学校教育と企業ニーズ

昨日、Zoomでの「学び合い」学習会の中で、ある質問について「あーなるほど」と改めて考えさせられたことがあった。

それは、学校教育と企業が求める人材の確保の格差についてである。

私は一企業で人事労務と経理を総括しているが、人事に際して企業が人材として求めるものに、学校教育において培われた知識・技能とマッチしているのかという疑問を改めて持ったのだ。

企業として求める人材は、「即戦力」になる人物であり、そのためにはただ上司から指示されたことしかやらない、自ら仕事を見つけ出しやろうとする気力が見られない、そもそもやる気がないような人物は即戦力にならず、イコール会社の利益にならないので、採用にあたってはこれまでの学力や成績はほとんど考慮されていないのが実情だ。

中小企業ともなるとそれは顕著で、私が今勤めているような会社では、大卒だろうが高卒だろうが中卒だろうが関係なくて、犯罪歴など前科がなければ問題なく採用している。企業、あるいは業種によっては学歴など度外視してでも人を集めたいというところも多い。

大企業ともなれば、ある程度の学力があり、学歴があり、人物的に高潔な人材を求めるだろう。俗に「学閥」と呼ばれるようなものも存在し、どこどこ大学出身だから優秀とかそれが社内での昇進に影響しているという弊害を生じている場合もある。

では、学校教育でよく語られる「キャリア教育」とは一体何を目指そうとしているのか。良い大学に行って、良い会社に就職することが目的だという時代はとうの昔に過ぎ去っている。良い大学、良い会社に勤めたからと行って定年まで安泰(終身雇用)という保証はなくなっているのだ。それに、就活して面接を受けて運良く入社できたとしても3年以内・3ヶ月以内離職率がけっこうな割合でいる。何が原因なのだろうか。

私が考えるに、そもそも学校教育での「キャリア教育」自体が間違った方向に向かっているのではないかと思われて仕方が無い。

企業は「即戦力」を求め、学校教育では「働く尊さ・意義」を考えさせる。明らかにそのギャップは大きい。働いても即戦力にならず、すぐに辞めてしまうのは、「働くことの意味」ではなく、勤労の義務を果たし、社会貢献をし、回り回って自分の生活・人生を豊かにするという本質的な目的を体験し、達成できないまま学生生活を送ってしまっているのがそもそもの問題なのではないだろうか。

現在の「キャリア教育」がすべて悪いとは思わないが、そのキャリア形成の在り方に問題があり、企業の考え方と学校教育の在り方にギャップを生じているのではないかと思う。

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