成績を上げられない理由

本日もよろしくお願いいたします。僕もこのことを聞くと、かなり頭が痛い内容となりますが、少しお話したいと思っています。なぜ、このような話をしないといけないか、というと、受験生の家庭教師を引き受けているときに塾で成績を上げられなかった、という耳の痛い話を聞くようになったからです。
では、成績を上げられない理由があるのか、というと、僕の中で一つ思い当たることがあるので、そのことについて話したいと思います。

最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

■成績が上がらない授業とは?

上記のツイートは、生徒の成績を上げるために、生徒を鍛えないといけないということを指摘しています。
ほとんどの指導者はそのことを意識しておらず、わかりやすい授業と教え方がうまいかどうか、というところに主眼を置いています。

正直に言います。僕はわかりやすい授業に主眼を置いている指導者をほとんど評価していません
しかし、塾のアンケートで必ずあるのが「先生の授業はわかりやすいですか」という項目です。僕からしたら、そんな項目は不要です。なぜなら、わかりやすい授業を行うことはサービスの質を上げるためには当然のことだからです。それ以上に成果が出るためには成績を上げるためのトレーニングが完全にできているかどうかなのです。そのため、アンケートで本当に必要なのは、「授業を受けて成績が上がると思うか」の項目が重要だと思います。
上記ツイートはそのようなことを指摘しています。

ところが、ほとんどの塾はわかりやすい授業ができているかどうかが評価対象の一つとなっています(査定評価にもつながり、翌年の給与や賞与、昇給などにもつながります)。そのためわかりやすい授業ができるように授業研修などを受けています。そして、教官の講師も教え方や立ち位置などを指導することが多いのです。実は、ここに問題点があるのでは、と思います。
模擬授業が悪いとは言っていません。が、模擬授業を見る人・指導する人のレベルにも問題があるのでは、と思います。

僕はわかりやすい授業は生徒の成績を上げるきっかけの一つにしかすぎないと思っています。それよりも、生徒をどのように鍛えて成果を出すのか、というところに重点を置かないといけません。そのためには、問題への取り組み、正しいやり方を指導できなければいけません。

■個別指導の乱立は生徒の成績が上がりきらない?

成績を上げる一つの弊害になりかねないのが、個別指導塾の乱立です。個別指導の講師の大半は学生講師です。プロの講師が在籍しているのはごく少数と言ってもいいでしょう。ただし、塾によってはプロの講師しか所属していないところもあります。

実は、僕がオンライン家庭教師の依頼を受けているときに、時折問題点として出ているのが、個別指導塾を辞めてこちらに移ってきたケースです。

個別指導塾によってですが、中学生までを指導する場合と高校生を指導する場合では授業給が異なるところがほとんどです。学生講師の場合、少しでも多く時給を稼ぎたい(ほとんどの方はそうだと思います)ため、高校生の指導を受ける方もいると思います。
それ自体は悪いことではありません。が、授業を引き受ける以上は、しっかりと準備をすることは当然ですし、受験校の問題傾向などを把握しておかないと正しい指導を行うことはできません
実際、個別塾で受けている入試対策の授業は、授業の大半を過去問演習にあて、残りの10分程度で解説をする、という消化不良の内容(どちらかというと適当な授業)を行っているところもあります(はっきり言ってこれは指導ではなく、指導放棄とみられても仕方ありません。それで時給をもらっているのはプロとしてあり得ません)。教室長としては本来、このような指導を許すことはしてはいけません
僕は生徒に過去問演習をする場合は基本宿題として出します(答え合わせまで行わせることがほとんどです)。その後、解説などに時間をかけます。授業内で演習授業を行う場合は問題を絞るか、小問ごとに行うかなど工夫しないといけません。

学生講師を雇うメリットは、生徒との距離が近いことです。これはどの個別指導塾でも同じです。が、僕はここに一つの弊害があると思っています。近いのは別に問題ではないのです。ここで生徒に迎合する指導をしてしまうことがあるのです(生徒に嫌われたくない、などの理由で)。確かに、個別指導塾などの利点は自分のペースで授業を受けられることです。ですが、プロの講師は合格や目標までの逆算をしっかりと組み立てたうえでプラニングを立てています。そのためには妥協してはいけないところもあります。生徒が嫌っても合格のためにやらないといけないことを指導できないといけません。
近年は対人関係も大事になっているケースもあります。だが、場合によってはこのことが成績を上げることができないこともあります。それは前述のとおり、生徒に迎合した指導をした場合です。生徒のペースに合わせてる、と言ってますが、それで成績が出なかったら、指導している講師の責任なのです。
学生講師といえど、成績を上げて志望校に合格させるのは講師の責任です。学生だから責任がない、というのは間違いです。そして、成果の出ない講師はどこかのタイミングで交代されます。そのため、講師もしっかりと授業準備をしたうえで指導をしないといけないのです。

■塾講師検定は小手先の技術?

