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平成生まれがプリンス殿下にハマったきっかけを振り返る

※ここで書くプリンス殿下というのはミネアポリス出身のミュージシャン、プリンスの事を指しています。

以前から書こうと思っていたプリンス殿下に関する記事。書くと結構濃い(=くどい)内容になり書いてる自分も疲れそうなので躊躇していましたが、今回思い切って色々書いてみようと思った次第です。

1.プリンス殿下との出逢い

プリンス殿下の存在を知ったのは確か小学校中高学年の頃でした。下記の記事にも書きましたが母が購入し車の中で頻繁に聴いていた80年代洋楽ヒット曲を集めた「ザ・エイティーズ」というオムニバスアルバム。このアルバムの中にプリンス殿下の「Let's Go Crazy」が収録されていたのです。


「Let's Go Crazy」(1984)

荘厳なキーボードの音をバックにエコーの効いた語り。上記のビデオではやや短めになっていますが、CDに収録されていたバージョンはより長く、ただならぬ雰囲気を感じたものです。今以上に英語なんて聞き取れない小学生時代、早く展開が変わらないかなと思った矢先、ノリの良いドラムやギターが入り、音楽のジェットコースターに乗車した気分になりました。途中入る「Oh, No Let's Go」というフレーズは一体何なんだとツッコミを密かに入れつつ(これは父がよく真似していたというのも関係しているんですが)、R&Bやロックが混じった得体の知れないものを聴いているという感覚は、終盤のハードロック調のギターソロとシャウトで最高潮に。

この曲でめでたく僕は小学生にしてプリンス殿下マニアとなり、風呂に入って浴槽から出る時は「When Doves Cry(ビートに抱かれて)」のPVの如く床に這いつくばり、アルバム「Dirty Mind」の格好で小学校に登校・・という事には残念ながらならなかったものの、プリンス(=王子)という小学生でも分かり易い名前、親から聞いた印象的なプリンス殿下情報(欧米人にしては凄く小柄、黒人だけど中東系も混じってそうなビジュアル、父が80年代前半北米に居た頃「Little Red Corvette」がヘビロテで流れていた、テレビ放送されていた来日公演で変な日本語が書かれた衣装を着ていた等)前述のたまに父が真似する手拍子含めた「Little Red Corvette」のワンフレーズ物真似も相俟ってプリンス殿下という異様に個性的なミュージシャンの存在を強く認識したのは事実でした。

2.中学・高校時代

小学生時代は先程紹介したアルバムでプリンス殿下含む80年代洋楽にそこそこハマったわけですが、中学に入るとこの時代特有の背伸びしたい欲求、人と違うものを好みたい的な願望が強くなったからか、インターネットラジオや学校近くの図書館に置いてある80年代洋楽アルバムを借りる等、本格的に80年代洋楽の泥沼に浸り始めました(この辺りは上記の記事にも書いてあります)。

そんな中観始めたテレビ番組が、丁度その頃復活した小林克也3司会の「ベストヒットUSA」。Youtubeが無かった2000年代前半、まだ興味有る80年代洋楽をはじめとする昔の洋楽のPVや映像を観るのが難しかった時代、当時のそういった映像も積極的に流してくれるこの番組は非常に有難い存在でした。そこで僕は再び現在のプリンス殿下と再会することに。

「Musicology」(2004)

この番組では昔の洋楽歌手やグループだけでなく、最新のヒット曲等も紹介する内容で、その流れで紹介されたのが当時「Musicology」を発表したこのプリンス殿下でした。「Let's Go Crazy」のド派手なインパクトと比べると正直淡泊というか強い印象は受けなかったのですが、プリンス殿下は決して80年代で終わったり成長が止まった歌手ではなく、<現在進行形>の歌手であるという事を認識したのでした。また、この頃母が持ってた渋谷陽一3の下記の文庫本にもプリンス殿下の「Dirty Mind」が紹介されておりジャケットの奇抜な衣装に軽い衝撃を受けた事も有りました(ネットでたまたま見つけた「Lovesexy」のジャケも同様)。


映画「パープル・レイン」のテレビ放送


高校生になり、まだ本格的にアルバムを聴いたりするわけではなかったものの、アルバム「3121」の広告が目に入ったりした事でプリンス殿下の存在を継続的に意識していた確か2006~2007年頃、BSでプリンス主演の映画「パープル・レイン」が放送する事が分かり鑑賞。バンドや両親達と確執する中で成長していく青春映画的作風はストレートに自分の心に訴えかけてくるもので、劇中ではライバル的バンドとして描かれるプリンスファミリーのザ・タイムモリス・デイはじめとするユーモラスなメンバー達や一人孤独に部屋にこもってピアノを弾くプリンス殿下の父の姿も印象的でした(正直ライブパフォーマンスではプリンス&ザ・レヴォリューションよりもザ・タイムの方が魅力的に見えましたが 笑)。

母が買ってきた「SIGN "O" THE TIMES」のライブDVD

高校三年生(もしくは浪人時代)、突然母が87年のアルバム「SIGN "O" THE TIMES」のライブDVDを買ってきました(まだ詳しくは書いてなかったのですが、母はアルバムを購入する程のファンでは無かったもののプリンス殿下の才能は認めており、リアルタイムで「Kiss」をラジオで聴いたそうです)。確かホームセンターで安く売ってたから買ったそうで、一番流通しているタイプのものではなく何故かパープル・レインの頃の衣装のプリンス殿下がジャケットに写っている下記の輸入盤でした。

