判断保留の基準

本日もよろしくお願いいたします。受験勉強も本格的な時期になっています。今回は受験日本史(他のマーク式でも同様)でよく言われている判断保留について話していきたいと思います。
判断保留についてもある程度の基準があります。基準がわからなければ保留だらけになってしまいます。その基準についても話していきたいと思います。
今回の話は日本史中心ですが、中学社会でも同様に使えます。

最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

■判断保留とは?

では、この話からいきましょう。判断保留とは何か?ということです。判断保留とは、その場で解答を出すことなく、残りの選択肢で判断することです。その基準は様々あります。

僕が考える判断保留とは以下の通りです。

【判断保留】
➀日本史の知識だけでは判断ができない内容が出てきた場合
②普段の日本史学習では触れられない内容が出題された場合
③自分の教科書に記載がない内容が出た場合

僕が考えている判断保留は以上の3点を基準にして保留にするかどうか判断します。ほとんどのケースは➀か③です。②については受験するところによって保留していいのかいけないかの判断が変わりますが、基本的にはそれによって基準をころころ変えてはいけないと思っています。

③については、自分の使っている教科書によっては記述がないケースがあります。しかし、別の教科書には記述されているケースがあり、大学によっては、その別の教科書を使って出題していることもあります。
GMARCH・関関同立・早慶上智レベルについてですが、近現代については日本史Bの教科書になくても日本史Aの教科書に記載されているケースもあります。そのため、近現代はAの知識も多少は含めておかなければなりません。場合によっては保留にする選択肢にします。

GMARCH以上の入試を受ける場合は、そういったところも意識しなければなりません。

指導者によっては、そんな細かいところを教えなくても、という批判が来ることも予想されます。しかし、メイン教科書に書かれている以上は、少しでも触れておく必要があります。別に知識合戦をしようとは思っていません。が、そのことが何度も入試で出題されていた場合は無視することはできません。なので、最新入試の傾向は知っておかないとよい指導はできません。

■判断保留の基準

僕が判断保留の基準にしているのは、どこなのか?と気にされる方が多いですが、僕の判断保留の基準は「自分の授業で教えているところすべて」が保留にするか否かの判断基準となります。間違っても、自分の勉強不足などを理由に判断保留にすることをしてはいけません

例として、2021年立教大学の問題を見てみましょう。

問 シーボルトに学んだ人物はどれか。次のa~dから2つ選び、その記号を答えよ。
a 安藤昌益 b 伊東玄朴 c 工藤平助 d 高野長英

この問題で1人はすぐにdの高野長英を選ぶことができます。しかし、残りの選択肢のうち、bの伊東玄朴についてはほとんどの受験生は知らないので保留にすると思います(実際、伊東玄朴は詳説日本史には掲載がないうえ、僕も伊東玄朴については解いていた段階では知らなかった)。
この場合、判断保留の基準としては正解です。残りの安藤昌益と工藤平助で判断すると、シーボルトとの関係性は希薄のため、残った伊東玄朴が解答となります。解答はb・dです。

大事なのはここからです。GMARCHを受験する生徒はそこで伊東玄朴に関する知識を周辺知識として加えておかないといけません。もちろん、同志社も伊東玄朴については警戒レベルを上げないといけません(○○じゃない方で聞かれやすいケースのため)。テキストにないからと言ってスルーしていいものではありません(ただし、受験校によってはスルーにしてもよいので、指導者の指示にしっかり従ってください)。
ちなみに僕は、伊東玄朴については早慶レベルについては追加しますが、産近甲龍・日東駒専レベルではスルーします。

このように周辺知識として加えたものも含めて、僕が授業で指導したものについては原則判断の基準内に入ります。これは正誤問題でも同様です。

なお、八角墳についてですが、指導者によっては保留にする方もいると思います。が、僕はこれは判断基準内に入れています。ただ、この八角墳が出題されたのが2016年からなので、それ以前だと保留です。そして、詳説日本史では八角墳に関する記述はしっかりとされています(日本史新訂版には記載がある)。そのため、近年ではスルーにすることができませんが、早慶レベルでない限りはスルーにしてもいいと思います。ただし、自分の受験大学で出題がされた場合はしっかりと周辺知識として追加してください

■大学によって出題頻度は変わる

当たり前のことですが、入試過去問は必ず目を通してください。その中で出題されている実績がある場合は必ずチェックが必要です。

たとえば、立命館で出題が多い両側町ですが、立命館以外だと頻度は落としてもいいですが、立命館は出題頻度が高いのです。つまり、大学によって用語の出題頻度が変わります。ということは、正誤問題などの判断基準も受験大学によって変わってきます。そのため、Aでは保留だが、Bでは知識範囲内、という風にしないといけません。
そのために、指導者としては、いろいろな問題に目を通しておかないといけません。解くことも重要です。それ以上にどのような出題をしているのか、癖があるのかなど、問題などから紐解いておかないといけません。

もちろん、すべてを学習する時間がないのは事実です。日本史だけを学習するわけではない、それも十分にわかります。ですが、意外とこういったところで点差を分けることもあります。その強弱を見極めたうえで対応しなければなりません。

僕も近年では様々な大学の問題を解いていると、意外と知らないところ、定着できていないところが見えてきます。そういった時は、実際の問題から知識の補完を行うことが多いです。受験生は、用語頻度などを用語集を使ってチェックしてください。それを踏まえて学習の優先順位をつけてください。

立教と上智は2020年と2021年で大きく変わっているので、変化した問題については、しっかりとデータ更新をしておきましょう。僕もいろいろと知っておかないと指導の時に対応できません。これはプロの指導者として当然のことです。自分の受ける大学が昨年から入試傾向・形式が変わるところは意識しておきましょう。ベースとなるのは、過去問です。過去問の対策をしたうえで、様々な形の問題にも対応できるようにしましょう。

皆様のサポート、よろしくお願いいたします。