もう一つの弊害となっているのが、塾講師検定の存在だと僕は思っています。塾によっては、この検定を受けて、認定を受けた講師が授業をしています、という触れ込みをしているところもあります。
僕はこの検定自体は講師のスキル向上のために必要なものだとは思っています。が、それに寄りすぎてわかりやすい授業、生徒を惹きつける授業になりすぎている講師が多いのでは、と思っています。
確かに、わかりやすい授業や惹きつける授業をしてよい授業だといって生徒を集めることは悪いことではありません。しかし、保護者の中には、わかりやすい授業をしていても成績が上がっていなければ、その塾への評価は悪いといってもいいのです。かといって、わかりにくい授業をしても評価は悪いです。そのバランスも大事です。

僕は塾講師検定を受けるのは悪いとは言っていません。が、生徒の成績を上げて志望校に合格させることが塾本来の目的ではないのでしょうか。そのスキル向上のための塾講師検定であれば問題はないでしょう。
塾講師検定の影響で、小手先の技術を上げることだけに気を取られすぎて、成績向上につなげられない指導者がいることも事実です。
究極の理想は、わかりやすい授業を受けたうえで、生徒を鍛えきることです。上記ツイートではそのことを言っているのでは、と思いました。

僕もどちらかはできていると思いますが、欠けているところはあると思います。少しでも力のつけられる指導をできるようにするだけでなく、自分の力で学習できる力・学習できる習慣も身につけさせなければいけません。そのために、わかりやすい授業はそこまで重要視することはありません。

■家庭教師で心掛けていること

僕がオンライン家庭教師で指導を行うときには、わかりやすい授業を心掛けてはいますが、どちらかというと、自分で要点を整理したのちに演習をして自分の力で学習できるか、自分で授業の思い起こしなどが出来るか、などを意識して指導をしています。なぜなら、指導する時間だけで生徒の成績は上がらないからです。そのためには本日行った内容などが理解できているか毎回宿題が必要で、その確認をするための小テストなどが必要です。
そして、宿題をしたのちの学習を重点にしています。つまり、一度行った問題はできるようにするだけでなく、言い回しが変わっても対応できるような指導ができなければなりません。それを僕は授業や演習を通じて指導をしています。
その過程でわかりやすい授業を意識することはしませんが、学習を進めるうえでの一つのきっかけにはなると思います。

■今の講師に求められる力とは?

今の講師に求められる力とは何か?というと、生徒の成績向上をするためのコーチング力だと思います。自立学習塾でも個別指導塾でもコーチング力があるかどうかで成績向上につながるかどうかが変わります
僕はそのうえで、周辺知識・関連知識・背景知識の3つの知識を活用できるような指導を生徒に行うようにしています。これができるなら、他の科目でも活用することができるため、成績アップの一助にもなると思っているのです(実際、小論文や現代文などの問題でも活用できるところが多いです)。

個別指導塾でもある一定の成績を上げることは可能です。しかし、大事なのはある一定の限界を超えるためには、正しい指導と学習習慣を身につけさせなければいけません。つまり、指導力だけではなくコーチング力が必要なのです。そのため、わかりやすい授業が必ずしも必要なわけではありません。先ほど僕はわかりやすい授業は、学習習慣をつけるためのきっかけの一つにしか過ぎない、といったのはこれが理由なのです。
コーチングをするには、その人との信頼関係も必要となります。そのため、最初から友達感覚で生徒の名前を呼ぶ人もいます。が、これは一つ間違えるとコンプライアンス上、よくないこともあります。なので、生徒としっかりと正しい距離感を持ったうえで、生徒と接していかないといけません。

では、ここでいうコーチング力とは何か、というと、教務力だけではなく、生徒を正しい方向に導く力、授業計画、生徒のカウンセリングなどを指します。野球などのコーチの役割、と言えばわかると思います。指導するにおいても昔と比べて指導法も変わってきています。
実は、僕が個別指導の講師をしていた時に、コーチングを意識したところにお世話になったときがあり、その時からただ教えるのではなく、生徒とともに進んでいく、という指導を知りました。そこから少しずつ教えるだけの指導からコーチングを取り入れた指導を意識するようになりました。

勘違いしてはいけないのが、ただ「やればできる」「がんばれ」といった無責任な声掛けをするのはコーチングではありません。ただ、声掛け悪いわけではありません。状況に応じた声掛けは重要です。
今はオンライン家庭教師をしている関係で、少しずつコーチング指導を意識しています。自分の経験に加えてコーチング指導をどう融合するのか、はこれからの課題だと思っています。失敗することもあります。ですが、そういうときこそ、振り返りは重要です。

そのため、野球やサッカーなどのスポーツのコーチの考えなどを知ることもコーチング指導を行う上では必要な要素だと思います。指導者も毎年何かの形で成長・進化していかないと教壇に立てなくなる(仕事依頼がなくなる)ことがあります。そんな中、自分ができることを全力で取り組むことをしていただきたいと思います。その姿勢が生徒にも伝われば、いい方向につながると僕は思っているのです。

■成績は塾に行っても上がらない人へ

最後に、塾に行って成績が上がっていない方へ。そういう人は、普段からの演習量が不足していることが多いのです。つまり、実戦問題などを普段から鍛えていないのです
スポーツでも同様です。基本練習をしたのちに、いろいろな鍛え方をしているのです。野球でいうなら投手はピッチング、野手は素振りなどこういうものを反復することで身についていくことが多いのです。勉強もやっている理屈は同じです。最初はその土台完成が大変ですが、それができるようになると、自然と自分の力で問題を解くこと・実践力を鍛えることができるのです。

僕も日本史の授業では講義中心になりますが、土台固めのための問題演習を行うこと、実践演習で使える知識になっているかなどを宿題を通じてチェックします。日々の繰り返しで力はつくのです。授業だけでは力は身につかないのです。授業後のトレーニングをさぼらずにやっているかが重要です
前述のツイートはその鍛えることが大事と言ってるのです。それはわかりやすい授業だけでは身につくことができません。普段からの取り組みを意識してください。そして、学習する計画などもしっかりと立ててください。
魔法のような成績向上は一過性です。それが一過性ではなく安定して成績が出せるようにしていかないといけません。「千里の道も一歩から」とよく言いますが、日々の積み重ねによって本番で最大の力を発揮できるように指導をしていかないといけません。指導を受ける生徒も、そのことを知ったうえで日ごろから取り組んでください。

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