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30 スカイ・ロード

「俺は中佐の、おもちゃじゃない。思い通りに、動かないからといって、嫌がらせをするのは、やめて欲しい」
 上昇しながらの会話なので言葉が途切れる。いつもつい口に出してしまうことで、不必要にトラブルになるわけだが、言わなきゃ相手はわからない。
 わかろうともしない相手には、特に言ってやらなければとジルは思っていた。
「パイロットの基本動作が出来ない癖に、一人前きどりか? 出来ていないからやれと言っている」
「なんだと?」
 もしも目の前にいたら、掴みかかってやりたい気分だった。
「動作の一つ一つが、だいたい合っているという程度だ。戦闘中にまで丁寧に飛べとは言わないが、こうした訓練中に出来ないことは、戦闘中ではもっとできない。むしろ今まで撃ち落とされていない事が不思議だ」
「ちゃんとやっているだろ!」
 ジルはそう言ってキャノピーを叩いた。どれ程完璧にやりこなしても、きっとカイザーはこういって文句を言うのだ。
「操作を奪うぞ。これからやる機動をちゃんと覚えろ」
「くそっ!」
 カイザーに操作モードを変更された。もちろんジルが奪い返す事できるが、そうすることでシステムに異常が起れば、事故で死ぬのはジルだけだ。地上にいるカイザーにはまったく被害はない。

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