05 スカイ・ロード
ミサイルは吸い寄せられるかのように、尾翼へ向った。エンジンに命中したのか、それとも燃料オイルか。大爆発を起こした敵ステルス攻撃機は、機体の欠片を吹き飛ばしながら炎上する。
その風圧を利用して、再度カイザーの機体は上昇する。オーグメンターを使わない、ミリタリーパワーだけで上昇しているが、体にかかるGの圧力に瞬間的に息がつまった。
血液が下半身に集まっている。血の気が引いているのだろう。つっと冷たい気配を頭部に感じながら、カイザーの機体は上昇して旋回。ヘッドアップディスプレイバイザーに、僚機すべてを確認した。
ステルス戦闘機がこの空域にあと何機いるのかはわからない。しかしすでにカイザーが二機を撃墜している。高速性はあるかもしれないが、やはりこちらの機動性で十分対応できる。
また一つカイザーから見て北北東で爆炎が上がった。僚機がまた一機を撃墜したのだ。
これで三機を撃墜している。
ステルス戦闘機は開発費がかさむ。カイアナイト空軍でも当然偵察機はステルス機となっている。
だがステルス機に攻撃・戦闘を想定した特殊な兵装は積んでいない。軽度の応戦は出来ても、戦闘を想定した代物ではない。それはどの国でも同じようなものだ。
カイザーは右へ旋回し、機体を横転させて方向を転換する。オレンジ色の光点が闇夜に発せられたが、そこにレーダーが捉えた目標はない。
近くにステルス戦闘機がいることを察知して、カイザーはオーグメンターを使用して一気に加速する。ビッグベアの機体がステルス戦闘機にリーサルコーンを捕らえられ、必死に逃げていた。
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