注文しました。そして、NHKのEテレで始まる講座も学習していきたいと思います。なお、見逃しても公式サイトで視聴ができます。様々な書籍も出てきます。ということは新たな挑戦を後押しする素材は十分にあるのです。その機会を逃さないようにしましょう。

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