民間企業出身の教師の「強み」

以前から私の周りの友人や恩師には「民間出身の教師はいいよ」とずっと言われ続けていて、民間出身の教師の何が良いのか分からず、しばらく考えていた。

民間企業出身の教師の「強み」とは一体何だろうと思っていたが、ようやく最近一つの解が見つかった。それは多くの「武器」を持つからだということ。武器と言っても、人を傷つけたりするものではない。自分や相手(同僚や子供たち)を守るための武器だ。武士道でいうところの仁義である。人に尽くし、義理を果たす上で必要なものである。

私はこれまで通算27年民間企業で働いてきた。その間に半ば強制的にビジネススキルを身に付けたり、経理事務や総務・労務人事、福利厚生をやらされた(表現悪いが)し、半分興味で「防災士」や「ビジネス法務実務検定」「レジリエンス・カウンセラー(Basic)」などを取得したが、考えてみたらこれらどれも教育現場ではかなり役に立つスキルであると思う。

防災士などは特に、東日本大震災で実際に学校現場が被害に遭い、多くの子供や教師が亡くなった。こういった教訓から学校の安全管理上絶対必要であるし、レジリエンス・カウンセラーは児童や教師のメンタルヘルスに何かしら役に立つものだろう。

実際民間にいる頃はこういうのは社会的常識・ルールだよと言われ、半ば「やらされている感」は確かにあったが、これは見方によっては必要なことだったのだと、今さらながら気がついたわけである。

法律のこともビジネスのことも、経済や金融に関することもありとあらゆる知識や教養を知っておいて損はない。そういう意味では民間企業出身の教師は有利なのかもしれない。働き方改革においても民間の方が進んでおり、特に今勤めている会社では残業がないため、資格取得や読書、勉強をする時間がかなり確保される。時間がある今のうちに取っておくのがいいと思う。

同じことは大学生にも言える。ただやろうとしなければ身につくわけはないし、無駄な時間を過ごすだけで学生生活を終えることになってしまうのはあまりにももったいない。特に教員を志す学生ならば、インターンやアルバイト、ボランティアなどさまざまな社会経験を積んでおいた方が持つ「武器」はそれだけ多くなり、有利である。

教師になったらおそらくそういう資格やスキルを取る時間はほぼないと思う。読書をする時間すら持てない。「学び続ける教師」というのは簡単だが、実際の仕事量からしても、満足にその時間を取れるとは思えない。正直教師の「働き方改革」は遅れをとっていると思っている。もっと教師のやるべき仕事は手放していくべきだ。

私は民間で培ってきた経験やスキルを教師になって存分に活かすとともに、その「武器」を独り占めしたりせずに、同僚の教師にも提供できるような存在でありたいと思った。

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