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20 スカイ・ロード

 カイアナイト空軍開発設計局は、軍事機密上警備が厳しく、人里離れた場所に存在している。車で移動すると、街までは一時間以上何もない荒野を運転することになる。
 妻帯者も、施設と自宅を往復するのが大変なため、どうしても単身赴任になるものが多く、休みの前の日は無理をしても街の自宅に戻るが、平日は寮に住んでいるものが殆どだ。
 陸海空問わず、基地には併設されて居住区が設けられ、家族が一緒に住んでもいいことになっているが、この開発設計局は家族であっても共に住むことはできない。
 最新鋭の機体、最新鋭の技術が開発されている場所なだけあり、基地への出入りも限られている。中にあるベンダーも許可のある業者の人物しか出入りできない。また基地とは違って規模が小さい分、ベンダーの規模も小さく、店もそう充実しているとは言い難い。
「砂漠の基地、か……」
 ヘリコプターの小さな窓から開発設計局を見下ろしたジルは、その光景を見て呟いた。

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