三重県民に知ってほしい。そもそも豆味噌ってなんなん?
「三重県は豆味噌文化圏である」という事実をご存知ない方が、三重県の中でもとても多いなあと実感しています。実は私も2年ほど前まで知りませんでした。米味噌と白味噌しか使わない家庭で育ったもので。
私と同じような方は多いのではないかと思います。ですので、今日は「豆味噌ってなんなん?」という三重県民に向け、簡単にご紹介しようと思います。
豆味噌の作り方
豆味噌とは、「大豆と塩」を原料としてつくる味噌を指します。製造工程は以下の通り。
①蒸して団子にした大豆にコウジカビを付けて大豆麹(だいずこうじ)にする。(味噌玉と呼ぶ)
②味噌玉と塩水を容器に入れて混ぜ合わせる。
③混ぜ合わせた味噌玉と塩水の上に、石などの重しを置き、3年以上発酵・熟成させる。なお、 発酵・熟成中は一度も混ぜない。
とてもシンプルですが、随所に蔵人さんの技術が活かされています。
ちなみに、日本で最も食べられているのは「米+大豆+塩」で作る米味噌。三重県の南の方では「麦+大豆+塩」の麦味噌も作られているとか。
豆味噌の味わい・栄養
豆味噌の味わいは、凝縮した濃厚なコクと、少々の酸味と渋みが特徴で、甘味はほとんどありません。「八丁味噌」と言うと、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。
特に、米味噌や麦味噌と比べて突出しているのは「うま味」の多さです。煮込んでも風味が損なわれず、コクが深まり、塩辛くもならないので、名古屋名物味噌煮込みうどんや味噌カツ、味噌おでんなどの料理が生まれたのもうなずけます。
栄養成分の多さにも注目!
牛肉の平均タンパク質は17〜18%であるのに対し、大豆のそれは16〜17%と、牛肉とほぼ同じなんです。豆腐の味噌汁&納豆とか、驚異のスタミナ食(笑)運動する方にもおすすめ。
また、ビタミンやミネラルの他、強い抗酸化作用のあるメラノイジンも多く含まれており、筋肉や皮膚などの良い材料となり、生活習慣病の抑制、老化防止、美肌効果なども期待されています。
他にもたくさんの健康効果が明らかになっていますが、書ききれないので気になる方は「豆味噌 栄養」とかで検索してみてください。
つまり、毎日お味噌汁飲まないと損!
なぜ東海地方は豆味噌なの?
米味噌や麦味噌が全国的に作られる中、豆味噌は東海地方(主に愛知・岐阜・三重)のみで作られているという独自性を持っています。
ほとんど東海地方だけで作られる理由の一つに、夏場は特に高温多湿である、という気候が挙げられます。
そのような気候条件ですと米味噌や麦味噌は劣化しやすいのですが、一方豆味噌は蒸した大豆を団子にして麹菌を直接つける「味噌玉製法」により、高温多湿でも劣化しにくいのだそうです。
昔から大豆の栽培が盛んな地域だったのも大きいでしょうね。
豆味噌の起源にもご注目。
豆味噌は、紀元前2C〜7Cの間に(中国や)朝鮮半島から日本に伝わったとされています。
その証拠に、韓国では「味噌玉製法」とほとんど同じ製法で作られる麹(メジュ)が作られており、このメジュを原料にコチュジャンやテンジャン、カンジャンなどが作られています。
朝鮮半島から福井県の若狭湾辺りに上陸し、そこから琵琶湖・飛騨・関ヶ原辺りを通過したのち美濃平野に広まったのでは?と言われており(諸説あり)、それが今でも東海地方にしっかりと残されているのです。
この話を聞いた時、東海地方に生まれて良かったなあ!と思いました。だってめちゃくちゃロマンがありませんか?
豆味噌を食べるたびに行ったこともない朝鮮半島、さらには大豆発祥の地とされる中国北部(これも諸説あり)に思いを馳せています。豆味噌には壮大な歴史ロマンも内包されているのです…ワクワクしますね。
まずは一度、豆味噌を食べてみて
簡単に説明と言ったのに長文になってしまいました。ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます!
こんなに素晴らしい豆味噌ですが、三重県内での製造量は年々減り続け、全体の約2%にとどまっていると言います。
まだ豆味噌を食べたことないよ〜という方は、ぜひ今度のお買い物で手に取ってみてください!
かしこ
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