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09 スカイ・ロード

 ここが引き際のラインだろうとカイザーは判断した。
 依然、レーダー上に写るのは最初に接近した二機のみで、その二機はミサイルの射程外距離を旋回するばかりで、ステルスの攻撃を支援しようとせず、また引き返す様子もない。その不気味な行動の意味するところが読み取れないばかりか、このステルス機のパイロットたちの行動も納得できるものではなかった。
 偵察行動というには、こちらの空域に入り込みすぎだ。競合エリア内ならば、或いはドッグファイトにはならず、どちらもけん制するための攻撃はしても、深追いすることはなかっただろう。
 だが奴らはこちらの空域に踏み込んで、さらには攻撃を試みた。その真意がいったいなんなのか、どうしてもカイザーにはわからない。
 なにせあまりにもパイロットの飛行技術が未熟すぎる。これではせっかくのステレス機も性能を発揮できない。
 ステレス機はレーダーで補足されにくいという特性があるからこそ、偵察任務や奇襲攻撃に使用される。
 だがこの機体は事前に別の二機が先行し、その姿をレーダーにさらし、まるで挑発行為を行っているかのようだった。
 十時方向から五時方向へ向けてフィッシャーマンの機体は旋回する。追尾していた敵機は、攻撃を避けるべく上昇しながら五時方向から二時方向へ急上昇する。
 同時にカイザーはもう一機の攻撃を諦め、フィッシャーマンが追い詰めようとしていたステルス機に狙いを定めた。
 もうここが引き際だろう。僚機を失っている彼らは、もとより作戦的な攻撃能力はない。

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