巨大IT企業(GAFAM)が税金を払わないのは当然?

1.はじめに

タイトルを見てぎょっとされた方も多いかもしれませんが、この記事は決して巨大IT企業であるGAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトの頭文字から名付けた総称)を正当化する目的ではなく、むしろ「資本主義ゲームのルールが根本的に変わってしまった」可能性があることを記す目的で書いたものです。

2.現在の状況

GAFAMを代表とする巨大IT企業は、既存のもの作り産業の企業を急速に追い抜き、現在の世界の時価総額ランキングでは、上位をこれらの企業が多く占める状況ですが、法人税にはダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチと言われる抜け穴が存在するなどと、世間的に言われており、国家レベルで問題視しているところもある。

さらに、産業を拡大するために、土地や人員を多く必要としない業種であり、雇用を創出しないことも問題となっている。そして、今後十数年で、ますますIT化や人工知能による職業の代替が起こり、雇用はさらに減ると言われている。

3.何が問題なのか

深刻な問題は、新たに出現したIT企業が、土地も人員も、必要としないことにあると思う。想像してほしい。既存のもの作り企業と、IT企業が、新たな国に商業的に進出しようとしたら、どれだけの土地、人員を新たに必要とするのかを。もの作り企業は、人員は本国から一部派遣するとしても、新たに人員を雇う必要があり、土地も必要になる。一方、IT企業は、ネット環境さえあれば、極端な場合はゼロコストで始めることも可能である。

もしくは、その国で戦争が起こった場合どうなるか。もの作り企業は、守るべき土地、人員があるため、政府に防衛してもらう必要があるが、IT企業では、顧客を失うことに止まる可能性がある。

つまり、GAFAMに代表される巨大IT企業は、国家に対する依存度が従来と比較して、飛躍的に減少したのだ。彼らからすれば、既存のもの作り企業と同額の法人税を払うことが、不釣り合いだと感じることは理解出来る。

4.そもそも土地のスケールで逆転が出来ない時代になってしまった

かつて、企業力は所有する土地の大きさである程度計ることが出来た。それは現在でも通用するのだろうか。もちろん、無関係では無いし、土地が無いと出来ないことはたくさんある。

想像してほしい。いま、あなたが香川県一県(県はどこでも良いが)とそこに住む住民をまるごと手に入れて、GAFAMなどの企業に追い付く会社を作ってくれと言われたら、達成出来る自信はあるだろうか。私には無い。それは、彼らが土地、人員のスケールによってのしあがってきた企業では無いことを理解しているからだ。

5.解決策はあるのか

ではどうすれば良いのか。税制を現在の収入、利益に応じて徴収する方式から、土地、従業員数に応じて徴収する方式に切り替える必要があるだろう。そうなれば、ますますもの作り企業に不利になると思われるかもしれませんが、現実的には勝ち目はありません。現在の状況は一時的なものかもしれませんが、商売の方針は根底から見直される必要があると思います。必要の無くなった土地は自然に戻しましょう。そして、仕事は人間から人工知能に速やかに移譲されるべきです。もちろん、人間の仕事を無くすわけではなく、新たな役割を見つけていきましょう。移行過程では、苦労も多いかもしれませんが、次の時代に進むには、避けられるものではありません。

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