「ちょっと思いだしただけ」
久々に良い邦画を見た気がする。
見てから一週間経ったけど、
未だに余韻が残るのも心が動いた証拠だと思う。
改めて、
特殊能力とか、
タイムトラベルとか、
山ほどの伏線とか、
大どんでん返しとか、
そんな設定無くても映画になるんだって。
(そういう設定を否定はしないけど)
(昨今の邦画には思うところがある)
(それはまた別のおはなし🤔)
本当に自然な日常の「キリトリ」が映画になってる。これよコレ🔥
主役の二人の演技も、
もう演技なのか素なのか、といった良さ。
構成的な目新しさは決してあるとは言えない。
「500日のサマー」とかね。
関係が始まって節目を迎えるまでの映画は過去にも山ほどある。
ただ、その中でもこの映画が良いなと思ったのは圧倒的な日常感。
全編に渡って、普通に自然に見えるんだけど、
この「普通」を作れるのがすごいと思う。
「普通に見える」っていうのは、
裏でめちゃめちゃ配慮してるから。
観る人の事を。
セリフも奇をてらわない。
間の取り方も気持ち良い。
ごくありふれたセリフなんだけど、とても気持ち良いところで投げかけられる感じ。
変に小難しくしない。
そして、セリフで全部を言わない。
セリフで魅せるところ。
表情で魅せるところ。
撮影で魅せるところ。
それぞれで100%説明しない。
だから、観てる側はそこに自分の経験や心情や思いを描き始める。
「書き込める余白」みたいなものが至るところに巧妙に散りばめられている。
物語の結末は観る人によって違うと思う。
観る年代によっても違うと思う。
20代の時に観たらピンとこなくても、
30代になってみたら納得するのかも。
でも、それでいいじゃない。
ラストの10分にかけて、
タイトルの、
「ちょっと思いだしただけ」
というのが本当に上手く効いてくる。
この「ちょっと」というのがとてもニクい。
「思い出した」のは過去の話だけど、
決して過去に囚われているのではなく、
なにか観た後に心が温まるような
そんな映画でした。
ラストカット、とても好きです。
これ大変だったと思う。
けど、最高でした。
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