初めの記憶

9月、コスモスの咲く頃に私はこの世に誕生しました。
大人しく、泣く事も少なく、物静かで素直な子だったそうですが、この頃から食欲は人一倍旺盛だった様です。(母乳を飲み過ぎて乳首が切れたそう)

そしてある程度大きくなれば、知性が芽生え、
記憶や学習能力が育ちます。
子供の頃の記憶って結構新鮮に覚えている事が多いですよね。
滑り台で着地に失敗して血を出したとか、
アリの巣に水を入れてイタズラをしたとか。

ありふれているけど自分の中では大切な記憶。

でも私の人生で初めて覚えている記憶は、

父親が母親に向かってオレンジ色の置時計を
投げつけ、ボコボコに殴っている記憶でした

まだ小さかった私は何をしているのか、
どうして怒っているのか・殴っているのか
分かりませんでしたが、その記憶は鮮明に
覚えています。

いつから始まっていたのかは不明ですが、
この頃にはもう家庭内暴力はあったのだと
思います。

日々暴力を振るう父親と、泣き叫ぶ母親。

-------------------------------------------------------------------

私が5歳になると今度は妹が産まれました。

これで何かお父さんも変わるかもしれない。

僅かな淡い期待を寄せていましたが、

それも虚しく毎日続く暴力・怒号・悲鳴。

ほぼ毎日殴られ、蹴られ、物を投げつけられる続けられる母を見て、正直助けようとは
しませんでした。

だって父親が怖いから

助ければ、止めれば私も暴力を振るわれる。
そう思うと体が動きませんでした。

今思い返せば、私は父親の暴力を止めたことはありません。

怖いから。