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39 スカイ・ロード

 一日の業務が終わると、レポートを書かねばならない。FCOS自体が試作を兼ねたプロジェクトである以上、データ解析を必要とするためだ。
 もちろん、カイザーもジルも毎日書いている。階級上カイザーが上になるため、カイザーが受け取り、自分のレポートと合わせて開発部へ提出している。
 カイザーには個別に与えられたオフィスがないため、オペレーションルームの一画にテーブルを持ち込んで代用していた。他の部屋は扉の工事がされておらず、車椅子のカイザーでは開閉に時間がかかる。この部屋が丁度良かった。
 ここでは中佐という階級はまるで役に立たない。何せ、設計局局長のフィードラー少将ですら、現場では技術屋扱いだ。もっともその仕事が好きだということがわかるように、新しい兵器やシステムの話をしている時のフィードラーは、少年のような表情を浮かべている事が多く、本当に好きな仕事をしているんだなとわかる。
 レポートを作成していると、ドアがノックされた。恐らくジルだろうと思いつつ返事をする。
「どうぞ」
「失礼します。レポート持ってきました」
「あぁ、そこに置いてくれ」
 レポートは紙とディスクチップの両方で提出しなければならない。ジルは印刷を終えたレポートの上に、ディスクチップを置いた。

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