後の大学時代に体験した今は亡き吉祥寺バウスシアターの今作の爆音上映会でも再認識するのですが、音楽の遊園地と言わんばかりの圧倒的なパフォーマンスと多彩な楽曲、カラフルなステージに思わず膝を打ち、中でも「I Could Never Take The Place Of Your Man」は高揚感に溢れ一発で気に入ったのでした。

「I Could Never Take The Place Of Your Man」(1987)


3.大学時代から現在

大学に入ると音楽系サークルに入って演奏したり歌ったりCDショップ巡りをしたりと音楽漬けの日々に。そんな日々の中でも自分にとって特に重要だったのは大学近くの今は亡き渋谷図書館の存在(復活希望)。時間が潰せるだけでなく無料で本やCDが借りれるこの場所は非常に有難く、カードを作ったら当然の如く真っ先にCDコーナーへ向かったのでした。そしてそこには80年代から2000年代のプリンス殿下のアルバムが一通り揃っており(何故かファンカデリックのアルバムも沢山有りました)、ブラックミュージックにますますハマっていた自分はプリンス殿下はやはり避けて通れない存在、ジャケットにもプリンス殿下がデカデカと写っている<分かりやすい>アルバム、「戦慄の貴公子」を思わず手に取って借りてみたのでした。

表題曲「戦慄の貴公子(Controversy)」(1981)

当時住んでいた寮に戻って早速聴いてみると、表題曲「戦慄の貴公子(Controversy)」が勢いよく耳に飛び込んできました。上記の動画では3分半程度ですがアルバムでは7分と長く、最初は気後れもしたのですが淡々と同じフレーズを繰り返すこの曲は不思議な位中毒性が有り停止することも早送りすることもなく最初から最後まで聴けてしまうもので、あっという間に7分が過ぎてしまった記憶が有ります。

とりあえず長い一曲を聴き終えた・・そんな余韻に浸っていると「アウァーッ!」と唐突に奇声が聴こえそのまま始まった疾走感の有る「Sexuality」、素直に良い曲と感じたものの3分辺りからの「ウッ!ウウッ!ウウフッ~!ウッ~!」という所やその後の「ヤイヤイヤッ~!」というシャウトに引いたり圧倒された「Do Me Baby」、このアルバムの中では一番のお気に入りとなった軽快でシンセリフが癖になる「Private Joy」辺りまで聴いた段階でほぼプリンス殿下の虜になっていました。

特に癖が強かった「Do Me Baby」(1981)

                                     問題の声は3:15~3:30

それからというもの、図書館に有るプリンス殿下のアルバムは全部借りたり、他の図書館やCDショップ配信サイトでも借りたり購入したり、ニコニコ動画にある「殿下変態リンク」というタグの付いている動画を観て笑ったり(現在は削除されていますが「ビートに抱かれて」のPVに寄せられたコメントが特に面白かったです)とプリンス殿下漬けの日々が始まったのでした。

プリンス殿下漬けの日々

個人的には、小柄でコンプレックスも多かった自分にとっては同じく小柄でも圧倒的な才能で世界中の人々を魅了しているプリンス殿下は勇気を与えてくれる誰よりも眩しい存在だったのも事実で、それが一層プリンス殿下に嵌るきっかけだったかもしれません。上記の他にも、アカペラで80年代初期のプリンス殿下風の曲を作って歌ったり、駅の待合室で一緒になった英語の講師をやっている黒人の方に「プリンス殿下は聴きますか?」と尋ねたり(「プリンスは親が聴いてたヨ」との事でした)、親と車に乗った時もプリンス殿下のアルバムを流して呆れられたり一人で殿下シャウトの真似をしたり大学で「自分が好きな人物」を英語で紹介する授業内容でプリンス殿下を紹介したりサークルで岡村靖幸3を聴く後輩の子に講師の方同様「プリンス殿下は聴かないの?」と尋ねたり(「プリンスは濃くて・・」との事でした)養成所で知り合った友人とプリンス殿下を通じて凄く仲良くなりその方から「Crystal Ball」を借りたりレコードが入ってない「Lovesexy」のレコード盤を貰って部屋に飾ったりしました(超余談ですが今も仲良させてもらっているそこの講師の方はちょっと岡村靖幸3似です)。

そんな中2018年のあの日がやってきたわけですが、未だに現実を受け止められず、プリンス殿下はペイズリー・パーク(プリンス殿下の家兼スタジオ)の地下に籠って復活の時を待ちながら創作活動している・・なんて妄想をしながら、そしてプリンス殿下を特別な存在として思いながら現在に至ります。少し前に下記のようなツイートをしたのですが、プリンス殿下を聴く同世代or平成生まれというのはまだまだ思った以上に少ない印象が有り、自分が出来る事等たかが知れてますがこういった記事等を通じてプリンス殿下にもっと興味を持ってくれる方が増やせたら良いなと思っております。

          最後まで読んで下さり、ありがとうございました!

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